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音盤日誌「一日一枚」#201 デリンジャー「LIVE」(BLUE SKY 34848)

2022-06-03 05:03:00 | Weblog

2004年1月11日(日)



#201 デリンジャー「LIVE」(BLUE SKY 34848)

リック・デリンジャー率いるハードロック・バンド、デリンジャーのライヴ・アルバム。77年リリース。

デリンジャーは76年1月に結成、77年8月には解散とごく短命のグループだったが、3枚のスタジオ盤とこのライヴ盤をリリース、いずれも非常に質の高いサウンドを残している。

中でもこの一枚はいい。ロック史上に残るライヴ・アルバムといってもいいんじゃないかな。

筆者は、大学生だったころこのLPを輸入盤で買い、何十回も聴き込んだものだが、今聴き直してみてもその感動は色あせていない。

<筆者の私的ベスト4>

4位「TEENAGE LOVE AFFAIR」

現在では廃盤ということもあって、AMGには曲名すら載っていないので補足しておこう。

全8曲を収録。「LET ME IN」「TEENAGE LOVE AFFAIR」「SAILOR」「BEYOND THE UNIVERSE」「SITTIN' BY THE POOL」「UNCOMPLICATED」「STILL ALIVE AND WELL」「ROCK AND ROLL HOOCHIE KOO」と、新旧とりまぜおなじみのナンバーばかり演奏している。

で、4位はこのロックンロール・ナンバー。以前にも当コーナーで取り上げた「ALL AMERICAN BOY」(74)でのスタジオ録音で知られている。

ライヴもスタジオ・テイク同様、猛烈なアップテンポで飛ばしまくるリック。他のメンバーも、確かなテクニックで完璧にフォロー。

中でもカーマイン・アピスの実弟、ヴィニーのドラムスがゴキゲンだ。これぞハードロック!という感じの、タイトでヘヴィーなビートを叩き出してくれる。

さすが、リックのおめがねに適っただけのことはあるね。

3位「SITTIN' BY THE POOL」

これはデリンジャーを結成してからの作品。セカンド・アルバム「SWEET EVIL」(77)に収録されている。

リックのサンバースト・ストラトから弾き出される、ソリッドなリフが実に印象的なハードロック・ナンバー。

こういうキャッチーなリフ作りに関しては、ロック界広しといえど、リック・デリンジャーをしのぐ人材はそういないような気がするね。

中間部でリック、ラストでもうひとりのギタリスト、ダニー・ジョンスンが、それぞれ短いながらもキラリとセンスの光るソロを聴かせてくれる。

ギターソロがただただ冗長なだけの、どっかのハードロック・バンドに聴かせてやりたいもんだ。メインディッシュはあくまでも歌、それをうまく引き立てるようにバランスよくソロを挿む、これがバンド演奏のキモってもんだぜ。

2位「STILL ALIVE AND WELL」

ジョニー&エドガー・ウィンターでおなじみのナンバー。でも、もともとはリックの作品なのだ。リック自身は75年のソロ・アルバム「SPRING FEVER」で初演。

この変拍子ふうハードロック・ナンバーが、なんともカッコいいんだわ。

スピード、スリル、パワー。ハードロックに要求されるすべての条件を、パーフェクトにクリアした演奏。

リックの喉も、絶好調のシャウトを聴かせてくれる。

リック、ダニーのツートップ・ギターも、絶妙の切れ味を見せてくれるし、ケニー・アーロンスンのバリバリにドライヴするベース・プレイも文句なし。

いわば、すべてのロック・バンドのお手本となる、最高のグルーヴなんであります。

1位「ROCK AND ROLL HOOCHIE KOO」

そして1位は、やっぱりこれ。不滅のロックンロール・チューンを選ばないわけにはいかない。

当然、ライヴではラスト、ハイライト曲になっております。

アルバムにはクレジットされていないのだが、実は中間部、ギターソロに続いて歌われるのが、なんとキンクスの「YOU REALLY GOT ME」。

これがまたハードな演奏で、超カッコいい!

「YOU REALLY GOT ME」といえばすぐに思い出されるのが、ヴァン・ヘイレンによるカヴァー・ヒットだが、それは78年のリリースなので、実はこのデリンジャー版のほうが先なのだ。

もしかしたら、ヴァン・ヘイレンもこのライヴに、大いにインスパイアされたのかも知れないね。

この「YOU REALLY GOT ME」を挿んで、アルバム中では最長の7分52秒、たっぷりロックンロール・ショーを楽しませてくれます。

デリンジャー、商業的にはあまり成功を収めたとはいえないバンドだったけど、こういう最高のパフォーマンスを残してくれたことに、一ロックファンとして最大限に感謝したいですな。

今や太ってすっかりオジサン化してしまったリック・デリンジャーですが、ジャケ写などを見るに、当時の美青年ぶりはもう特筆ものでありました。

ロックンロール・ヒーロー、リック・デリンジャーの全盛期を知ることが出来る一枚。

現在では入手は相当困難でしょうが、苦心してゲットする価値は絶対ありまっせ!

<独断評価>★★★★★


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