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音曲日誌「一日一曲」#143 マウンテン「Hotel Happiness」(Man's World/Dream Catcher Records)

2023-08-22 05:16:00 | Weblog
2010年10月17日(日)

#143 マウンテン「Hotel Happiness」(Man's World/Dream Catcher Records)





70年のデビュー以来、現在も活動を続けるアメリカの代表的ハードロック・バンド、マウンテン、96年のアルバムより。レズリー・ウェスト、エディ・ブラックの共作。

マウンテンは、クリームの名プロデューサー、フェリックス・パッパラルディ(b)が、彼が見出したギタリスト、レズリー・ウェストとともに結成。当初のメンバーは、彼ら二人とスティーヴ・ナイト(kb)、コーキー・レイング(ds)の4人であった。

ハードロックをベースに、音楽的素養豊かなパッパラルディのアイデアをフルに駆使した、華麗なサウンドでまたたくまにブレイク。

一時はグランド・ファンクと並んでアメリカン・ロックを牽引するスター・バンドとして君臨したかに見えたが、バンドの双頭、パッパラルディとウェストの音楽的指向の違いから、活動に不協和音が生じるようになり、72年に解散。

その後、二人はそれぞれの道を歩むが、パッパラルディは83年、妻に射殺されており、一方、ウェストは、何度もマウンテンを再結成し、現在もその活動を続けている。なんとも対照的な末路ではある。

さて、今日の一曲は、96年、11年ぶりにレコーディングされたアルバムから。

メンバーは、ウェスト、レイング、そしてマーク・クラーク(b)。クラークはユーライア・ヒープ、コロシアムに在籍したこともある実力派。

この3人が生み出すビートは、実にタイトでヘビー。カッコいいの一言だ。

パッパラルディが仕切っていた第一期マウンテンは、ウェストにとって自由に好きなことを出来る環境とはいいがたかったが、パッパラルディが去った後は、実にのびのびとプレイしているように思える。

きょうの一曲もまた、ウェスト本来の「ブルース指向」がはっきりと感じられるナンバー。

その巨大な手がレスポールから軽くひねり出すように弾くブギのリフは、強力にして堅実このうえない。

そして、その熱くソウルフルなシャウトは、ウェストの目指す音楽をそのまま現わしている。

第一期マウンテンの名曲「アニマル・トレーナー」を彷彿とさせる、陽性でファンキーなチューン。

音楽的に特にひねりはないが、ストレートなパワーに満ち溢れている。

このアルバムを発表した頃、ウェストは持病の糖尿病のためげっそりと痩せてしまい、かつての巨漢とはまったく別のイメージになってしまっていた。

でも、太っていようが痩せていようがウェストはウェスト、そのハイテンションな声とギター・プレイが健在な限り、全然オッケーなのだ。

初期マウンテンのドラマチックなサウンドも捨て難いが、ウェストの本来の持ち味は、やはりブルースにあり。コテコテの歌とギター、楽しんで欲しい。



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