NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#200 ルー・ロウルズ「STORMY MONDAY」(BLUE NOTE CDP 7 91441 2)

2022-06-02 06:04:00 | Weblog

2004年1月4日(日)



#200 ルー・ロウルズ「STORMY MONDAY」(BLUE NOTE CDP 7 91441 2)

ルー・ロウルズのデビュー・アルバム。62年リリース。

ルー・ロウルズといえば、「別れたくないのに」「レディ・ラヴ」など数多くのヒットを持つ、ポピュラーなシンガーだが、そのスタートはブルーノートというジャズ専門のレーベルからだった。ちょっと意外だね。

ジャズ・ピアニスト、レス・マッキャン率いるトリオをバックに、当時26才のロウルズが歌う一枚。これがなかなかの出来。

いわゆるブルースのジャンルには入らないレコードなのだが、その歌心はまさしく「ブルース」なのだよ。

<筆者の私的ベスト4>

4位「'TAIN'T NOBODY'S BUSINESS IF I DO」

ベッシー・スミス以来、多くのアーティストにより歌い継がれて来た、スタンダード。

当然、時代や歌い手によってアレンジはさまざまに変化していくが、その根本にある歌心、ブルース・スピリットだけは見事に変わることなく継承されている。

ルー・ロウルズもまた、ピアノ・トリオの快調な演奏にのって、切れ味のいい歌声、エモーショナルなフレージングをきかせてくれる。

白人ジャズ・シンガーとは明らかに一線を画した、黒人ならではのソウルフルな歌唱スタイル。

ロウルズ、もともとはゴスペル・シンガーだっただけに、その熱き歌心は隠しようもないのである。

3位「SEE SEE RIDER」

この曲もまた、スタンダードと呼んでさしつかえないだろう。

一般的にはレイ・チャールズやエルヴィス・プレスリーの歌で知られているが、もとをたどれば、黒人女性シンガー、マ・レイニーが20年代あたりから歌い始めたトラディショナル・ブルース。

ブルースの年・2003年にちなんで、マーティン・スコセッシ監督総指揮のもと作られた映画のひとつ「WARMING BY THE DEVIL'S FIRE」(チャールズ・バーネット監督作品)でも、この曲が使われているそうだ。

そんな超ヴィンテージなナンバーを、ロウルズはスウィンギーなアレンジにのせて、なめらかに歌う。

ゆったりとしたテンポながら、はずむような歌。剛にして柔な歌い口。やはり、その上手さはハンパではない。

2位「I'D RATHER DRINK MUDDY WATER」

20~30年代に活躍したピアニスト、エディ・ミラーの作品。永井ホトケ氏もよくライヴで取り上げている、ピアノ・ブルースの代表的ナンバーだ。

心地よくスウィングするマッキャンのピアノ、リロイ・ヴィネガーのベース、ロン・ジェファースンのドラム。

この特級品の演奏をバックに、水を得た魚のごとく、自由自在に歌いまくるロウルズ。

聴いているこちらまでが、最高にグルーヴィーな気分になれるのだよ。

1位「(THEY CALL IT) STORMY MONDAY」

1位はやはり、これ。説明など不要だろう。T・ボーン・ウォーカー作、不滅のブルース・ナンバーだ。

この曲も数え切れないほどのシンガー達にカヴァーされているが、もちろんこのヴァージョンもベストなテイクのひとつに間違いない。

オリジナルのメロディに忠実に歌うだけでなく、彼なりの解釈を交え、その幅広い声域を生かして、自由闊達なフレージングをほどこしているのが聴きもの。

このアルバムではふたつのテイクが収録されているが、いずれも彼の達者なフェイクを堪能することが出来る。

バックのトリオも、ゴキゲンなノリで、彼の歌声をさらに引き立てている。

このアルバム、しっとりとしたバラード(「GOD BLESS THE CHILD」など)も悪くはないのだが、彼の本領はやはり、シャウトも交えたソウルフルな歌にあると思う。

凡百のブルース・シンガーよりもブルーズィなヴォーカル、一聴の価値はあると思います。

<独断評価>★★★★☆



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