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音曲日誌「一日一曲」#381 ジョン・ハイアット「Riding With The King」(Geffen)

2024-04-21 07:40:00 | Weblog
2024年4月21日(日)

#381 ジョン・ハイアット「Riding With The King」(Geffen)





ジョン・ハイアット、1983年リリースのアルバム「Riding With The King」のタイトル・チューン。ハイアット自身の作品。スコット・マシューズ、ロン・ネーグル、ニック・ロウによるプロデュース。ロンドン録音。

米国のシンガーソングライター、ジョン・ロバート・ハイアットは1952年インディアナ州インディアナポリス生まれ。幼少期はエルヴィス・プレスリー、ボブ・ディラン、黒人ブルースを愛聴して育つ。11歳からギターを弾き出し、地元でバンド活動を開始する。

18歳でナッシュビルに移住、ソングライターの仕事を始める。楽譜を書けなかった彼は、すべての曲をレコーディングすることでしのぐ。20歳でバンド、ホワイト・ダックに加入。その活動と並行して、ソロでも活動を行う。

73年にエピックレーベルと契約、ファースト・シングル「We Make Spirit」をリリース。一方、彼の作品「Shure As Sitting Here」が人気バンド、スリー・ドッグ・ナイトに採用され、全米16位のヒット。ハイアットは一躍、注目のソングライターとなる。

74年、デビュー・アルバム「Hangin’ Around the Observatory」をリリースするも、セールスは振るわず、75年のセカンドも同様だったため、契約は終了。4年間、レコードを出せない状態が続く。

当初は典型的カントリー・ロックだった彼のサウンドも、70年代後半には当時台頭してきたニューウェーブのアーティスト、エルヴィス・コステロ、ニック・ロウ、グレアム・パーカーらの影響を受けて変化していく。

79年、MCAレーベルと契約、2枚のアルバムをリリース。82年にはライ・クーダー、ジム・ディキンソンとの共作「Across the Borderline」をフレディ・フェンダーが歌い映画「The Border」の主題曲となる。

同年、ゲフィンレーベルと契約。同レーベルでの2枚目、83年リリースのアルバムに、本日取り上げた「Riding With The King」がタイトル・チューンとして収められた。

このアルバムについてハイアット本人が「ようやく自分が何なのかを理解して、すべてを一枚にまとめた初めてのアルバムだ」という主旨の発言をしている。

それまでのさまざまな試行錯誤がついにひとつにまとまった、ミュージシャン、ハイアットとしての到達点ということだろう。

ロック、フォーク、カントリー、ブルース、R&Bといった彼に影響を与えてきた各種の音楽が、ハイアット・ワールドとして結実したのが、「Riding With The King」という曲なのだ。

シングルリリースこそされなかったが、この曲は他のミュージシャンの心にも強く響いたようで、17年後に有名なカバー・バージョンが登場する。

ご存知、2000年にリリースされたエリック・クラプトンとB・B・キングの共演アルバム「Riding With The King」におけるタイトル・チューンである。ハイアットは、そのレコーディングのために歌詞を書き直している。

そしてさらにもうひとつ、印象的なカバーが16年後に登場する。ギタリスト/シンガーのジョー・ボナマッサが2016年にリリースしたライブ盤「Live At The Greek Theatre」にスタジオ録音で収録されたバージョンである。こちらは女性シンガー、マへリア・バーンズが共演している。

いずれのカバーも、ハイアットのソウルフルな曲調を生かした、ドライブ感のあるサウンドに仕上がっている。4人の歌い手の、張りのあるボーカルも実にいい。

これらのおかげで、「Riding With The King」という曲は再度リスナーに注目され、80年代アメリカン・ロックのスタンダードとなった。

オリジナル・バージョンは、ガッツのあるギターとオルガンのサウンド、そしてハイアットの塩っ辛い個性的な歌声が一度聴いたら耳を離れない。

50年の長きにわたって、20枚以上のアルバムの曲を自ら作り、歌い続ける。これは並大抵の才能で出来ることではない。

ハイアットの作品にはこの曲以外にも、バディ・ガイがカバーした「Feels Like Rain」など、メロディアスで心に残るナンバーがいくつもある。ぜひ聴いてみてほしい。

ジョン・ハイアット、71歳。これからもまだまだ、良曲を数多く作ってくれそうだ。









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