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音盤日誌「一日一枚」#172 エアプレイ「ロマンティック」(RVC RVP-6456)

2022-05-05 05:00:00 | Weblog

2003年6月21日(土)



#172 エアプレイ「ロマンティック」(RVC RVP-6456)

エアプレイ、最初にして最後のアルバム。80年リリース。

エアプレイとは、プロデューサー、コンポーザー、アレンジャーとして名高いデイヴィッド・フォスター(kb)、ジェイ・グレイドン(g)のふたりに、ヴォーカルのトミー・ファンダーバーグが加わったユニット。

アルバムには彼らに加えて、親交のあったミュージシャンが多数参加している。TOTOのジェフ&スティーヴ・ポーカロ兄弟、スティーヴ・ルカサー、デイヴィット・ハンゲイト、レイ・パーカー・ジュニア、ビル・チャンプリン、トム・ケリーほかの豪華な面々だ。

<筆者の私的ベスト3>

3位「NOTHIN' YOU CAN DO ABOUT IT」

フォスター、グレイドン、スティーヴン・キップナーの作品。

もともとは前年、グレイドンがマンハッタン・トランスファーのアルバム「EXTENSIONS」をプロデュースした時に提供した楽曲。

つまり、作者自身によるパフォーマンスなわけだが、これもマントラ版に負けず劣らず、いい出来だ。

衝撃的なブラスのイントロからいきなり、フォスター=グレイドンのファンクな世界が全開。

中間部では、グレイドンの天翔けるようなギターももちろん聴ける。

一分のスキもない緻密なアレンジ。完璧な演奏。そして最高レベルの技術を駆使したレコーディング。

もう、文句のつけようがありません。

そして意外に善戦しているのが、当時ほとんど無名だったセッション・ヴォーカリスト、ファンダーバーグだろう。

広い声域、のびやかな声質をフルに生かして、ソロはもちろん、多重録音コーラスにも挑戦しているのだが、これがなかなかキマっている。

こういう才能をもった人々がゴロゴロしているんだから、アメリカって国はスゴいやな。ホントに層が厚いわ。

2位「CRYIN' ALL NIGHT」

フォスター、グレイドン、スティーヴン・キップナーの作品。

早めのテンポのロック・ナンバー。シンセとツイン・ギターのからむイントロからして、ドラマティックでカッコいい。

ハンゲイト=ポーカロという最強のリズム隊のサポートを得て、なんともごキゲンなグルーヴだ。

そして、キレのいいファンダーバーグの歌声が、これらにからみ、互角で渡りあう。

グレイドンのリフも要所要所でバッチリと決まって、聴く者を唸らせる。名人はさすがに期待を裏切らないね。

キャッチーなメロディもまた、印象的。どうしてこう、いい曲ばっかり書けるんだろう。凡人はうらやむばかりであります。

1位「AFTER THE LOVE IS GONE」

いい曲がてんこもりのアルバムなので、迷いに迷ったのだが、これに決めた。

フォスター、グレイドン、ビル・チャンプリンの作品。

これまた彼らが、アース・ウィンド&ファイアーのために提供していた楽曲。前年のアルバム「I AM」に収められている。

数あるラヴ・バラードの中でも白眉といえるこの名曲を、当時最高級のメンバーがプレイしたのだから、出来が悪いわけがない。

特にこの曲におけるキー・ポイントは「ヴォーカル」であろうが、ファンダーバーグの歌いぶりは実に見事だ。

彼は、どちらかといえばTOTOのボビー・キンボールのように、ハイトーンで鋭角的に攻めるタイプの歌い手なのだが、モーリス・ホワイトのように中低音をきかせて、シブく歌いあげることも全然OKなのである。まさにオールマイティ。

やっぱ、本場にはかなわねーやと、二度脱帽である。

また作者のひとりチャンプリンの、コーラスでの好サポートも光っているし、グレイドンの多重録音ソロもエクセレント。

まさに珠玉の一編なり。

当時はAORとかなんだとかいろいろレッテルを貼って売られていたが、今改めて聴き返してみると「良質の音楽」、このひとことに尽きると思う。とくに曲作りとアレンジに関しては、超一流の「職人技」を感じるね。

今では音楽活動もマイ・ペースで、かなり寡作のフォスターとグレイドンだが、当時は若さ、パワーに満ちあふれた音楽を精力的に生み出していたのが、よくわかる。

当時からのファンはいうまでもなく、若いリスナーにも、おススメである。

<独断評価>★★★★★



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