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音盤日誌「一日一枚」#299 マライア・キャリー「メリー・クリスマス」(SONY MUSIC SRCS 7492)

2022-09-09 05:05:00 | Weblog

2005年12月23日(金)



#299 マライア・キャリー「メリー・クリスマス」(SONY MUSIC SRCS 7492)

二年前のいまごろは、山下達郎の「SEASON'S GREETINGS」を取り上げたが、今年はこれ。

マライア・キャリーのクリスマス・アルバム。94年リリース、マライア、ウォルター・アファナシエフ、ロリス・ホランドによるプロデュース。

マライアのビッグ・ヒット、日本でもクリスマス・スタンダートとしてワム!の「ラスト・クリスマス」とともに親しまれる「恋人たちのクリスマス」をフィーチャーした一枚。

70年ニューヨーク生まれ。弱冠20才にしてデビュー、一躍アメリカ、いや世界の歌姫となった、シンデレラ・ストーリーの主役。

もちろん、今日までの15年間には、玉の輿結婚→離婚といった波乱もあり、その道のりは決して順風なだけではなかったが、その才能と美貌で常に女王の座に君臨してきたのは、まぎれもない事実だ。

いったんトップに登り詰めるや、それからはつねにライバルと競り合い、後輩に追撃されるというしんどい立場でありながら、この堂々たる安定感。まさに、ホンモノ中のホンモノの証左だろう。

さてこの手のクリスマス・アルバム、どうかするとヒット曲は一曲、あとは誰もが知っているような有名曲のカバーでお茶を濁すなんてパターンが多いが、さすがマライア、オリジナルも含めてなかなかオツな選曲で、最高のヴォーカルを聴かせてくれる。

おなじみの「きよしこの夜」に始まり、オリジナルの「恋人たちのクリスマス」、そして古曲の「オー・ホリー・ナイト」。

さらには、最近は残念ながらいたましい事件が報じられてしまったが、かつては名プロデューサーの名をほしいままにしたフィル・スペクターの「クリスマス(ベイビー・プリーズ・カム・ホーム)」という、味なカバー・ナンバーもある。

マライアとアファナシエフの書き下ろしのバラード「ミス・ユー・モスト」は抑えめの歌唱がナイスな、情感あふれたナンバー。

「もろびとこぞりて/ジョイ・トゥ・ザ・ワ-ルド」のメドレーも素晴らしい。後半は、おなじみのスリー・ドッグ・ナイトの大ヒット「喜びの世界」である。ゴスペル・コーラス・スタイルで高らかに歌うマライア、実にカッコいい。

これまた新作の「ジーザス・ボーン・オン・ザ・デイ」、クワイア・コーラスも加えて、本格的な讃美歌に仕上がっている。

きわめつきは、クリスマス・ポップスの最高峰のひとつ「サンタが街にやってくる」のカバー。

ビング・クロスビーからブルース・スプリングスティーンに至るまでさまざまなシンガーによって取り上げられて来たこの曲を、ひときわソウルフルに、華やかに歌い上げるマライア。文句なしのできばえである。

このほか、メンデルスゾーンなどの古い宗教曲のメドレー「あめにはさかえ/グロリア」はいかにも重厚で荘厳な雰囲気の一曲。ゴスペル曲「ジーザス・オー・ホワット・ア・ワンダフル・チャイルド」は、マライアお得意の超高音シャウトがフルに楽しめる、スーパー・ソウルフルなナンバー。

ラスト(米国盤以外のボーナス・トラック)の「ゴッド・レスト・イェ・メリー・クリスマス」は、多重録音のアカペラ・コーラスによるゴスペル。しめやかなムードで、アルバムを締めくくっている。

教会音楽に子供のころから親しみ、歌うことを自然と覚えていった。そんな生まれついての歌姫、マライアのバック・グラウンドがそのまま反映された一枚。

彼女の表現力の広さ、歌の味わいの深さを知るにはもってこいのアルバムだと思う。もちろん、クリスマス・プレゼントとしても、おすすめです。

ということで、皆様、よきクリスマスを。

<独断評価>★★★☆


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