2012年9月23日(日)
#235 バディ・ガイ「Let Me Love You Baby」(Damn Right, I've Got The Blues/Silvertone)
#235 バディ・ガイ「Let Me Love You Baby」(Damn Right, I've Got The Blues/Silvertone)
ことしで76歳。現役最年長ブルースマンのひとり、バディ・ガイ、91年のアルバムより。ウィリー・ディクスンの作品。
バディ・ガイは36年、ルイジアナ州レッツワース生まれ。57年にシカゴへ出て、マディ・ウォーターズらのバックミュージシャンとなる。翌年にはアーティスティックよりレコード・デビュー。以来、チェス、ヴァンガード、ワーナーなどのレーベルから、ソロおよびジュニア・ウェルズとのデュオとして、数々のアルバムをヒットさせている。
そんな彼も80年代は失速気味でレコーディングの機会に恵まれなかったが、90年代に入りシルバートーンに移籍するや息を吹き返し、以降、精力的にアルバム制作、そしてライブ活動を続けている。B・B・キングと並ぶ、「生きたブルース伝説」といえるだろう。
さて、きょうの一曲は、その大復活のきっかけとなったシルバートーンでのファースト・アルバムより。彼のチェスにおけるセカンド・アルバム「I Was Walking Through the Woods」に収められていた60年代の名曲、「Let Me Love You Baby」の再演である。
レコーディング・メンバーはバディのほかに、ジョン・ポーター、ニール・ハバードがギター、グレッグ・アーザブがベース、リッチー・ヘイワードがドラムスで参加している(ピアノはノー・クレジット)。3ギターという、厚みのあるサウンドが特徴だ。
ライブでも定番となっているこの曲、約30年間、何百、何千回となく演奏されているだけに、100%完成したスタイルとなっており、一瞬として無駄な展開がない。
おなじみの特徴あるイントロで始まり、そこからはもう、お約束の世界。ヒステリックなバディのシャウトが聴く者のハートをゆさぶり、派手にスクウィーズするナチュラル・ディストーション・ギターが、ところ狭しと暴れまくる。これくらい耳に心地よいバイオレンスはない、といっていいんじゃないかな。4分弱の短い一曲に、バディのすべてが凝縮されているのだ。
筆者も、10年前、2002年のジャパン・ブルース・カーニバルのトリで登場したバディ・ガイを観る機会があったが、とにかくハイ・テンションでとどまることを知らぬ66歳のパワーに圧倒されたことを、ほんの昨日のことのように覚えている。
彼の最近の演奏はyoutubeなどで観ることが出来るが、年齢とともに枯れていくどころか、パッショネイトなパフォーマンスはいまもまったく変わらないようだ。さすがやな~。
引退することなく、このままずっと現役を続けていってほしいもんだ。いやホント。