2002年8月5日(月)
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クリーム「LIVE CREAM VOLUME II」(Polydor POCP-2267)
(1)DESERTED CITIES OF THE HEART (2)WHITE ROOM (3)POLITICIAN (4)TALES OF BRAVE ULYSSES (5)SUNSHINE OF YOUR LOVE (6)HIDEAWAY
クリーム、ダメ押しの一枚。これは72年にリリースされた、「LIVE CREAM」の続編。
(1)~(3)はオークランド・コロシアムでのライヴ。「GOODBYE」には収録されなかった解散ツアーでの録音である。
「WHEELS~」に収録されていた(1)のライヴ版は4分半程度といささか短めだが、クラプトンのソロがストレートでスピード感にあふれ、なかなかカッコよろしい。コンパクトにまとまっているので、コピーにはいいかも。
(2)はクリームの大ヒットのひとつ。オリジナルの「WHEELS~」版にくらべると、生演奏ゆえのラフさが相当目立ち、録音状態も必ずしもよくない。
まあ、それでも、クラプトンのワウ・ペダルを駆使した迫力あふれるソロは、ギタリストなら一聴に値いするだろう。
(3)は、「GOODBYE」でもライヴが聴かれた一曲。聴きくらべてみると、テンションの高さ、リズムの切れ、ギターの音色といった点で、「GOODBYE」版のほうに軍配が上がりそうだ。
(4)~(6)は68年3月、ウィンターランドにての録音。後半はいわば「WHEELS~」のアウトテイク集である。当然、あのサイケペイントSGを弾いている。
(4)は循環コードで(2)に曲調が似た、セカンドアルバム所収の一曲。というかこの曲をプロトタイプとして(4)が生まれたんだから、似ているのは(2)のほうか。
ここでもワウ・プレイが全開。このクラプトンのサウンドが、ジミ・へンのそれと並んで一躍ワウ・ペダルの存在を世界に知らしめたのだといえる。
(5)も、(2)と並ぶ彼らの代表的ヒット。セカンドアルバム所収。こちらのほうが(2)よりもライヴ向きといえ、シンプルかつハードな演奏が実にいい。
スタジオ版のアレンジをさらにエクステンドして、後半には延々とギター・ソロが続くのもクラプトン・ファンにはうれしいところだ。
(6)はりリース当初は「ステッピン・アウト」(メンフィス・スリムでおなじみ)とクレジットされていたのだが、のちにフレディ・キング作の(6)に改められたという、いわくつきのナンバー。フレディを師と慕い、印税が彼のもとへいくようにしたいという、弟子・クラプトンの気持ちのあらわれのようだ。(ええ話やな~)
この曲は本盤のハイライト。13分半以上にもおよぶ長編で、フレーズが尽きるということを知らないクラプトンの才能に、圧倒されない奴はそういないはず。
とにかくギターで出せる音階はすべて出してみました、という感のある「音の洪水」。「クロスロード」とはまたひと味違った、彼の幅広い世界がじっくり味わえる。
さて、三作にわたって、ライヴものを中心にクリームを聴いてみた。
で、総評なのだが、たしかに彼らのテクやパワーはスゴい。一曲を10分、15分も延々と演奏して、しかもネタ切れにならないところもスゴい。
しかし、あくまでも「スゴい」で終わってしまいがちなのが、彼らの限界であったかも知れない。
何度も繰り返して聴いていくと、若干食傷気味になる、そういうトゥー・マッチなところが、彼らのサウンド(特にライヴ)にはある。
モダンジャズのインプロヴィゼイションは、繰り返し聴いてもまずあきるということがないのに比べ、彼らのインプロヴィゼイションは(特にレコード・CDで聴くと)何度も聴くのはしんどい。
スゴい演奏イコール必ずしも素晴らしい音楽とはならない、これが音楽の難しく、奥の深いところだ。
クラプトンが後にアメリカン・ロックに目覚め、大きくサウンドを変化させていったのも、無理からぬものがあると思う。
到達点ではなく、経過点としてのクリーム。この二年間を経ることで、クラプトンはかつてのようにブルース一辺倒ではなく、幅広い音楽性を求め、羽ばたくことになったのだと思う。
<独断評価>★★★☆