NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#169 ハウリン・ウルフ「HOWLIN' WOLF(THE ROCKIN' CHAIR ALBUM)」(MCA/Chess CHD-5908)

2022-05-02 05:09:00 | Weblog

2003年6月11日(水)



#169 ハウリン・ウルフ「HOWLIN' WOLF(THE ROCKIN' CHAIR ALBUM)」(MCA/Chess CHD-5908)

ハウリン・ウルフのチェスにおけるセカンド・アルバム(62年リリース)。といっても、当時のことだから、コンセプトにのっとって作られた「作品」というよりは、シングルの寄せ集めという性格が強い。

それでも、ウルフという空前絶後の強烈なキャラを前面に押し出すことで、見事、トータリティを感じさせるアルバムに仕上がっているのは、さすが。

<ロック・ファン必聴!のベスト3>

3位「SPOONFUL」

60年録音のシングルから。おなじみのチェスの顔役、ウィリー・ディクスンの作品。

ディクスンも得意のベースで参加、他にはヒューバート・サムリンのギター、オーティス・スパンのピアノ、フレッド・ビロウのドラムと、チェス・オールスターズの観あり。

クリームやテン・イヤーズ・アフター、キャンド・ヒートらによって取り上げられたことで、ロック・スタンダード化した曲だが、カヴァー・ヴァージョンのいずれも、ウルフの聴く者のハートを鷲掴みにするような歌を越えることは出来ていない。

どんなにバンド・サウンドをモダンなものに進化させたところで、ブルースの本質はやはり「ヴォーカル」。ご本家の120%エモーショナルな表現には、かなうべくもない。

楽器のテクうんぬんばかりを論じがちな、頭でっかちなロック・ファンたちにこそ、全身全霊でシャウトするウルフの歌を聴いてほしい。

2位「BACK DOOR MAN」

これまたディクスンの作品。もっとも、「BSR」51号でのサムリン・インタビューによると、ディクスンは自分で書いてないような曲も、ちゃっかりとプロデューサー権限で自分の曲としてクレジットしていたことが多かったようなので、すべて彼のペンによるものかどうかは不明。

「SPOONFUL」と同じメンバーで60年の録音。

この曲も、ドアーズ、チキン・シャック、UFOといったロック・バンドによってカヴァーされているが、あの天才ジム・モリスンですら、ウルフの持つスゴみを越えたとは思えない。

そのくらい、ここでの彼のパワーはすさまじい。

「背徳」「反社会的行為」をテーマにしながら、これだけ説得力ある歌を聴かせられるとは。背筋がゾクッとするくらい、素晴らしい。

1位「THE RED ROOSTER」

そして1位はやっぱりこれだ。同じくディクスンの作品。

61年の録音。サムリン、ディクスンに加えて、ジョニー・ジョーンズ(p)、サム・レイ(ds)がバックをつとめる。ウルフもギターを弾いている。

「LITTLE RED ROOSTER」のタイトルでストーンズにカヴァー(65年)されたことで有名となったナンバーだが、これを聴くに、ミック・ジャガーがウルフに、相当な影響を受けたことがよくわかる。

ストーンズは、マディ・ウォーターズやチャック・ベリーからの影響をよく指摘されるものの、意外にウルフの影響については余り言及されることがない。

しかし、明らかにウルフ譲りの、わめきちらすようなシャウト唱法も、ストーンズをストーンズたらしめる上で極めて不可欠な要素だと思う。

また、欲望のおもむくままに動くといったステージのスタイルも、彼らが巧みに取り入れた要素だろう。

なにより、ウルフとサムリンが、ギターとヴォーカルに分かれて「絡む」スタイルは、ストーンズがもっとも真似したところだろう。

で、この曲で一番カッコいいのは、ダルなサウンドにのせて弾かれる、スライド・ギターのプレイ。シビれます!

40年以上の時間を越えて、ストレートにハートに訴えてくるウルフの歌声、聴かずに今日のロックは語れない。

タフなシャウター、ハウリン・ウルフの魅力、ここにあり!

<独断評価>★★★★☆


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