NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#98 ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ「A HARD ROAD」(LONDON 820 474-2)

2022-02-20 05:01:00 | Weblog

2002年4月14日(日)



ジョン・メイオール&ザ・ブルースブレイカーズ「A HARD ROAD」(LONDON 820 474-2)

1.A HARD ROAD

2.IT'S OVER

3.YOU DON'T LOVE ME

4.THE STUMBLE

5.ANOTHER KINDA LOVE

6.HIT THE HIGHWAY

7.LEAPIMG CHRISTINE

8.DUST MY BLUES

9.THERE'S ALWAYS WORK

10.THE SAME WAY

11.THE SUPER-NATURAL

12.TOP OF THE HILL

13.SOMEDAY AFTER A WHILE(YOU'LL BE SORRY)

14.LIVING ALONE

ジョン・メイオール率いるブルースブレイカーズ、67年リリースのアルバム。

当時のメンバーは彼のほか、ピーター・グリーン(g)、ジョン・マクヴィー(b)、エインズリー・ダンバー(ds)。

クラプトンに代わって参入したグリーンの、初お目見え盤ということになる。

タイトル曲(1)はメイオールの作品。彼のおなじみの「泣き節」が印象的なピアノ・ブルース。

筆者的には、この「うわずった声」がちょっと苦手なんで、今ひとつ好みではない。彼のピアノはいい味を出していると思うが。

(2)は同じくメイオールのオリジナル。彼のオルガン、ハープをフィーチャーしたシャッフル。

ま、可もなく不可もなくといった出来。ここまではギターはほとんど前面に出てこない。

(3)はウィリー・コブス作のアップ・テンポのブルース。前にメイオールのコンピ盤を取上げたときにも書いたが、オールマンズがこのアレンジをまんま使ってしまったという、いわくつきの曲。グリーンの弾くリフが、なかなかイカしている。

(4)はフレディ・キング作の、グリーンのギターをフィーチャーしたインスト。クラプトン参加のアルバムにおける「ハイダウェイ」的ポジションのナンバー。

ここでのグリーンのプレイは若さとガッツにあふれ、、ECのそれと優るとも劣らぬ出来。ブルース・ギターを弾く者ならぜひ使いたくなる、おいしいリック満載である。コピーに最適。

(5)は、ホーン・セクションも加えた、重厚なブルース。メイオールの代表作品のひとつといえよう。

聴きものは、なんといっても、へヴィーなビートに載って展開される、グリーンの泣きのギター。

激情ほとばしるプレイは、すべてのギタリスト必聴だ。

(6)はメイオールの多重録音ヴォーカルによる、ピアノ・ブルース。メイオールのオリジナル。

「泣き節」の二乗は、ちょっとトゥー・マッチな印象あり。これも、筆者的にはパス。

(7)もメイオールの作品。彼のハープとオルガンを全面にフィーチャー。ホーンも加えて、分厚い音作りをしている。

こちらのヴォーカルも多重録音のようだが、(6)に比べれば、まだあっさりした感じで聴きやすい。

(8)はおなじみのブルース・クラシック。でもタイトルが「ブルーム」ではなく「ブルース」であることからわかるように、ロバジョンというよりは、エルモア・ジェイムズのヴァージョンがお手本。

当然、メイオールのエルモアばりのスライド・ギター、そして迫力に満ちたヴォーカルが聴ける。これは結構いけます。

(9)はオリジナルのインスト。ハープと、ハミング(というかグロウル、唸りというべきか?)を絡めた、短いナンバー。ちょっと息抜きしてみました、という印象。

(10)はグリーンの作品。ミディアム・スローなブルース。枯れた味わいのあるヴォーカルも、彼によるもの。

おなじみの、レス・ポールから紡ぎ出される艶のあるトーンが、グー。短めながら、いいソロだ。

(11)はコンピ盤にも登場していた、グリーン作のインスト。「フリートウッド・マック」にそのままつながって行く、マイナー・ブルース全開のサウンドだ。

エコーを効果的に利かせたギターがたまらなく官能的。身もだえしそう(笑)。とにかく名曲にして、名演。

(12)はメイオール作の、ミディアム・テンポのブルース。

彼のピアノに、グリーンの切れ味鋭いギターが絡む。歌のほうは「泣き節」の多重録音なので、いまイチ。

(13)はこれまたフレディ・キング作の、R&Bバラード・ナンバー。

ゆったりとしたテンポで、歌い上げるメイオール、そしてフレキンばりにギターを派手にスクウィーズさせ、泣かせまくるグリーン。

ギターは100点満点。うーむ、もう少し歌がうまければねーとは思うが、あまりひとのことは言えない(笑)。

(14)はメイオールの作品。ミディアム・ファスト・テンポのブルース。

ここではスライド・ギターを弾きつつ、ハープを聴かせるメイオール。

他の曲ではオルガン、ピアノ等も弾いているし、そして作曲&アレンジも。まさに八面六臂の活躍ぶり。

歌はともかく、他の楽器は実に巧みに弾きこなすひとだなーと思う。

しかしながら本作では、主役をグリーンに見事に食われている。やはり、グリーンのプレイは天才のそれ以外のなにものでもない。

フレージング、トーン、そして何よりも天性のブルース・フィーリング。完璧の一語。

アルバムも、明らかに、メイオール主導のトラックと、グリーン主導のトラックではカラーが違う。そして、出来ばえも。

酷な言い方だが、グリーン主導のトラックのほうが、断然出来がいい。これでは、どちらがリーダーだか、って感じ。

当然ながら両雄は相並び立たず、早い時期にグリーンはメイオールのもとを巣立ち、自分が主導するバンドを結成することとななる。

ピーター・グリーンのほんの短い在籍期間中に作られた当アルバムは、天才グリーンの足跡を知る上で欠かせない一枚だ。

<独断評価>★★★★




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