NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#286 スティーリー・ダン「two against nature」(GIANT/BMGファンハウス BVCG-21003)

2022-08-27 05:00:00 | Weblog

2005年10月9日(日)



#286 スティーリー・ダン「two against nature」(GIANT/BMGファンハウス BVCG-21003)

スティーリー・ダン、2000年リリースのアルバム。彼らによるプロデュース。

出す作品、出す作品がファンの期待を裏切ることがない、つまり高いクォリティを常に維持できるという意味において、スティーリー・ダンは稀有なユニットといえるだろう。曲、ヴォーカル、サウンド、いずれをとっても手抜きというものが全くない。

サウンドだけをとってみれば、スティーリー・ダンと同様の、質の高い演奏を聴かせるフュージョン系、あるいはジャズ系ミュージシャン、グループは少なからずいる。

だが、ヴォーカルも含めてとなると、そうはいかない。というか、他に誰もいない。スティーリー・ダンのユニークさはまさにその一点、インストではなく「歌もの」が基本である、というところに集約されるのだと思う。

ドナルド・フェイゲンのあの独自の「声」抜きには、スティーリー・ダンのサウンドは成立しない。

一般に「歌もの」の曲は、メロディがいかに美しいか、印象に残るか、ということが大切なのだが、彼らにおいては、もはやそれさえ余り重要なことではなく、フェイゲンの声という「楽器」がどのようなトーンで曲を奏でるかが一番ポイントになっている。「エイジャ」のころにはまだあったポップさも、影を潜めている。

言い直せば、一曲一曲に大した違いなどなくて、ほぼ金太郎飴状態。起承転結みたいな構成はまったくない。

もし、メリハリのようなものがあるとすればリリック、つまり歌詞面においてであろうが、残念ながら英語ネイティブではない筆者には、そのへんの批評・評価はうまくできない。スマソ。

ある意味相当ワンパターン。にもかかわらず、音の質はおそろしく高い。

ツアーのバックバンドを母体に、有名ミュージシャンのゲスト(ヒュー・マクラッケン、ポール・ジャクスンJRほか)も加えたバックは、ジャズ、フュージョン、ファンク、ラテン等々、どのようなスタイルの演奏もソツなくこなす集団。

この助っ人たちの好サポートを得て、おなじみの成熟した精緻なサウンドが展開する。

あまりに成熟し過ぎているためか、いまどきの若いひとたちにはピンと来ないかもしれないが、すぐれた音楽とはこういうものだよと、おせっかいながら彼らにこそ聴かせたいサウンドだ。

まずはオープニング・チューン「ガスライティング・アビー」から聴いてみるべし。流行りのヒップ・ホップなんかより百倍ヒップな音楽が、そこにはあるぜ。

<独断評価>★★★★


この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 音盤日誌「一日一枚」#285 サ... | トップ | 音盤日誌「一日一枚」#287 ボ... »
最新の画像もっと見る