2009年3月1日(日)
#67 ジュニア・ウェルズ「Everybody's Gettin' Them Some」(Everybody's Gettin' Some/Telarc)
早いもので、もう3月になってしまった。今月の一曲目は、これ。ジュニア・ウェルズ、晩年(95年)のアルバムより、フレッド・ジェイムズの作品を。
ジュニア・ウェルズについては、今までほとんど取り上げる機会がなかったが、ブルース史上、非常に重要なアーティストのひとりだ。
本名エイモス・ブラックモア。34年、アーカンソー州ウエスト・メンフィスに生まれ、50年代よりシカゴ・ブルースの立役者として活躍、60年代以降はファンク色を強めていく。98年に63才で亡くなっている。
ジュニア・ウェルズといえば、ギターのバディ・ガイとのコンビがあまりにも有名だが、ピンでの録音も結構あり、このアルバムはそのひとつ。
ギタリストとして、バディ・ガイの代わりにボニー・レイット、カルロス・サンタナ、サニー・ランドレスといったベテラン、実力派をゲストに迎えた、なかなかの話題盤だ。
この「Everybody's Gettin' Them Some」はほとんどカバーされていない曲だが、なかなかファンキーでロック感覚にも溢れる、いかしたブルースだ。
歌はジュニア・ウェルズからスタート、ボニー・レイット姐さんが途中から絡んでくる。スライド・ギターも弾く彼女だが、この曲ではサニー・ランドレスにまかせて、歌に徹している。このふたりの相性がなかなかよろしい。声質もうまくマッチングしている。
ジュニア・ウェルズの歌って、シャウトし過ぎず、ちょっとドスをきかせた低めの声が、いい感じなんだわ。
ボニーのツボを押さえたコーラス・ワーク、サニーの伸びやかでパワフルなプレイも楽しめて、一粒で三度おいしい、そんな一曲なんであります。
ジュニア・ウェルズ=おどろおどろしい、はったりじみた、みたいなイメージの強い人で、それはそれで間違いじゃないですが、基本は実にしっかりとした歌がうたえる人なのです。
60代に入ってなお意気軒昂なジュニアの会心の一曲、ぜひ一聴を。