#307 ドクター・フィールグッド「Boom Boom」(Down By The Jetty/United Artists)
英国のロックバンド、ドクター・フィールグッドのデビューアルバムより。ジョン・リー・フッカーの作品。
ドクター・フィールグッドは71年、ボーカル、ハープのリー・ブリローを中心にエセックス州キャンヴィ・アイランドにて結成、75年にレコードデビューしている、いわゆるパブ・ロックの代表的バンドだ。
現在に至るまで、15人以上のメンバーが出入りしている。オリジナル・メンバーはもはや一人もいないが、いまだに根強い人気を誇っている。
彼らの音楽は基本的に黒人ブルースやR&Bをフォローするものだ。70年代の英国といえば、ハード・ロックやプログレッシブ・ロックの全盛期だが、時代の流れにはあえて乗らず、ヤードバーズのような60年代的バンド・サウンドを継承してきた。その古臭さが、産業化するロックに食傷気味のリスナーにとっては逆に新鮮に感じられたのだろう。ニューウェーヴの先駆者ともいわれるようになった。
きょうの一曲は、ジョン・リー・フッカーが62年にヒットさせたナンバー。そのワイルドなサウンドは、ブルースというカテゴリを越えて白人ロッカーたちにも強くアピールしたようで、65年にはアニマルズがカバーヒットを出している。
そこからさらに10年。モッズルックの4人の青年が、再びこの名曲に新たなる命を吹き込んだ。
この曲でのリード・ボーカルはブリローでなく、ウィルコ・ジョンスン。ふだんはもくもくとギターを弾いている彼が、飄々とした歌声を聴かせてくれる。
オリジナルではフィーチャーされていない、ハープによるオブリガードがなかなかイカしている。テクニカルな演奏ではないが、そのラウドなブローが、サウンドにドクター・フィールグッドらしい「匂い」を与えていると思う。
ギターのリフ、ベースライン、ドラミング、いずれにしても典型的なブルースバンド・サウンドという感じで、シンプルこのうえない演奏だが、いかにも酒場で踊るにはぴったし。60年代に流行ったゴーゴーの再来、ですな。
彼らのデビュー当時は、海外でのライブ、あるいはTV番組などにも頻繁に出演していたが、そのステージングがまた独特のカッコよさに満ちている。
歌うブリローの横では、ギター、ベースのふたりが前後往復のウォーキングを繰り返すという、奇抜なアクション(クロックワークというらしい)。またジョンスンはギターをマシンガンのように構えて、射撃の真似をするなど、実に個性的な演出で観客を楽しませてくれる。
そういったケレンもさることながら、音のほうは意外なほどオーソドックスでツボを外すことがない。このシンプルな音に、国の内外を問わずシビれた若者は数知れず。日本でいえば、ミッシェル・ガン・エレファントはその衣装の趣味なども含めて、総パクりに近いね。
どの曲も、テレキャスターのエッジの立ったサウンドが、実にええ感じだ。まさに、フィールグッドにしてくれる。
音の快感療法、ちょっと危険な匂いもして、ハマりそう。あなたも、試してみない?
英国のロックバンド、ドクター・フィールグッドのデビューアルバムより。ジョン・リー・フッカーの作品。
ドクター・フィールグッドは71年、ボーカル、ハープのリー・ブリローを中心にエセックス州キャンヴィ・アイランドにて結成、75年にレコードデビューしている、いわゆるパブ・ロックの代表的バンドだ。
現在に至るまで、15人以上のメンバーが出入りしている。オリジナル・メンバーはもはや一人もいないが、いまだに根強い人気を誇っている。
彼らの音楽は基本的に黒人ブルースやR&Bをフォローするものだ。70年代の英国といえば、ハード・ロックやプログレッシブ・ロックの全盛期だが、時代の流れにはあえて乗らず、ヤードバーズのような60年代的バンド・サウンドを継承してきた。その古臭さが、産業化するロックに食傷気味のリスナーにとっては逆に新鮮に感じられたのだろう。ニューウェーヴの先駆者ともいわれるようになった。
きょうの一曲は、ジョン・リー・フッカーが62年にヒットさせたナンバー。そのワイルドなサウンドは、ブルースというカテゴリを越えて白人ロッカーたちにも強くアピールしたようで、65年にはアニマルズがカバーヒットを出している。
そこからさらに10年。モッズルックの4人の青年が、再びこの名曲に新たなる命を吹き込んだ。
この曲でのリード・ボーカルはブリローでなく、ウィルコ・ジョンスン。ふだんはもくもくとギターを弾いている彼が、飄々とした歌声を聴かせてくれる。
オリジナルではフィーチャーされていない、ハープによるオブリガードがなかなかイカしている。テクニカルな演奏ではないが、そのラウドなブローが、サウンドにドクター・フィールグッドらしい「匂い」を与えていると思う。
ギターのリフ、ベースライン、ドラミング、いずれにしても典型的なブルースバンド・サウンドという感じで、シンプルこのうえない演奏だが、いかにも酒場で踊るにはぴったし。60年代に流行ったゴーゴーの再来、ですな。
彼らのデビュー当時は、海外でのライブ、あるいはTV番組などにも頻繁に出演していたが、そのステージングがまた独特のカッコよさに満ちている。
歌うブリローの横では、ギター、ベースのふたりが前後往復のウォーキングを繰り返すという、奇抜なアクション(クロックワークというらしい)。またジョンスンはギターをマシンガンのように構えて、射撃の真似をするなど、実に個性的な演出で観客を楽しませてくれる。
そういったケレンもさることながら、音のほうは意外なほどオーソドックスでツボを外すことがない。このシンプルな音に、国の内外を問わずシビれた若者は数知れず。日本でいえば、ミッシェル・ガン・エレファントはその衣装の趣味なども含めて、総パクりに近いね。
どの曲も、テレキャスターのエッジの立ったサウンドが、実にええ感じだ。まさに、フィールグッドにしてくれる。
音の快感療法、ちょっと危険な匂いもして、ハマりそう。あなたも、試してみない?
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