NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#97 レーナード・スキナード「ONE MORE FOR FROM THE ROAD」(MCA MCAD-6897)

2022-02-19 05:16:00 | Weblog

2002年4月11日(木)



レーナード・スキナード「ONE MORE FOR FROM THE ROAD」(MCA MCAD-6897)

1.WORKIN' FOR MCA

2.I AIN'T THE ONE

3.SEARCHING

4.TUESDAY'S GONE

5.SATURDAY NIGHT SPECIAL

6.WHISKEY ROCK-A-ROLLER

7.SWEET HOME ALABAMA

8.GIMME THREE STEPS

9.CALL ME THE BREEZE

10.THE NEEDLE AND THE SPOON

11.CROSSROADS

12.FREE BIRD

レーナード・スキナード、77年リリースのライヴ盤。

通算5作目にあたる本アルバムは、前のスタジオ盤4枚の集大成とでもいうべき、名曲・佳曲ぞろいの内容になっている。

(1)は彼らの代表的ヒット。名盤の誉れ高いセカンド・アルバム「SECOND HELPING」からのセレクション。

この演奏が、スタジオ版をさらにうわまわる名演だ。

ロッシントン、ゲインズ、コリンズのトリプル・リードの息もぴったり、リズム隊のグルーヴもタイトこのうえなく、カンペキなアンサンブルを聴かせてくれる。

(1)が終わるや、間髪を入れず演奏される(2)は、73年発表のファースト・アルバム「PRONOUNCED LEH-NERD SKIN-NORD」からのナンバー。これまた、へヴィーなリズム、一糸乱れぬギター・アンサンブルが素晴らしい。

(3)は76年リリースの4作目のアルバム、「GIMME BACK MY BULLETS」から。CSN&Yにも通ずる味わいのある、どこかレイジーでソウルフルな、典型的サザン・ロック。

(4)は、一転、哀感にみちたスローバラード。ファースト・アルバム収録のナンバー。

コーラス隊を従え、カントリー・フレイバーあふれるヴォーカルを聴かせるロニー。ビリー・パウエルのピアノ、サム・マクファーソンのハープがさらにムードを盛り上げる。

(5)は75年リリースのサード・アルバム「NUTHIN' FANCY」から。レーナード・スキナードの名を世に広めた有名曲といえよう。ハード、へヴィー。でも決してマッシー(ぐちゃぐちゃ)にはならず、澄み切ったアンサンブルを誇る彼らの、本領発揮な一曲。

コーラスでもなかなか息の合ったところを聴くことが出来る。

(6)は、同じくサード・アルバムからの選曲。タイトル通り、なんとも軽快なアップテンポのロックン・ロール。トリプル・ギターもますます冴えわたる一曲。

(7)はセカンド・アルバムからの、大ヒット・チューン。これぞレーナード・スキナード!という感じの、いなたくもカッコいいサウンド。ピアノ、コーラス、そしてソリッドなギター・ソロ。いずれも出色の出来。

ブルースをもう一方のコアに持ちながらも、やはり彼らの表看板は「カントリー」。アメリカの地方部の土臭さこそが魅力なのだ。

(8)はファースト・アルバムから、ミディアム・テンポのロック・ナンバー。ステディなビートが心地よい。リック・デリンジャーの「UNCOMPLICATED」にも通ずる、理屈抜きに楽しいサウンド。

どんなテンポの曲をやっても彼らの演奏は荒っぽくならず、実にキメが細かい。この曲などは、あらゆるバンドのお手本になるような、完成度の高いビート、そしてギター・アンサンブルだ。

お次の(9)はセカンド・アルバム収録の、J・J・ケールの作品。アルバムとはまたひと味違ったライヴ向きのワイルドなアレンジ。でもコーラスはスタジオ版同様、バッチリと決まっている。

ビリーのノリノリのピアノ・ソロ、そして三人のギタリストの足並み揃ったプレイ。素晴らしいの一言。

彼らのスゴいところは、スタジオ録音で残したベスト・レベルの演奏を、ライヴでも常にそのまま再現できた、という点だろう。

(10)もセカンドから。(7)同様、循環コードを基調にしながらも、こちらはどちらかといえばブルース色が濃い。

ギター・ソロのラインに、彼らが黒人音楽から強く受けたインスピレーションを感じ取ることが出来る。

続く(11)も、彼らがブルースから受けたなみなみならぬ影響をうかがえるナンバー。

もちろん、あのロバート・ジョンスンの名曲。アレンジは、クリームの有名なライヴ・ヴァージョンを、テンポも含めてほとんどまるまる拝借しているのが微笑ましいが。

それにしても、ギターの三人の、パーフェクトなまでの息の合い方には、舌を巻くばかりだ。

ラストの(12)は、ファースト・アルバムからの、彼らのシンボルともいうべき最重要曲だ。アレン・コリンズとロニー・ヴァン・ザントが生み出した、畢生の名曲。

11分半にもおよぶ、超熱演。スローで始まり、テンポを上げつつ次第に盛り上がって行く。最後には全員のパワーが一体となって、凄まじいまでのクライマックスを迎える。

聴く者すべてに感動を呼び起こさずにはいられない、入魂の一曲。これだけを聴くために、この一枚を買っても惜しくはない名演だ。

残念ながら作曲者のふたりとも、もはやこの世にはいないが、彼らの魂はこの一曲がある限り、永遠に生き、飛翔し続けるに違いない。

その音楽的なパワー、テクニック、そしてハート。すべてにおいて、驚嘆すべきライヴ。

名エンジニアでもある、トム・ダウドのプロデュースにより、彼の手がけたクリーム「WHEELS OF FIRE」と並んで、この一枚はライヴ盤における不滅の金字塔となった。

ロック・ミュージックの達成した、不倒記録がここにはある。聴かないという手はない、そう思うよ。

<独断評価>★★★★★


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