2024年2月21日(水)
#321 ジミー・リード「High and Lonesome」(Vee-Jay)
#321 ジミー・リード「High and Lonesome」(Vee-Jay)

ジミー・リードのデビュー・シングル曲。1953年リリース。リード自身の作品。
ジミー・リードは1925年、ミシシッピ州ダンレイス生まれ。後に組んでレコーディングすることの多かったエディ・テイラーとは幼なじみで、楽器もテイラーから教わったという。
40年ごろシカゴに移住。兵役を経てインディアナ州ゲイリーに移る。ここで、ジョン・ブリムやアルバート・キングといったミュージシャンと知り合い、その伝手でゲイリーにあるレコード会社、ヴィージェイと契約してレコードデビューを果たした。それがこの「High and Lonesome」である。
盟友テイラーと共に録音した本曲は、テイラーの代表作「バッド・ボーイ」にもよく似た雰囲気の、ミディアム・スロー・キューン。
お馴染みの、ハーモニカ・ホルダーに挟んだハープを吹きながら歌うスタイルが、すでに確立している。
歌声にもまた、いかにもリードらしい、ラフで気だるけなムードが漂っている。
ギターのコンビネーションプレイもよく、曲の出来ばえとしては、十分合格点だと思う。
しかし残念ながら、この曲がヒットチャートに登場することはなかった。次のシングル、アップテンポのインスト曲、「Jimmy’s Boogie」にしても同様である。
2年後の55年、ようやく三度目の正直、「You Don’t Have to Go」でR&Bチャート5位のクリーン・ヒットを放ち、知名度を一気に上げたのである。
なぜ「You Don’t Have to Go」がヒットしたか考えてみると、単なるテンプレートなブルースではなく、メロディラインやハープのプレイに、リードならではのオリジナリティが過去曲よりも強く出ていることが挙げられるのではないかな。
つまりシンガーソングライターとして、初めて認められたのが「You Don’t Have to Go」なのだと思う。
その一方で「High and Lonesome」は、リードの作品群では一番埋もれてしまった曲ということになるが、後にリリースされた「The Legend - The Man」などのコンビネーションアルバムで聴くことが出来る。
孤独感を抱えつつも、けなげに生きる男のブルース。グッと来ます。