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音曲日誌「一日一曲」#405 ココ・テイラー「Wang Dang Doodle」(Checker)

2024-05-15 09:01:00 | Weblog
2024年5月15日(水)

#405 ココ・テイラー「Wang Dang Doodle」(Checker)




ココ・テイラー、1966年リリースのシングル・ヒット曲。ウィリー・ディクスンの作品。ディクスン、レナード・チェス、フィル・チェスによるプロデュース。1969年リリースのアルバム「Koko Taylor」に収録。

米国の女性ブルースシンガー、ココ・テイラーは1928年、テネシー州メンフィスで小作人の娘、コーラ・アン・ウォルトンとして生まれる。

教会でゴスペルを歌い、また兄弟と共にブルースを演奏するようになる。ココはチョコレート好きだったためについたニックネームである。

20代半ばの53年、トラック運転手のロバート・テイラーと結婚、職を求めてシカゴに移住する。昼間はメイド、夜はクラブ歌手という日々を送る。

チャンスは約10年後の62年、プロデューサーのウィリー・ディクスンと知り合ったことから始まる。翌63年、彼のプロデュースで初シングル「Like Heaven To Me」をUSAレーベルよりリリース。

その後、ディクスンの紹介により大手レーベルのチェスと契約、彼がかつてハウリン・ウルフに提供していたナンバーをカバーしてシングルリリース、これが特大のヒットとなる。

それが本日取り上げた一曲、「Wang Dang Doodle」である。

ウルフによるオリジナル・バージョンは1960年に「Back Door Man」「Spoonful」と一緒にレコーディングされ、翌年シングルリリースされた。アルバムでは62年リリースの「Howlin’Wolf」(いわゆるロッキン・チェア・アルバム)に収録されている。シンプルなワンコード構成のブルース・ナンバー。

ココ・テイラー版のバックミュージシャンはギターのバディ・ガイとジョニー・ツイスト・ウィリアムズ、ピアノのラファイエット・リーク、ペースのジャック・マイヤーズ、ドラムスのフレッド・ビロウ、アルトサックスのジーン・バーン。チェスの抱えるお馴染みのスタジオミュージシャン達であった。

ココ・テイラーはこの曲で、そのワイルドでパワー溢れる歌声をフルに生かして、「女性版ハウリン・ウルフ」とでも言うべきスタイルを確立した。

そのシャウトは過去のあらゆる女性シンガーをしのぐ、超弩級の迫力を持っていたと言える。

本曲はR&Bチャートで4位となっただけでなく、全米でも58位を獲得した。そのくらい、彼女のエモーショナルな歌声は人種を越えて多くのリスナーに衝撃を与えたのだ。

以後のテイラーは、「Wang Dang Doodle」ほどのスマッシュ・ヒットは出せなかったものの、米国内のツアー、あるいは渡欧してフェスティバルに出演するなど、ライブで活躍する。

アルバムもチェスのほか、ブラックアンドブルー、そして1975年以降2000年代に至るまでアリゲーターレーベルにおいて長年リリースを続けて、ブルース界の女王としての地位を築き上げた。

テイラーは2009年に、80歳ちょうどでこの世を去っている。

Youtubeのような動画サイトでも数多く彼女の生前のパフォーマンスを観ることが出来るが、常にアッパーなテンションでパワフルな歌声を聴かせてくれるのが、なんとも頼もしい。

レコードデビュー時には、すでに30代後半で既婚者。いわゆるルックス売り、ドル売りとは無縁で、ただただ歌の実力のみでここまでのポジションを掴んだのは、さすがである。

男勝りのシャウトに、ブルースの真髄を感じる一曲。女王陛下に「敬礼!」である。




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