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音曲日誌「一日一曲」#302 ロイヤル・サザン・ブラザーフッド「Moonlight Over The Mississippi」(Royal Southern Brotherhood/Ruf)

2024-02-01 05:53:00 | Weblog
2014年1月12日(日)

#302 ロイヤル・サザン・ブラザーフッド「Moonlight Over The Mississippi」(Royal Southern Brotherhood/Ruf Records)





ネヴィル・ブラザーズのシリル・ネヴィル(VO,PERC)、ハニー・トライブのディヴォン・オールマン(VO,G)、そしてマイク・ジト(VO,G)を中心としたバンド、ロイヤル・サザン・ブラザーフッドのデビューアルバムより。シリル・ネヴィル、マイク・ジトの作品。ジム・ゲインズのプロデュース。

ロイヤル・サザン・ブラザーフッド(以下RSBと略)はニューオーリンズにて2011年結成。シリル・ネヴィル、マイク・ジトのマネージャーを兼ねていたルーベン・ウィリアムスの発案により、その二人とジトのセントルイス時代の旧友、ディヴォン・オールマンをフィーチャーしたバンドとして誕生した。他のメンバーは、ベースのチャーリー・ウートン、ドラムスのヨンリコ・スコット。白人3名、黒人2名の混成である。

RSBのメインの3名は、年齢的にはネヴィル65才、オールマン41才、ジト43才と隔たりはあるものの、いずれ劣らぬキャリアと実力の持ち主だ。オールマンはもちろん、グレッグ・オールマンの息子でもある。話題性、スター性等、いろんな意味で、ひさびさに出た「スーパーグループ」と呼ばれるにふさわしいバンドといえるだろう。

カルロス・サンタナやスティーヴ・ミラーなどのプロデュースで知られるジム・ゲインズをプロデューサーに迎え、ルイジアナ州モーリスでレコーディングされたデビュー盤は、メンバー全員が曲作りにたずさわったこともあって、非常にバラエティ豊かなサウンドとなっている。

サザン・ロック、ブルース、ニューオーリンズR&B、ファンクなどなど、各メンバーのバックグラウンドを聴きとることが出来る。

RSBのボーカルはメインの3名ともとっているが、やはり看板はシリル・ネヴィルだな。彼の粘っこい歌が入るだけで、バックがどれだけ白人ロックっぽい音であっても、たちまちファンキーな色に染まるのである。

もちろん、あとのふたりも頑張っている。オールマンは父親とはスタイルの異なった野太い歌声で、いかにも男臭い。ジトもワイルドに激しくシャウトするタイプで、聴きごたえは十分だ。

そしてふたりのギター・プレイも、このバンドの大きなセールス・ポイント。オールマンはどちらかといえばロック寄り、ジトはブルース寄りのスタイルだが、いずれもバリバリ弾きまくりなので、ファンも大満足だ。

メンバー5人それぞれの個性が混じりあい、白人音楽、黒人音楽といったカテゴリを越えた新しい次元の音へと突入している。

RSBは、パーマネント・グループというよりは、各メンバーにとっては本業のバンドとは並行してやる、もうひとつのバンド的な性格が強いのだろうが、それにしてもそのサウンドは見事な完成度を見せている。

きょうの一曲「Moonlight Over The Mississippi」(音源はライブ映像)にしても、ネヴィル・ブラザーズ的なファンク・サウンドと、キーボードレス、ギター中心のロック・サウンドが完璧に融合されている。

流行とは無縁だが、音楽的にはひじょうに豊穣なRSBの世界。短期プロジェクトに終わることなく、今後も息の長い活動を続けて、どんどん新しい音を開拓していってほしい。

彼ら自身にとっても、このような才能豊かなメンバーと共演することは、自分の世界を広げるうえで、得るもの、学ぶものが絶対多いはずだから。



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