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音盤日誌「一日一枚」#291 ロバート・プラント「NOW AND ZEN」(Es Paranza A2 90863)

2022-09-01 05:00:00 | Weblog

2005年10月23日(日)



#291 ロバート・プラント「NOW AND ZEN」(Es Paranza A2 90863)

ロバート・プラント、88年のアルバム。ロンドン録音。ティム・パーマー、プラント、フィル・ジョンストンの共同プロデュース。

プラントのソロ・アルバムとしては通算4枚目、古巣のスワン・ソングから新レーベルのエス・パランサに移籍してからは3枚目にあたる。前作「Shaken 'N' Stirred」からは約3年のインターバルをおいてのリリース。

ZEP解散後のプラントについては、世間、というかZEP以来のファンの評価はあまり高くない。ZEP時代と同じことを彼に求めてしまうあまり、実際にリリースされた作品とのギャップに失望してしまうからだ。

しかし、人間というものは変化していく生き物。過去と同じことを繰り返してばかりはいられない。いつまでもZEPの残影をパーシーに要求するのは、失礼というものだろう。

この「NOW AND ZEN」はソロも7年目に突入、ZEPとはテイストの異なる新サウンドも、だいぶんこなれてきたなという感じだ。

ZEP時代はギター・バンド・サウンドが基本で、かつヴォーカルとギターは互角に切り結んでいる感じだったが、ソロに入ってからは、ギター、キーボードが融合したサウンド(女声コーラスを含む)が、彼のヴォーカルをバックから支えるというスタイルになっている。

特徴あるバンド・サウンドを楽しみたいというリスナーには、若干不満があるかもしれないが、パーシーの歌が聴きたいんだというファンには、むしろちょうどいいバランスかも。

さて、当アルバムのセールス・ポイントとしては、「Heaven Knows」と「Tall Cool One」の2曲に盟友ジミー・ペイジがゲストで参加している。

特に後者では、過去のZEPナンバーのさわりをメドレー形式で織り込んでいるのが、いかにもファン対策っぽい(笑)。

ファンの皆さんは何人かで集って、「これは何の曲」みたいにイントロクイズっぽく楽しんでください(笑)。

曲調としてはバラード系あり(T1)、「トレイン・ケプト~」風のロックンロールあり(T3)、パーシーお得意のロカビリー系あり(T6)、アコースティックな味わいのしっとり系ナンバーあり(T7)、意表をついたエレクトリック・ポップ系あり(T8)、そしてZEPをほうふつとさせる16ビートのハードロック系あり(T5)と、きわめてバラエティに富んでいる。

ZEP時代ほどの鋭い切れ味はないにせよ、この頃はまだ(後年のペープラなどに比べて)喉のほうもさほど衰えていなかった。レコーディング技術のおかげもあるのだが、ZEPマジックならぬパーシー・マジック健在なり、という印象だ。

核となる大ヒット曲がないというのが、この一枚のちょっと弱いところだが、全体的に高水準の出来。バック・バンドのメンバーも、引き出しの多い実力派ぞろいなので、安心して聴ける。

ZEPとは違った味わいのロバート・プラントの魅力を、堪能出来る一枚。タイトル通り、おりにふれて(NOW AND THEN)、聴いて欲しい。

<独断評価>★★★★


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