2008年10月5日(日)
#53 ダブル・トラブル「Say One Thing」(Been A Long Time/Tone-Cool)
皆さんご存知、かのスティーヴィー・レイ・ヴォーンのバックバンドだった、ダブル・トラブル。90年、SRVの死後は、さまざまなアーティストのバッキングをつとめていたが、2001年、チームとしての初めてのアルバムをリリースした。それが「Been A Long Time」 だ。
SRV存命中はキーボード、ボーカルを含む4人だったが、SRV没後はベース&ドラムのコンビとなったダブル・トラブル。ベースのトミー・シャノン、ドラムのクリス・レイトンの二人組である。
もちろん、この二人だけではさすがにアルバムは出来ない。10年来、バックアップして来た数多くのアーティストのゲスト参加により、本作は制作されている。たとえば、ダラス出身のシンガー/ギタリスト、ドイル・ブラムホール、ダブル・トラブルと改名される前のトリプル・スレット時代のリードボーカル、ルー・アン・バートン、かつてのメンバ-、キーボードのリース・ワイナンス、ジョニー・ラング、ウィリー・ネルスン、ドクター・ジョン、そしてSRVつながりのジミー・ヴォーンといった錚々たるメンツである。
人脈総動員により完成したアルバム中でも、なかなか健闘しているのが、ドイル・ブラムホール(二世)。かつてダブル・トラブルの二人、そしてチャーリー・セクストンとで結成したアーク・エンジェルズで92年デビュー、最近ではエリック・クラプトン・バンドにも参加しているブラムホールは、ソロ・アルバムは3枚しか発表しておらず、セールス的にもまだ地味~な、いわゆる隠れた名プレイヤーなのだ。(ダブル・トラブルは、もちろん、彼のソロ・アルバムにも参加している。)
ちなみに、SRVに「Change It」など何曲かを提供しているシンガー/ギタリスト/ドラマー、ドイル・ブラムホールは、彼の親父さん、一世のほうなので、混同なきよう。
ドイル・ブラムホール・ジュニア、その歌声は線はあまり太くなく、ギターにも派手なものはないけど、実にツボを押さえたファンキーなプレイを聴かせてくれる。
もちろん、ダブル・トラブルのふたりのサポートも盤石。切れのいいビートは、さすがブルース・ロック界最強のリズム・セクションである。
同アルバムは、ブラムホールのこの一曲の他には、ZEPの「Rock And Roll」、マディ・ウォーターズの「She's Alright」なんぞをやっているが、半分は彼らのオリジナルでもある。
つまり、ただのプレイヤーではない、コンポーザー・チームとしての二人の実力も発揮されたアルバムといえる。
惜しむらくは2001年以降、第二弾のリリースはまったくされていないということ。ってことは、一回こっきりの企画盤なのかなぁ?
彼らの演奏力なら、新しいブルース・ビートを生み出すことも十分期待出来るだけに、ちょっともったいない。
ぜひ、SRVを越えるようなスゴいアーティストを発見して、世に送り出して欲しいもんだ。