NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#103 バディ・ガイ「FEELS LIKE RAIN」(SILVERTONE 01241-41498-2)

2022-02-25 05:11:00 | Weblog

2002年5月12日(日)



バディ・ガイ「FEELS LIKE RAIN」(SILVERTONE 01241-41498-2

1.SHE'S A SUPERSTAR

2.I GO CRAZY

3.FEELS LIKE RAIN

4.SHE'S NINETEEN YEARS OLD

5.SOME KIND OF WONDERFUL

6.SUFFERIN' MIND

7.CHANGE IN THE WEATHER

8.I COULD CRY

9.MARY ANN

10.TROUBLE MAN

11.COUNTERY MAN

しばらくロックづいていたので、今日はブルースで。ブルカニでの来日も間近なバディ・ガイ、93年の作品。

バディ・ガイは90年代、シルヴァートーン・レーベルにスタジオ録音で4枚、ライヴ録音で1枚、計5枚のアルバムを残しているが、これは2枚目のスタジオ録音アルバム。

以前にこのコーナーで取上げた「SLIPPIN' IN」のひとつ前の作品にあたる。

彼はアルバムによって、ブルース寄りになったり、ロック寄りになったりと振り子運動のような変化を繰り返しているようだが、このアルバムでは、どちらかといえばロック寄りになっているので、ロック・ファンにも聴きやすい。

いきなりワウ・ギターの炸裂する(1)はバディのオリジナル。

SRVばりにハードにドライヴするブルース・ロックが実にカッコよい。

オレの彼女はプレイボーイ・マガジンにも登場するスーパースターだぜい!と見得を切る歌詞も、なかなかユーモラス。

続く(2)はおなじみジェームズ・ブラウンのナンバー。

tRICK bAGのホトケさんもお気に入りで、tbライヴの定番曲となっているし、古くはムーディ・ブルースもカバーしていたりする。

JBにまさるともおとらぬテンションの高さで熱唱するバディ。ギター以上に、ヴォーカルが熱い!

(3)は一転、カントリー・ロック調のおだやかなバラード。

それもそのはず、白人カントリー・ロック歌手、ジョン・ハイアットの代表曲なのだ。これまたしっとり感がいい。

(4)は大先輩マディ・ウォーターズのカバー。歌もふくめ、ほぼ忠実にマディ・サウンドを再現しているのが、モノマネが好きなバディらしい(笑)。

でも、モノマネにしてもよく出来ている。マディ御大のほうのヴァージョンは「ライヴ・アット・ミスター・ケリーズ」などで聴けるから、お持ちのかたは聴きくらべてみては。

(5)はゲスト・ヴォーカルにポール・ロジャーズを迎えてのナンバー。オリジナルはR&Bシンガー、ジョン・エリスン率いるソウル・ブラザー・シックス。

でも、皆さんには、グランド・ファンクのヒット曲として記憶されているだろうな。

さすが、ポールの歌はノリがよくて、危なげがない。バディも負けじと歌う。

以前レビューしたポールのアルバム「マディ・ウォーター・ブルース」ではバディがギターでゲスト参加していたから、これはその「お返し」といったところか。

(6)はエディ・ジョーンズ、すなわちギター・スリムのオリジナル。

スペシャルティの名盤「ザ・シングス・ザット・アイ・ユースト・トゥ・ドゥ」にも収録されていた、隠れた名曲だ。

ここでバディは、ギター・スリム独特のチョーキングしないギター・サウンドをトリビュートしつつ、哀感あふれるヴォーカルを聴かせてくれる。

(7)は元CCRのジョン・フォガティのオリジナル。彼のソロ・アルバム「アイ・オブ・ザ・ゾンビー」に収録されていたナンバーをカバー。

フォガティのロカビリー調の曲も、不思議とバディにフィットする。選曲の妙だな。

アルバムの前半はかなりロックっぽいというか、ポップな選曲だったが、後半は少しブルース色が強くなる。

(8)はバディのかつての相方、ジュニア・ウェルズのナンバー。この曲ではジョン・メイオールがリード・ヴォーカルとピアノでゲスト参加。

メイオール自身、すでにアルバム「ウェイクアップ・コール」でカバーしていたくらいお気に入りの曲を、ここでも熱唱。

このメイオールの歌は、従来の「メイオール節」的な臭みがあまりなく、枯れた味わいがあってわりといい感じだ。

もちろん、バディの歌とギターも、熟練の技を感じさせる上々の出来。

ちなみにメイオールは、当時シルヴァートーンのレーベル・メイト同士だったという縁での参加である。

(9)は大御所レイ・チャールズの十八番をカバー。ニューオーリンズ風味の味付け、ホーン・セクションをうまく使い、リズム・チェンジなどに凝ったサウンドが聴きごたえ十分。

ちなみにピアノは元リトル・フィートのビル・ペインなので、アレンジ的には彼が一役かっているのかも知れない。

(10)はマーヴィン・ゲイのオリジナル。こういう本格派ソウル・シンガーの曲に大真面目に取り組むあたり、バディの音楽の多様性、引き出しの多さを感じる。

確かにそのファルセット気味のヴォーカルは、マーヴィンに似過ぎ(笑)。でも、単なるモノマネに終わらせずに、自分自身の芸の幅を広げていこうという「気概」が感じられる。

ラストの(10)は再び、バディ自身のオリジナル。タイトルには「カントリー・マン」とあるが、カントリー・ロックではなく純正品のブルース。

ミディアム・テンポの力強いビートに乗り、ワウ全開で愛器ストラトキャスターを泣かせまくる。その粘っこさはとても当時50代なかばとは思えない。

ジミヘンが死んでも、SRVが亡くなっても、オレがいるぜ!!という感じで、ギターも歌も、とにかくハイ・テンション。

時代とともに進化するブルースマン、バディ・ガイの勇姿そのもののような一曲。

以上、ブルースも、非ブルースも、絶妙な割合いでブレンドされ、聴きやすい一枚。でも決して、ヤワな音ではない。筋金入りのサウンドが詰まっている。

来日公演をひかえ、ぜひ事前にチェックしておきたい一枚といえよう。おススメです。

<独断評価>★★★★



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