NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#369 DEREK & DOMINOS「LAYLA & OTHER ASSORETED LOVE SONGS」(Polydor POCP-1151)

2022-11-18 05:00:00 | Weblog
2000年11月某日



#369 DEREK & DOMINOS「LAYLA & OTHER ASSORETED LOVE SONGS」(Polydor POCP-1151)

デレク&ドミノス。1970年にエリック・クラプトンが結成した4人組グループ。このファースト・アルバムではゲストに"スカイ・ドッグ"デュアン・オールマンを加え、緊迫感あふれる演奏、そして、リラックスしたクラプトンのヴォーカルを聴くことが出来る。

この邦題「いとしのレイラ」なるアルバムでも、数曲のスタンダード・ブルースが取り上げられている。

まずはJ・コックス作曲の「だれも知らない」。夭折の天才R&B歌手、サム・クックのヴァージョンで知られているこの曲を、クラプトンはよりブルージーにアレンジして歌っている。

次には、「ハイウェイへの関門」。これは多作で有名なビッグ・ビル・ブルーンジーの作品だが、マディ・ウォーターズも「ロンドン・セッション」で自分の曲ということにして歌っている。著作権に関していい加減なのはZEPだけではないということか。フェード・インで始まる演奏は、延々とエンドレスな乗りで続く。デュアンの空間を切り裂くようなスライド・プレイが光る名演。

もう1曲はB・マイルズ作の「愛の経験」。これはクラプトンの敬愛するフレディ・キングの超熱演ヴァージョンが有名だが、クラプトンも思い切りディープに歌い込んでいる。

もちろん、オリジナル曲も、形式こそオーソドックスなブルースではないが、ブルース・スピリットに満ちあふれている。

アルバムタイトルともなった「いとしのレイラ」。ここでのオールマンのスライド・プレイは、すべてのスライドギター奏者の琴線に触れるパーフェクトな出来であると言えるだろう。そして忘れていけないのは、クラプトンの渾身のシャウトだ。かつて歌が上手いとは言われなかった彼が、ここまで成長するとは誰が想像しただろう。

「リトル・ウィング」は、クラプトンにとって最大のライバルだったジミ・ヘンドリクスの作品。ジミ版とは異なったアレンジに、ECの「意気地」を感じる好トリビュートである。

一方、コーラス・ワークが充実しているのが、このバンド、そしてこのアルバムの際立つだった特長だ。「テル・ザ・トゥルース」にせよ、「キープ・オン・グロウイング」にせよ、「エニーデイ」にせよ、クラプトンの相方としてのボビー・ウィットロックの歌唱力無くしては、成立しなかった曲だと思う。

全14曲、まったく捨て曲のない密度の高い内容。ロック・スタンダードとして永久に残る1枚と言えそうである。

<独断評価>★★★★★

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