2022年11月23日(水)
#374 BUDDY GUY「ザ・ブルース・ドント・ライ」〈ソニーミュージック インターナショナル SICP-6492)
今年86歳となった大御所ブルースマン、バディ・ガイの4年ぶりの新作アルバム。今年9月リリース。
まず、80代後半にしてオリジナルのフル・アルバムを作り切っただけでも驚嘆に値するが、それだけではない。バディ・ガイは現在もライブ・ステージをしっかりとこなしているのだ。
先日もギタリストの息子を従えてライブを行なっている様子がYoutubeで公開されていたが、晩年のBBのように座って演奏するのではなく、ちゃんと立ってパフォーマンスしているのには感動を覚えた。なんという足腰の強さ!
そんな「超人」ブルースマン、バディ・ガイの新作は、決して過去よりパワーダウンすることのない、熱気に満ち溢れた一枚となっている。
老境とか、枯淡の境地とはおおよそ無縁なんである。
斯界トップの大御所だけに、本アルバムもゲスト・ミュージシャンは実に豪華である。
メイヴィス・ステイプルズ、ジェイムズ・テイラー、エルヴィス・コステロ、ウェンディ・モートン、ボビー・ラッシュ、ジェイソン・イズベルと、錚々たるメンツが名を連ねている。
しかし、どんな有名ゲストがやって来ようが、王者はまったく怯まない。
どの曲も全て自分色に染め上げ、あくまでもバディ・ガイのアルバムとしてまとめあげているのだ。
サウンド的にはいつもの彼のライン、80年代以降のロック寄りの音がメインとはいえ、わりとオーソドックスなブルース・スタイルの曲も何曲かやっていて、オールド・ファンへの気配りも感じる。例えばM10の「House party」とかM11の「Sweet thing」がそれである。
「やっぱり、バディ・ガイの真骨頂はボックス・シャッフルだよな!」という意見の筆者としても、こういうサービスは嬉しい。
ちょっと面白いのはビートルズのカバーもやっていること。M13の「I’ve got a feeling」である。
50年以上前のこの曲を、ガイは「昨日ちょっと聴いたばかりなんだけど」みたいなカジュアルさでパパッと弾いて歌ってみせる。この軽さ、リキみのなさがガイの持ち味であり、いいところなんだと思う。
いつもジョークと笑いで絶えない彼のステージを見れば、それは納得していただけると思う。
ラスト、M16の「King bee」で本アルバムを締め括ったことには、とても感慨深いものがある。
この曲はバディ・ガイが最も尊敬し、慕う先輩ブルースマン、マディ・ウォーターズの代表的なナンバー。
最近のライブでもマディの曲は必ず演奏するようで、マディの存在はガイにとって「原点」であると同時に「目的地」なのだ。
先人へのリスペクトと感謝を常に忘れぬバディ・ガイこそは、現在のアメリカポピュラー音楽のリーダーとして相応しい。
この一枚で、ローリング・ストーンズだってまだまだガキに見えてしまうくらいの老人パワーに圧倒されてくれ。
今年86歳となった大御所ブルースマン、バディ・ガイの4年ぶりの新作アルバム。今年9月リリース。
まず、80代後半にしてオリジナルのフル・アルバムを作り切っただけでも驚嘆に値するが、それだけではない。バディ・ガイは現在もライブ・ステージをしっかりとこなしているのだ。
先日もギタリストの息子を従えてライブを行なっている様子がYoutubeで公開されていたが、晩年のBBのように座って演奏するのではなく、ちゃんと立ってパフォーマンスしているのには感動を覚えた。なんという足腰の強さ!
そんな「超人」ブルースマン、バディ・ガイの新作は、決して過去よりパワーダウンすることのない、熱気に満ち溢れた一枚となっている。
老境とか、枯淡の境地とはおおよそ無縁なんである。
斯界トップの大御所だけに、本アルバムもゲスト・ミュージシャンは実に豪華である。
メイヴィス・ステイプルズ、ジェイムズ・テイラー、エルヴィス・コステロ、ウェンディ・モートン、ボビー・ラッシュ、ジェイソン・イズベルと、錚々たるメンツが名を連ねている。
しかし、どんな有名ゲストがやって来ようが、王者はまったく怯まない。
どの曲も全て自分色に染め上げ、あくまでもバディ・ガイのアルバムとしてまとめあげているのだ。
サウンド的にはいつもの彼のライン、80年代以降のロック寄りの音がメインとはいえ、わりとオーソドックスなブルース・スタイルの曲も何曲かやっていて、オールド・ファンへの気配りも感じる。例えばM10の「House party」とかM11の「Sweet thing」がそれである。
「やっぱり、バディ・ガイの真骨頂はボックス・シャッフルだよな!」という意見の筆者としても、こういうサービスは嬉しい。
ちょっと面白いのはビートルズのカバーもやっていること。M13の「I’ve got a feeling」である。
50年以上前のこの曲を、ガイは「昨日ちょっと聴いたばかりなんだけど」みたいなカジュアルさでパパッと弾いて歌ってみせる。この軽さ、リキみのなさがガイの持ち味であり、いいところなんだと思う。
いつもジョークと笑いで絶えない彼のステージを見れば、それは納得していただけると思う。
ラスト、M16の「King bee」で本アルバムを締め括ったことには、とても感慨深いものがある。
この曲はバディ・ガイが最も尊敬し、慕う先輩ブルースマン、マディ・ウォーターズの代表的なナンバー。
最近のライブでもマディの曲は必ず演奏するようで、マディの存在はガイにとって「原点」であると同時に「目的地」なのだ。
先人へのリスペクトと感謝を常に忘れぬバディ・ガイこそは、現在のアメリカポピュラー音楽のリーダーとして相応しい。
この一枚で、ローリング・ストーンズだってまだまだガキに見えてしまうくらいの老人パワーに圧倒されてくれ。
<独断評価>★★★★