NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#64 トミー・フラナガン・トリオ「オーヴァーシーズ」(DIW)

2022-01-17 06:01:00 | Weblog

2001年9月22日(土)



トミー・フラナガン・トリオ「オーヴァーシーズ」(DIW)

「歌伴の達人」とよばれるモダンジャズ・ピアニスト、トミー・フラナガン率いるトリオによる名盤中の名盤。57年リリース。

スイングジャーナル誌でゴールド・ディスクを受賞したことから、ご存知のかたも多いだろう。

ベース:ウィルバー・リトル、ドラムス:エルヴィン・ジョーンズ。

アップ・テンポのパーカー・ナンバー「リラクシン・アット・カマリロ」で軽快に始まり、リリカルなエリントン・ナンバー「チェルシー・ブリッジ」、ラテン・リズムのオリジナル曲「エクリプソ」とたたみかけるように展開し、聴く者の耳を退屈させるということがない。

フラナガンの玉をころがすようなタッチ、リトルの堅実で粘り強いベースライン、そしてジョーンズのスティック、ブラシを自在に使い分け、あらゆるリズムを難なく叩き出すドラミング。すべてが完璧なプレイだ。

「ダラーナ」でのリラックス・ムード、「ベルダンディ」でのバド・パウエル・ライクな超高速ピアノ・ソロ&リズムワークもいい。

しかし、なんといっても白眉は、失恋した女性がその心情をうたったという曲、「ウィロー・ウィープ・フォー・ミー」だろう。

ブルース・スピリットに溢れたフラナガンのソロ・プレイは、すべてのリスナーの心をゆさぶるものがある。






ジャズだの、ブルースだの、ポップスだのといったジャンルを、完全に超越しているのだ。

もちろん、「ビーツ・アップ」、「スコール・ブラザーズ」、「リトル・ロック」といったフラナガンのオリジナルすべてが、「うた心」に満ち溢れている。

当時、トリオのメンバーは全員が20代(意外!)。

しかし、若さにまかせたパワーだけでなく、細部に至るまできちんと仕上げられたそのサウンドには、円熟味さえも漂っている。

彼らの、音楽への深い理解が感じ取れるのである。

聴かずにいては絶対ソン!な一枚。日頃ジャズを聴かれることのないかたにも、おススメしたい。



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