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音曲日誌「一日一曲」#232 ロスコー・ゴードン「T-Model Boogie」(Rosco's Rhythm/Charley)

2023-11-19 05:58:00 | Weblog
2012年9月2日(日)

#232 ロスコー・ゴードン「T-Model Boogie」(Rosco's Rhythm/Charley)





1940~50年代に活躍した黒人シンガー/ピアニスト、ロスコー・ゴードン、52年のヒット・シングル。ゴードン自身の作品。

ゴードンは28年(34年説もあるが、今日ではもっぱらこちらが有力のようだ)テネシー州メンフィスの生まれ。

彼といえば、マジック・サム、リトル・ミルトン、ロリー・ギャラガーらにカバーされてヒットした「ジャスト・ア・リトル・ビット」があまりにも有名で、その一曲だけのひとと思われがちだが、んなこたぁない、数々の輝かしいヒット曲を持つスター歌手だったのだよ、お立ち会い。

当時のメンフィスでは、若き日のB・B・キング、ボビー・ブランドといった新進気鋭のミュージシャンが活動していて、ビール・ストリーターズと総称されていたようだが、その中で頭ひとつ抜きん出ていたのが、ロスコー・ゴードンだった。

51年にレコードデビュー。同年リリースしたシングル「ブーテッド」がR&Bチャート1位となり、一躍スターダムに躍り出た。翌52年の「ノー・モア・ドッギン」も同じく2位。以降もチェス、デューク、サン、ヴィー・ジェイといったレーベルから、多くのヒットを放っている。

彼のスタイルは、明朗にして快活なピアノ・ブギだ。メリハリのはっきりした、躍動感あふれるそのブギは「ロスコズ・リズム」とも呼ばれたほどだ。

きょうの一曲もまた、その典型的なパターン。ラフともいえるラウドなボーカルと、ピアノの叩き出す強力無比のブギ・リズム。まさに、ロックンロールの原型的サウンドなのだ。

ワンパタ-ンなれど、実にアグレッシブでイカした音ではないか。当時大人気を博したのも、むべなるかな。

その後60年代後半には表舞台から消え、モダン・ブルース・シーンは、BBやブランドらが引き継ぐことになるのだが、モダン・ブルースのトップバッター的存在だったゴードンのサウンドは、海を越えてジャマイカの音楽にも少なからぬ影響を及ぼしたらしい。もちろん、そのリズムの魅力によって。

自分的には、ロリー・ギャラガーのカバーで初めて彼の存在を知り、その後もなかなか彼自身の音にふれる機会がなかったが、きちんと聴いてみると、その音楽のパワーにはとにかく圧倒される。

スタイルはブルースだけどポジティブ、聴くと生きる力がみなぎってくるのが、彼の音楽だと思う。

ロックの始祖のひとりともいえるゴードンの、圧倒的なストレート・パンチを喰らってみてくれ。


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