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音盤日誌「一日一枚」#235 NOBODY「NOBODY COLLECTIONS 1982~1985」(HUMMING BIRD 35HD-7019)

2022-07-07 05:00:00 | Weblog

2004年8月17日(火)



#235 NOBODY「NOBODY COLLECTIONS 1982~1985」(HUMMING BIRD 35HD-7019)

ノーバディのベスト盤。86年11月にTDKコアよりアナログ盤にてリリースされていたものを、ハミングバードが88年CDにて再発したもの。

筆者はもちろん、アナログ盤のほうを持っていたのだが、このたびCDヴァージョンも購入したら、けっこう収録曲が違うんである。

オリジナルは30cmLP、プラス、ピクチャーレコードに2曲("IT'S ONLY YOU"と"GOIN' HOME")。

CDではピクチャーレコードの2曲はカットしている代わりに、7曲が新たに入っている。

具体的に上げると"FOR ONLY YOU"、"MARILYN"、"LUV-YA"、"真夜中のラナウェイ"、"MONICA"、"SWEET BABY SLEEP(サヨナラは八月のララバイ)"、そして"SILENT NIGHT"。

アナログ盤では、自演もの中心だったが、CDでは他アーティストに提供したナンバーが多数収められているのが、なんともうれしい。

私事で恐縮だが、筆者がノーバディのふたりに初めて会ってインタビューしたのが83年の春のことだから、既に21年以上も経っている。が、いまこうしてCDを聴いても、そのサウンドの新鮮さは全然変わっていない。

M1~3、ファースト・アルバムの3曲は後追いで聴いたのだが、このころはまだマージー・ビート色全開だった。

いわば「キャロルの再来」。いかにもそれ風の懐かしい曲調ばかりで、"MAD DREAMER"なんか、何度聴いても体がムズムズしてきて、エレキギターを弾き始めてしまう。

M4~7。83年発表のセカンド、"POP GEAR"からのナンバーは、そろそろオールディーズ一辺倒から卒業して、彼らなりのオリジナリティを出し始めたころの作品。

山本達彦、アン・ルイス、ハウンド・ドッグらに提供した曲が立て続けにヒットし、コンポーザーとしても急浮上して来た。

たとえば"LUV-YA"。このビートが、ホントにカッコよかった。ドラムといえば生のドラムセットの音が当たり前、そう思っていた筆者にとって、打ち込みのリンの音は、なんとも衝撃的だったのだよ。

自演曲と他演曲、この両方で安定した人気を獲得してからも、ふたりの快進撃は続く。

ライヴ盤をはさんで84年10月にリリースした4作目は"NIGHT WALKER"。M8-11、そしてラストM18の5曲はその時期のナンバー。

デジタル・ビートとワイルドなロック・ヴォーカルの融合、これぞワン&オンリーなノーバディ・サウンドだ。

85年7月にはミニ・アルバム、"モノクロームの夏"をリリース。この一枚からの、吉川晃司ナンバーの自演ヴァージョン(M12-13)が聴きものだ。

吉川クンも、デビューしてはや20周年。いまだに"モニカ"と"サヨナラは八月のララバイ"はライヴでの定番だというから、彼らのメロディ・センスがいかに卓越したものか、よくわかるだろう。筆者にとっても、20年来(笑)のカラオケ定番であります。

TDKコア時代最後のアルバムは、85年11月リリースの"FROM A WINDOW"。さらに研ぎ澄まされた、エレクリトリック・ハード・ポップとでもいうべき音が聴ける。

この一作をもって、ノーバディ・サウンドも、ひとつの完成の域に達した、そういえるのではなかろうか。

そこからはM16-17の2曲。"EVERYBODY SHOUT"と"PLEASURE SYNDROME"だ。

特に後者の、神経症すれすれの緊張感みなぎるアレンジはスゴい。初期ののほほんとしたマージー・ビートからは、想像もつかない世界だ。

これを聴けば、ノーバディがツッパリアンチャン御用達の、ドライブBGMなんかじゃないことがよくわかる。

"ノスタルジー"は、誰にでもよくわかる彼らの「A面」に過ぎない。

うっかり見落としがちではあるが、その「B面」にはしっかり、先端的ポップのフロンティア精神が息づいているのだ。なんとも心憎い。

ノーバディの一番脂が乗りきっていたTDKコア時代を、一枚に凝縮したベスト盤。最後までたっぷり、楽しめまっせ。

<独断評価>★★★★


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