2008年7月6日(日)
#41 ビッグ・モジョ・エレム「Move On Out Of Town」(Sweet Home Chicago/Delmark)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/74/6e0bc79f79c93747aa6760884122b931.jpg?1683498976)
今年も後半に入ってしまった。半年って、ホント、あっという間だねぇ~(溜息)。
さて、7月の一発めはこれ。88年リリース、デルマークの編集盤からの一曲。
ブルース界の「歌うベースマン」といえば、なんてったってウィリー・ディクスン。でも彼以外にも歌えるベースマンはいたのだ。それが、このビッグ・モジョことロバート・エレムなり。
28年ミシシッピ州インヴァーネス生まれ、97年歿。フレディ・キングのバック・バンドでプロデビュー、その後ルーサー・アリスンのバンドに移り、そこで自らのリード・ボーカルをフィーチャーした2曲を67年に録音している。この曲と「Slow Down Baby」である。
その後、本格的にボーカル・デビューするのは94年のアルバム「Mojo Boogie!」にて。なんと65才を過ぎてからの初リーダー録音だ。あっぱれというほかない。
さて、この「Move On Out Of Town」というブルース・ナンバー、一般的には「I'm Gonna Move To The Outskirts Of Town」というタイトルでよく知られているが、まったく同じ曲である。
アンディ・ラザフ作詞、ウィル・ウェルダン作曲。もともとはカウント・ベイシー、ルイ・ジョーダン、ジミー・ラッシング、ジミー・ウィザースプーンといったジャズ/ジャンプ系のアーティストが取り上げることが多かったが、ビッグ・ビル、マディ、BB、アルバート・キングらコテコテのブルースマンらもよくカバーしている。ブルースとジャズ、両方の畑で愛されているブルースなのだ。
でも、アレンジや歌い方によって、印象がまったく違ってくる曲でもある。本バージョンをウィザースプーンのようなビッグ・バンドをバックにジャズ・アレンジで歌ったものと聴き比べると、ホント、同じ曲とは思えない。後者の洗練された音とは対照的に、「ど」がつくぐらい、シカゴ・ブルースの典型、みたいな印象なのだよ。
歌い手が変われば、まったく違う曲に聴こえる。これがまた、音楽の面白いところでもある。
ビッグ・モジョはルーサー・アリスンらをバックに、自らベースも弾きつつ歌っているのだが、これが(失礼ながら)意外とイケるのである。
ルーサー率いるバンドなのに、歌はルーサーよりも聴きやすかったりして(笑)。
少し高めの声を巧みにコントロールして、味のあるシャウトを聴かせてくれるビッグ・モジョ。こりゃあ、掘り出し物といっていい。
もちろん、ルーサーのシャープなソロも堪能出来て、一粒で二度美味しい、そんな一曲であります。乞うご一聴。