2004年12月19日(日)
#252 ピチカート・ファイヴ「PIZZICATO V in the Audrey Hepburn Complex」(NON-STANDARD 12NS-1003)
ピチカート・ファイヴのデビュー盤(12インチシングル)。85年5月リリース。細野晴臣プロデュース。
84年結成だから、もう20年選手ってことか。筆者は何故かデビュー当時から彼らを知っていたのだが、歳月のたつのは早いもんだ。
当時のメンバーは小西康陽(B,Kb,Vo)、高浪敬太郎(G,Kb,Vo)、鴨宮諒(Kb)、佐々木麻美子(Vo)の4人。
彼らがブレイクするのは、3代目ヴォーカル・野宮真貴が加入してからだが、無名時代もけっこうユニークで面白い音を出してた。
本当に久しぶりに聴き直してみて思ったのは、シブヤ系音楽の開祖とか後に呼ばれことになる彼らも、当初は「テクノポップ」バンドだったのね~ということ。
「オードリー・ヘップバーン・コンプレックス」とか「59番街橋の歌(フィーリン・グルーヴィー)」(S&Gでおなじみのあの曲ね)とか聴いてみても、バックのサウンドはまさにYMOからの延長線上にある。
ベースはシンセによるテクノ・サウンド。その上に生ピアノやウクレレ、コーラス等の凝ったアレンジが加わって、彼ら独自の音世界が生み出されている。
これに麻美子の、か細いヘタウマ(というかヘタヘタ?)ヴォーカルが乗っかり、気分は何とも「アート&モード」。
一般受けの要素はないけど、アルバムジャケットの表裏のデザインとか、昔の洋画のお洒落なセンスがぷんぷんしていて、いわゆる高感度な人々の支持は高かった。
かくいう筆者も、他人には推薦せずに密かにこういうレコードを愛聴していたわけで、いま考えてみると、ちょっとキモかった?
まさに当時の「旬」の音だったわけで、今聴くとかなり違和感を禁じえない。この手の「お洒落系」の音は、質実剛健系の音とは対照的に、モロ歳月を感じてしまいますな。
とはいえ、現在は著名なれど当時アマチュアに毛が生えたくらいのアーティストであった小西康陽、高浪敬太郎らが、その頃から高いセンスを感じさせる作品作りをしていた、これが本盤の聴きどころでありましょう。
ところで、小西康陽といえば、近年はアイドル・シンガーのプロデュースにもけっこう力を入れていて、一番最近では小倉優子の新曲「オンナのコ オトコのコ」を手がけている。これがなかなか面白い。
彼女のヘタヘタ系ヴォーカルをうまくカヴァーするように、語りっぽいメロディに仕上げている。これって、フレンチ・ポップスの手法だよな。佐々木麻美子以来、小西康陽は歌が下手な女性シンガーと妙に相性がいい(笑)。一度聴いてみそ。
<独断評価>★★★☆