2024年2月27日(火)
#327 ロバート・ナイトホーク「Someday」(Chess)
#327 ロバート・ナイトホーク「Someday」(Chess)
ロバート・ナイトホークのシングル曲。64年リリース。ナイトホーク自身の作品。
ナイトホークは本名ロバート・リー・マッカラムといい、1909年アーカンソー州ヘレナ生まれ。幼少期に家を出て大道芸人となり、ミシシッピ州を経てメンフィスにしばらく定住。スライド・ギターをヒューストン・スタックハウスに学んでマスターし、ミシシッピ州ジャクソンのラジオで師と共に演奏していた。
ステージネームとして母方の姓からとってロバート・リー・マッコイと名乗り、ビッグ・ジョー・ウィリアムズ、サニーボーイ一世らと共に30年代末にレコーディング。当時はアコースティック・ギターを弾いていた。
カンザスシティ・レッド、アイク・ターナーといったメンバーと共に、いくつものレーベルでレコーディングしたが、40年代半ばにいったん廃業。
48年にエレクトリック・ギターを携え、ロバート・ナイトホークという芸名でカムバック。マディ・ウォーターズの例で分かるように、時代はやはり、エレクトリック・サウンドを求めていたのである。
アリストクラット、チェスレーベルで出したシングルがヒットする。代表曲は「Black Angel Blues」「Anna Lee」「Jackson Town Gal」など。これらの曲はチェスのコンピレーション盤「Drop Down Mama」に収録されて、今でも聴き継がれている。
これらの40年代末の曲は、ピアノのアーネスト・レーン、ペースのウィリー・ディクスンらから成る、ザ・ナイトホークスというバンド名がクレジットされている。
チェスでのレコーディングは50年までで、その後はユナイテッド、あるいはステイツレーベルでレコードをリリースしたものの、さしたるヒットは出なかった。
本日取り上げた「Someday」はその後64年にリリースした曲。ハーブにビッグ・ウォルター・ホートン、ギターにヒューバート・サムリン、バディ・ガイ、ペースにジャック・マイヤーズ、ドラムスにクリフトン・ジェイムズを配したメンバー。お馴染みのブルースミュージシャンが勢ぞろいといった感がある。間奏の、いなたいギターソロはサムリンかな?
手だれのバックのおかげもありこの曲、実にのびのびとした演奏に仕上がっている。ナイトホークのボーカルは、スローな曲ではネットリとした感じがちょっと鼻について、聴く人を選んでしまうところがあるのだが、アップテンポの本曲では、それもあまり気にならない。筆者としても、スローナンバーよりこちらの方が断然好みである。
曲調も軽快、メロディアスで歌いやすく、なかなかの良曲なのだが、ブルース・ファンにさえあまり知られていない。ブルース・セッションで歌われることも、オーセンティックなシカゴ・ブルースばかり演るタイプのセッションを除けば、ほとんどない。これはとても残念なことだ。
非シカゴ系、ブルース・ロック中心のセッションでも、もっと歌われていい曲だと、筆者は思っている。歌詞をネット検索してもまったく出てこないのが、最大のネックなんだろうな。
筆者としては、そのうち自分のレパートリーに加えられたらと思っている。そのくらい、歌い手の意欲をかき立てる、キャッチーさがあるのだ。ぜひ、この隠れた名曲をチェックしてみて欲しい。