NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#373 LITTLE MILTON「シングス・ビッグ・ブルース」(ユニバーサルミュージック インターナショナル UICY76557)

2022-11-22 05:23:00 | Weblog
2022年11月22日(火)



#373 LITTLE MILTON「シングス・ビッグ・ブルース」(ユニバーサルミュージック インターナショナル UICY76557)

ブルース、そしてソウル・シーンでも活躍するシンガー/ギタリスト、リトル・ミルトン、66年のアルバム。

チェス・レーベルでは2作目に当たる本作品では、アルバム・タイトルが示唆するように、ビッグな(著名な)ブルース・アーティストのビッグな(有名な)曲をカバーしている。

例えばM1の「Feel so bad」はオーティス・ラッシュの熱唱で知られるナンバー。

ミルトンは同じシンガー/ギタリストであるラッシュを相当意識していたようで、その後も「I can’t quit you baby」をカバーしていたりする。

ボーカル・スタイルも同じシャウターということで、「良きライバル」と見なしていたんだろうね。

当然ながらカバー曲のほうも、ラッシュに負けじ劣らじの気合い入りまくり、実にグレイトな出来である。

M2も極め付けのビッグ・ブルースマン、ローウェル・フルスンの曲をカバー。「Reconsider baby」である。

フルスンもミルトン同様、ピュア・ブルースというよりは、ソウルとかファンクにも近しいジャンルのシンガーだから、ミルトンは格別の親しみを込めてトリビュートしているようだ。

M3は大先輩格のT・ボーン・ウォーカーのカバー「Stormy Monday」。さまざまなシンガーが取り上げている超有名曲だが、ミルトンは本家ウォーカーよりもどちらかと言えばボビー・ブランドに近いソウルフルなスタイルで歌い上げている。言わば、一曲でふたりのビッグ・ネームを同時にトリビュートしている感じ。Waw

M4は、ビッグと言えば外しようのない「あの人」が登場。もちろん、ブルース界最大のスター、B・B・キングである。曲は「Walk up this morning」。

軽快なビートでグイグイと、ご本家に迫る「イカり節」を聴かせてくれます。

M5。B・Bとくれば次はこれでしょ、とばかりに聴かせるのはアルバート・キングの「Hard luck blues」。

スモーキーでソフトなアルバートとは対照的な、激しいシャウトでキメるミルトン。

M6はオーソドックスなブルースが続いたところに意表を突いて、ジェームズ・ブラウンの「Please please please」を。なるほど、これもそのゴスペルっぽい節回しが広義のブルースと言えなくはない。JBもまた、ブルースの眷族なのだ。

そんな感じでA面をまるまる紹介してみたが、B面はM7でB・Bの「Sweet little sixteen」を再びやっている以外は、ややマイナーなアーティストのものが多い。

でも曲自体はけっこうヒットして、多くのリスナーの耳に刻まれているのがM8の「Fever」、そしてM12の「Part time lover」あたりだ。

前者はリトル・ウィリー・ジョンがオリジナル。でもペギー・リーやマドンナ、ビヨンセのバージョンの方がよく知られているだろう。

後者はリトル・ジョニー・テイラーの曲だが、オリジナルを聴いたことのある人は稀に違いない。筆者も、ファビュラス・サンダーバーズで初めて聴いたクチだが、その切ない歌詞がなかなか泣かせるので好きな曲のひとつだ。

ミルトンは歌唱だけでなく、もちろん本芸のギターも弾いているのだが、あくまでも曲本来の味わいを壊さないよう、控えに弾いているのがなんとも微笑ましい。

ゴリゴリの弾きまくりは無いけど、これもまたブルース・ギターのありかただなと、思った次第です。ハイ。

70年代以降のブルーズンソウルなリトル・ミルトンもいいけど、たまにはどっぷりブルースに浸ったミルトンも悪くない、そう感じさせる一枚でした。

独断評価>★★★★


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