2011年1月16日(日)
#156 ジージー・ヒル「Open House at My House」(Greatest Hits/Malaco)
#156 ジージー・ヒル「Open House at My House」(Greatest Hits/Malaco)
ブルースシンガー、ジージー・ヒルの代表的ヒット。ボビー・パタースン、ジェリー・ストリックランドの作品。
ジージー・ヒルことアーゼル・ヒルは1935年、テキサス州ネイプルズ生まれ。60年代からウェストコーストを中心に、ソウル・シンガーとして活動していた。初期のレーベルは、ケント、コロンビアなど。70年代には何曲かヒットも放っている。
ずっとソウル寄りだったそんな彼が、ブルース中心へとシフトしたのは80年代に入ってから。81年、マラコへ移籍、アルバム「Z.Z. Hill」をリリースする。翌年に出した「Down Home Blues」がスマッシュ・ヒットとなり、ジージー・ヒル=ブルース・シンガーというイメージが定着したのである。
残念ながら2年後の84年に48才の若さで他界。まだまだ活躍を期待されていただけに、その死を惜しむ声は多かった。
80年代、南部を中心にブルースがリバイバルを遂げたが、その原動力として、このジージー・ヒルの存在が大きかったという。
アフロヘアに秀でたおでこと豊かな口ひげ、ひじょうに濃いキャラのヒルだが、なんといってもその声が特徴的だな。塩辛声といいますか、タフガイ・ボイスといいますか、その無骨ながらハート・ウォーミングな声が、南部の素朴な人々を癒したといえそう。
きょうの一曲はもともと70年代にリトル・ジョニー・テイラーが放ったヒット。これをヒル流にカバー、熱く熱く歌いあげとります。
ヒルはボビー・ブルー・ブランドにも強い影響を受けており、歌い口にもそれが明らかにうかがえるが、ブランドをさらにいなたくラフにした感じで、まさにダウンホーム・ブルースの味わい。
マラコには死後リリースのものも含めて6枚のアルバムが残されているが、いずれも名盤との誉れが高い。
すでに30年近くの歳月が経過しているが、いいものはいつ聴いてもいい。ぜひ、ヒル謹製「濃い口のブルース」を、体験してみて欲しい。