NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#155 ビーディ・アイ「Bring The Light」(Big Brother)

2023-09-03 05:44:00 | Weblog
2011年1月9日(日)

#155 ビーディ・アイ「Bring The Light」(Big Brother)





英国のバンド、ビーディ・アイのデビュー曲。リアム・ギャラガーの作品。スティーブ・リリーホワイトのプロデュース。

ビーディ・アイとは、平たくいえば「オアシス・マイナス・ノエル・ギャラガー」。何かとケンカばかりしていたギャラガー兄弟の兄、ノエルが2009年ついにバンドを脱退。当初は残ったメンバーがオアシス名義で活動を続けることも考えていたが、結局ビーディ・アイに改名、再スタートを切ることとなった。

メンバーはリアム(vo)の他、ゲム・アーチャー(g)、アンディ・ベル(b)、クリス・シャーロック(ds)というオアシスの最終期メンバーがそのまま残った(ただし、ベルはベースからギターに転向)。

09年末よりデビューアルバムの制作に入り、すでに完成、この2月に「Different Gear, Still Speeding」いうタイトルでリリースされる予定だ。

新生オアシスであるビーディ・アイの新曲「Bring The Light」を聴いてみると、オアシス時代からけっこう変化があるのに気づく。

オアシスは基本、ギター・バンドであったが、この曲においてギターはほとんどアクセント程度。変わってメインにフィーチャーされているのが、ピアノだ。

イントロからノンストップで激しいビートを叩き出しているのは、90年代ウルトラサウンドというインディーズバンドにいたマット・ジョーンズというピアニスト。この人についてはこれ以上の情報がないのだが、これぞロックンロール!と快哉を叫びたくなるような、まことにパワフルなプレイを聴かせてくれるのだ。彼は今回、あくまでもゲスト参加のようなのだが、この曲では見事に影の主役となっている。

あと、もうひとつ特徴的なのが、リードボーカルのリアムに絡む、3人の黒人女性コーラスの存在。そのグループ名やメンツも不詳ではあるが、アイケッツやブラックベリーズをほうふつとさせる激しいダンスも披露してくれる。明らかにブラック・ミュージックの匂いが感じられるね。

つまり、これまでのビートルズ・フォロワー的なギターバンドからひと皮むけて、よりスケールの大きい、普遍的なロックンロール・バンドへと生まれ変わったような印象だ。リアム自身も、この方向転換に相当自信をもっているらしく、昨年のインタビューでは「オアシスよりビッグになる」と豪語しているほどだ。

たしかに、ジョーンズのイアン・スチュアートばりのプレイから見ても、ビートルズというよりはストーンズ的な方向に近づいている。メロディよりもビートを強調した、以前よりR&B、ロックンロール色の濃いサウンド。これは本国のみならず、アメリカのリスナーにもウケそそうである。

個人的なことを言うと、筆者は従来さほどオアシスを評価してはいなかった。あのギター・プレイがどうも好みではなかったのである。筆者はオールド・スクールなロックで育ってきたので、正直言ってああいう「弾きっぱなし」みたいなコード・カッティング、リズムの刻み方にはイマイチ乗れないのだ。

だが、今回はだいぶん見方を改めた。彼らはギター・バンド、あるいはフォーキーなテイストのバンドではなく、ボーカル先導型のロックンロール・バンドとして生まれ変わったのだ。そこに今後の活路を見出していくに違いない。

筆者としては若い世代のリスナーのようにリアムを神格化するつもりはないが、現役ロックミュージシャンの中では、シンガーとしてもソングライターとしても、非常にすぐれた才能をもった一人だと思う。

ビーディ・アイ、今後も目が離せないバンドだ。CHECK IT OUT!



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