2009年2月14日(土)
#65 ビッグ・ジョー・ウィリアムズ「Wild Cow Moan」(Big Joe Williams and the Stars of Mississippi Blues/JSP)
しばらく更新が出来なくてゴメン。三週間ぶりの一曲はこれ。ビッグ・ジョー・ウィリアムズ、45年の録音から。トラディショナルにウィリアムズが手を加えたナンバーだ。
ビッグ・ジョーは1903年、ミシシッピ州クロフォード生まれ。
ギター一台を道連れに、街から街へと演奏旅行をして渡り歩く、典型的な放浪のミュージシャンだった。
したがって彼の録音は弾き語りスタイルのものが多いが、これは珍しくバンド編成のもの。
彼と同じく放浪のブルースマン、サニーボーイ・ウィリアムスンIIのハープ、ランサム・ノウリング、ジャッジ・ライリーのリズム隊がバックをつとめている。
ビッグ・ジョーの音は、一聴してすぐわかる。声も枯れた味わいで特徴があるし、ギターも9弦という変則的なもので、高音部の響きが独特だから、間違えようがない。まさにオリジナルなのだ。
82年に79才で亡くなるまで終生、ビッグ・ジョーはカントリー・ブルースのスタイルを変えなかったが、この曲もまた、典型的な田舎のブルース。
歌詞がまずいなたく(野生の牛だもんね、まさに村(ソン)の世界!)、歌唱もまた、ひなびた感じ。ギター演奏も実にそれっぽい。さらにサニーボーイのもの憂げなハープが、歌やギターを引き立てている。
以前に「一日一枚」で、彼とライトニン、テリー&マギーと共演したライブの曲を取り上げたことがあるが、その四人の中でも、ビッグ・ジョー・ウィリアムズは、ダントツでいなたい(あ、この場合の「いなたい」は、勿論、ほめ文句だからね)。
ミシシッピという土地とともに生き、死んだブルースの巨人。このどっしりとした生き方、憧れですわ。
ビッグ・ジョーのように音楽と日常生活が一体化している、そういう「生涯ミュージシャン」を、ワタシも目指したいと思っております。ハイ。