2008年6月15日(日)
#38 グレアム・ボンド・オーガナイゼーション「Only Sixteen」(Solid Bond/Warner Bros.)

先週取り上げたアレクシス・コーナー同様、ブリティッシュ・ブルース/ロックシーンの先駆的存在だったのが、グレアム・ボンドだ。
37年、英国はエセックス州ロムフォード生まれ。最初は完全にジャズ系ミュ-ジシャンで、アルトサックスを吹いていた。
アレクシス・コーナーズ・ブルース・コーポレイテッドに62年参加し、ジャック・ブルースやジンジャー・ベイカーと知り合う。このふたりをリズム・セクションに迎え、ディック・ヘクトール・スミスのサックス、そして自らオルガンとボーカルを担当するバンドを結成した。グレアム・ボンド・オーガナイゼーションである。
デッカからシングル、EMI/コロムビアから2枚のアルバムを発表。66年にはブルース、ベイカーが相次いで脱退(そして彼らはエリック・クラプトンとともにクリームを結成するのは、皆さんご存じであろう)。ドラムにジョン・ハイズマンを迎えてトリオ編成となったが、67年9月に解散している。
アルバム「Solid Bond」は彼らの63年~66年のレコーディングをコンピしたもので、ジョン・マクラフリン在籍時のライブ録音も含まれている。70年リリース。
その中から今日は、ボンドのオリジナル「Only Sixteen」を。
スミスの激しいブロウで始まるブルース・ナンバー。ギターレスで、おもにサックスをフィーチャーしているせいか、かなりジャズ色が濃く感じられる。
サックスもさることながら、ボンドの粘っこいバリトン・ボイスといい、ブルースの重たいベース・ラインといい、ベイカーの手数の多いドラミングといい、全体にコテコテ風味の演奏が展開される。
こういう音って、好きな人、嫌いな人にはっきり分かれると思うけど、筆者は結構嫌いじゃないな。
それに、他のパートの重たさを、ボンドのオルガンがうまく和らげていると思うし、歌と演奏がいいバランスで拮抗しているのも評価したい。
ジャズ・フォーマットに大きく寄りかかってはいるが、単なるジャズではなく、ボーカル・ミュージック、いわゆる歌モノとしてもきちんと成立しているのは、さすがである。
アレクシス・コーナー同様、こういったさまざまな実験の成果を土台にして、ブリティッシュ・ロックは発展をとげていったといえそうだ。
歴史的に、非常に重要な記録なり。ぜひ聴いてみて。