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音曲日誌「一日一曲」#134 憂歌団「ファンキー・モンキー・ベイビー」(ゴールデン☆ベスト/フォーライフ)

2023-08-13 05:00:00 | Weblog
2010年8月14日(土)

#134 憂歌団「ファンキー・モンキー・ベイビー」(ゴールデン☆ベスト/フォーライフミュージックエンタテイメント)





憂歌団によるキャロル・ナンバーのカバー。大倉洋一・矢沢永吉の共作。94年発表。

憂歌団は木村充揮(当初は秀勝)、内田勘太郎、花岡献治、島田和夫の4人により70年頃大阪にて結成、75年レコードデビュー。98年の活動停止に至るまで不動のメンバーで活動した、日本ブルース界の草分け的バンドだ。

SHOW BOAT(トリオ)、フォーライフ、ワーナーミュージックと3つのレーベルを渡り歩き、その演奏スタイルも初期のアコギ中心のものから、後期のエレクトリックを取り入れたものまで変化していったが、基本はずっとブルースだった。

憂歌団の魅力は、なんといってもそのライブ演奏にある。ステージに登場するや、しごく当然のように酒を飲み始めながら演奏する、そんなライブなのだ。観客も、もちろん飲む。そうやって演者と観客が和やかに一体化していく。従来のバンドにはまずなかった、リラックスした雰囲気。子供にゃわかんない世界だね。

ギターの内田の、戦前ブルースを基本にした通好みのプレイも人気の理由のひとつだったが、なんといっても、リード・ヴォーカル木村のダミ声が、このバンドの看板だった。一聴して彼のものとわかる、えもいわれぬしょっぱい声で、ファンを魅了し続けていたのである。

時には女性の声かと聴きまごうような、やさしい歌声を聴かせたかと思うと、一転、荒くれ男、酔いどれ男の猛々しさを見せたり、とにかくその歌は、他の追随をゆるさぬ迫力とオリジナリティに溢れていた。

そんな彼らが94年にリリースしたカバー・アルバム「知ってるかい!?」に収められていたのが、きょうの一曲。説明するまでもない、キャロル最大のヒット曲だ。

原曲は典型的なアップテンポのロックンロールだが、憂歌団は彼ら流に少しだけテンポダウン、ピアノサウンドをフィーチャーしたシャッフルにアレンジしてみせた。

これが実にいい感じだ。木村は矢沢永吉とはまたひと味違ったエグみのあるシャウトで、原曲以上にファンキーなノリを出している。

矢沢、清志郎あたりの陰にかくれて、あまり語られることのない木村だが、間違いなく日本を代表する、本物のシンガーだと思う。

歌詞のユーモラスな、いわゆるノベルティ・ソングがレパートリーに多いためか、いささか色もの的な扱いを受けやすい憂歌団だが、その実力は侮り難いものがある。

これを機会に、他の代表曲「嫌んなった」「10$の恋」「胸が痛い」あたりもぜひ聴いてみてほしい。

木村充揮ほど歌に「艶っぽさ」のあるシンガーはそういない、絶対そう感じるはずだよ。



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