NEST OF BLUESMANIA

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音曲日誌「一日一曲」#390 ローウェル・フルスン「Reconsider Baby」(Checker)

2024-04-30 08:28:00 | Weblog
2024年4月30日(火)

#390 ローウェル・フルスン「Reconsider Baby」(Checker)





ローウェル・フルスン、1954年リリースのシングル・ヒット曲。フルスン自身の作品。レナード・チェス、フィル・チェスによるプロデュース。アルバム「Hung Down Head」に収録。

米国の黒人ブルースマン、ローウェル・フルスンは1921年、オクラホマ州アトカ生まれ。父親の系統には先住民族の血が入っているという。幼少期に父が亡くなり、母とともに同州クラリタに移住し、ギターを弾き始める。

18歳で同州エイダに移りシンガー、テキサス・アレキサンダー(1900-1954)のバックをつとめた後、カリフォルニアへ移住。そこでレイ・チャールズと共演。41年から45年まで海軍に従軍。

復帰後の48年にレコードデビュー。ダウンビート、スウィングタイム、チェッカー、ケントといったレーベルでシングルをリリース。「Three O’Clock Blues」「Everyday I Have The Blues」「Blue Shadows」「Lonesome Christmas」「Black Nights」といった曲で、R&Bチャート上位にランクインするようになる。

アルバムは59年以降、アーフリー、ケント、ジュエル、チェスレーベルなどでリリース、中でも67年発表の「Tramp」は同題のシングル曲とともにヒットして、フルスンの名を高めた。

本日取り上げた「Reconsider Baby」は50年代、初期フルスンの最大級ヒット。R&Bチャートに15週連続で3位という輝かしい記録を打ち立てた。

テキサス州ダラスにて、ジュエルレーベルのオーナー、スタン・ルイスのディレクションによるレコーディング。メンバーはボーカル、ギターのフルスンのほか、ピアノのポール・ドレイク、ベースのボビー・ニコルスン、ドラムのチック・ブース、そしてテナーサックスのチョーカー・キャンベルをはじめとする四管ホーン。

曲調は、60年代後半のファンク・ブルースのイメージが強いフルスンとはだいぶん違って、ごくごくオーソドックスなシカゴ・スタイル。録音年代を感じさせる。

その歌詞内容はあまりにも有名で、典型的な「未練たらたら」ソングである。全編「考え直しておくれ」「帰ってきておくれ」という哀願で埋め尽くされた、なんとも情けない男のブルースだ。

でも、それが多くのリスナーの琴線に触れたんだよなぁ。また、彼のシンプルだが一音一音に心のこもったギター・ソロにも、心動かされる者が多いようだ。

このブルースは、70年経った現在でも、ブルースセッションでよく歌われている。歌っている人は、果たしてこの曲の主人公のような境遇に身を置いているかどうかというと、必ずしもそうではないと思う。わりと幸せな結婚を送っている人、幸福な恋愛に恵まれている人も、この曲を愛唱しているようだ。

そのくらい、誰にでも分かる振られ男の心情を、ストレートに歌った良曲なのだ。ブルースのスタンダードとして、今後も歌い継がれていくことは、間違いない。

エリック・クラプトン、ジョー・ボナマッサといった白人アーティストのカバーバージョンは知っているけど、まだオリジナルを聴いたことがないよ、という方は是非、オリジナルの切ない熱唱、熱演を聴いてみてほしい。ハートにグッときまっせ。

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