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音盤日誌「一日一枚」#341 T・ボーン・ウォーカー「THE COMPLETE IMPERIAL RECORDINGS, 1950-1954」(EMI USA CDP-7-96737-2)

2022-10-21 05:00:00 | Weblog

2006年12月24日(日)



#341 T・ボーン・ウォーカー「THE COMPLETE IMPERIAL RECORDINGS, 1950-1954」(EMI USA CDP-7-96737-2)

T・ボーン・ウォーカーといえば、「ストーミー・マンデイ」の一曲であまりにも有名だ。そのせいか、「ストーミー・マンデイ」の収録されたキャピトルのアルバム「モダン・ブルース・ギターの父」(日本編集)ばかりが注目されがちだが、キャピトル/ブラック・アンド・ホワイトレーベル以外にも、すぐれた作品が数多く残されている。

このアルバムもそう。T・ボーンはインペリアル在籍時(1950~54年)に、52曲もの録音を残しているが、それらを(別テイクは省いているが)すべて収録している。

おなじみの背中弾きプレイのショットがジャケ写。洒落たスーツに、白のシューズ。大胆な開脚ポーズがなんともカッコええのう。

中身も負けじとカッコよい。キャピトル時代よりさらにホーン・サウンドに厚みがまし、音の完成度の高さといったら、もうブルース界でも屈指の存在。多くのフォロワーを生み出したのも、納得がいく。

が、どのフォロワーも、ひとりとして、彼を越えることは出来なかった。当然といえば当然だが、もう役者が違い過ぎるのですよ。

彼のボーカル、ギターは、酒にたとえれば、ドライ・マティーニ。

超辛口のようでいて、適度にスウィートな味わいも含み、その酔い心地は極上。決して悪酔いするということが、ない。

ブルースとジャズの、なんとも絶妙なカクテルなんである。

この二枚組の52曲すべてにおいて、T・ボーンならではの名人芸が披露されている。

見事なサウンド作り、小粋な歌いぶり、そして一音一音、全く無駄というものがない、完成されたギター・スタイル。

「モダン・ブルース」というコンセプトを、その音世界で完璧に体現してみせた最初の男。

とにかく、リスナーの貴方が一番リラックス出来る環境で、ゆったりと聴いて欲しいもんだ。極上の酒とともに。

ストマン風のスロー・ブルースよし、ジャンプ・ナンバーよし、ミディアムテンポのスウィンギーなナンバーよし。軽快なインストもあれば、ディープな歌で聴かせるナンバーもある。要するに、彼の魅力のすべてを凝縮した二枚。

まちがいなく、おなか一杯になります。キャピトル/ブラック・アンド・ホワイトの三枚組と合わせて聴けば、T・ボーンの最盛期を堪能出来ます。

はっきり言って、文句のつけようのないアルバム。ブルース史上最高のサウンド・クリエイターのひとり、T・ボーン。アンタはやっぱりハンパなくスゴいお人ですわ。

<独断評価>★★★★★



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