NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#52 デトロイト・ジュニア「Anybody Can Have the Blues」(Turn Up the Heat/Blue Suit)

2023-05-23 05:02:00 | Weblog
2008年9月28日(日)

#52 デトロイト・ジュニア「Anybody Can Have the Blues」(Turn Up the Heat/Blue Suit)





デトロイト・ジュニア、95年リリースのソロ・アルバムより彼のオリジナルを。

デトロイト・ジュニアことエメリー・ウィリアムズ・ジュニアは31年、アーカンソー州ヘインズ生まれ。

晩年期のハウリン・ウルフ・バンドに加入、ピアニストをつとめていたひとだ。

70年代からソロ・アルバムを発表していたが、注目されるようになったのは、本作から。

アルバムは、彼の歌とピアノによる弾き語りの曲と、バックバンドがついたリズミカルなナンバーに大きく分かれるが、本曲は前者にあたる。

これがまあ、実に独特な味わいのブルースだ。やたらと力まず、塩辛声で飄々と歌いあげていくジュニア。

彼のピアノ演奏も、味わいがふかい。歌をそこなわず、しっかりとリズムを刻んでいく。見事な歌伴プレイ、まさに職人の仕事です。

当アルバムには、亡きボス・ウルフの代表作「Killing Floor」のカバーも収められているが、あえてバックをつけず、ピアノだけでガンガン歌いまくっている。なんともユニークな「Killing Floor」なのだ。

ジュニアは本アルバム発表の10年後、73才で亡くなっている。数枚のアルバムを置き土産に。

最晩年に10年間だけ、脚光を浴びつつこの世を去って行く。いかにも手練れの職人ブルースマンらしい、人生の引き際なんでないかな。

いわゆるプロフェッショナルな歌手ではないけど、本業のピアノだけ弾くのでなく歌もきっちりこなす、こういうのが本場のミュージシャンらしいところ。日本の歌わない(歌えない?)ミュージシャンの皆さんも、見習ってほしいもんだ。