2007年3月25日(日)
#352 サニーボーイ・ウィリアムスンII「DOWN AND OUT BLUES」(MCA/Chess CHD-31272)
サニーボーイ・ウィリアムスンIIの、チェスにおけるファースト・アルバム。59年リリース。
この一枚を取り上げる以上、ジャケ写について触れないわけにいくまい。とにかく、一度見たら忘れられない、強烈なショットだ。
モデルは、ホームレスの老人という説もあれば、老ブルースマンという説もある。まあいずれにせよ、この一枚の写真が、このアルバムの音楽世界をまんま象徴していることに間違いない。
知らない人が見たら絶対、この老人=サニーボーイと勘違いしそうだが、あえてそれを狙ったフシもあるな。
ジャケ写が強烈なら、また中身もスゴい。これぞサニーボーイ、これぞブルース!なんである。
全12曲は、ホント、選りすぐりのシングル集。マディ・ウォーターズのバンドをバックに迎えたチェッカーでの初録音M1、M3(55年)以外は、ロバート・ジュニア・ロックウッド、ルーサー・タッカーを中心とするバンドでの録音(56年~58年)。
サニーボーイの歌、そしてハープはすでにスタイルが完成している。ある意味、全編金太郎飴的な内容なのだが、それがまた「一芸」で勝負するサニーボーイらしい。
そう、個々の曲を聴くというよりは、サニーボーイの音楽世界に触れるという感じ。そこが彼のアルバムを聴く上での重要なポイントなのだよ。
曲はすべてサニーボーイのオリジナル。M5はシングル曲の「KEEP IT TO YOURSELF」でなく、本当は「PLEASE FORGIVE」というタイトルの曲なんだそうな。
本盤において、サニーボーイの歌/ハープが素晴らしいのはいうまでもないのだが、同じぐらい際立っているのが、バンド・リーダー的な役割のロバート・ジュニア・ロックウッド。
彼のあくまでも硬質で緻密なプレイは、人間臭くホットなサニーボーイのそれと好対照をなしている。
ロックウッドのソリッドなギターは、ブルース・ギターのひとつの究極形、そんな気さえする。
「オレがオレが」的プレイに走ることなく、あくまでも、メインディッシュである「歌」を立たせる、バッキングに徹したプレイ。さすが音職人・ロックウッドやなぁ。
サニーボーイとロックウッドの、絶妙なコンビネーションを聴いてほしい。
これぞ掛け値なしの名盤。一切ハズれなしの12曲であります。
<独断評価>★★★★★