おはようございます^^
先週までの秋晴れから一転、冬の寒さになりました。…とはいえ本格的な寒さではなく冬の予行演習みたいなもので、
気温が一桁になれば もぅ本格的な冬なのでしょうが 昼間は20℃くらいはあったようでまだまだ・・
外で歩く人が背中を丸めながらいそいそと速足になるのが冬の象徴ではないかと私は思っています。
まぁこのように段階的に気候が移っていくのなら 私もなんとかついてゆけるのではと‥ ですが相手は何と言っても
大自然、私らの思いなど知らぬ存ぜぬ‥
おお~い ついて来ないと置いてくぞ~と捨てられたら 一体どうなるのかな‥と思いますが 置いてけぼりにされたら
‥されたで ここに残っていたらいいだけで 寒い冬に無理してついていかなくても全然かまいませんよ。
それよりどっちかというとこの頃のお天気や気候が一番居心地がよろしいんじゃぁないでしょうか^^
ところで この土曜日に大したものを ふたつ見ました。
土曜の午後は気候もまだ暑いくらいで 私は朝顔の後始末や今が花盛りの夕顔の手入れ 塀に少し這わせている アイビー
(蔦の一種だと思います)の剪定(せんてい)まぁそういうと かっこいいですが要は散髪をしました。
時間にして二時間余り‥刈り取ったり拾い集めた枯れ葉や枯草枯れ枝、も含めてバケツに6杯かな、近くの空き地に
(ウチの畑‥未耕地ですが)捨てに行ったりでなかなか忙しいかったのですね。
何回目かのごみをバケツに押し込んでいますと 遠くから音の悪いスピーカーで音外(はず)れな女性の声が流れてきました。
それは今週末の投開票の市会議員選挙の演説カーでした。すぐに分かったのはこの数日同じような選挙カーが我が家の前を
通っていたからですが、私は選挙にはほとんど無関心で無応援、無投票の三無主義を貫いております。
以前は‥つまり市町村合併以前の事ですが あの頃は ムラ対抗(村ではなくて地域ですが)の選挙でしたので
ひとりひとりの一票がそれはもう大きくものを言うようでそれを根気よく積み重ねることで我々○○村の面目が立つのだ(ドン!)
と机を叩いて力説を聞かされました。 当時は当選のラインが数百票‥多分 四五百くらいだったでしょうか‥
一家に成人が四人居る勘定で 百軒余りの村は、ほぼ当確。四五十軒の村ですと 他のよく似た大きさの村と共同戦線
を張って今回はおたくのとこ、その次はウチでいきましょう。と統一候補を立てていました。又、三百軒ほどあった
大きな村ではいつも二人が楽々当選をしていたのを或る年に村内で票割りをしてあわよくば三人当選を狙ったのですが、
どこでどう計算が狂ったのか二人は落選 一人だけが当選となって村の自治会長やら三役は責任を取って総辞任をしたと
えらく評判になったことがありました。
まぁ当時はどこでもよく似た選挙風景だったようで投票率は80%台は当たり前で世間の米喰う虫(人のことです)は
それを肴(さかな)に一杯やるのが愉しみだったのですね。
私は18歳で就職をしてムラから出てしまいましたので そんな臨場感あふれる体験はしていませんが、
今から想うとその時だけ帰郷して参加をしていたら面白かったのに と残念でなりません。
そんな地域対抗丸出しの選挙はその後 市町村合併になり地域も拡大して市会議員選挙と名が変わり 当選ラインも
ググンと上がり千数百票が当選ラインになってもう、わが村だけではどうしょうもなくなってしまいました。
おまけに村は過疎化の流れを受けて縮小に縮小を重ねいつの間にか限界集落候補になり 代わってその周辺には
新興住宅が乱立しました(田舎普請の大きく頑丈な家より箱みたいな見た目だけのハウスのどこが良いのか理解できません)
新しい住民が旧の村民よりも大きくなってしまいムラ対抗なんて もう有り得ない昔話となってしまいました。
そんな現代に 忽然(こつぜん)と現れたのが 古色蒼然としたムラ推薦、ムラといっても昔の単独ではなく周辺の
ムラが昔の対抗意識を捨ててムラを合致 共同戦線を張ったのです(パチパチパチ)
同じ市内の他の候補者は、○○党だの△△塾出身だと今風の新聞やニュースに出てくるスマートで秀才型ばかり‥
一方は陽に焼けた百姓上がりの議員こそ、われらが同級生なのでした。実は何年か前の同窓会で この▢▢君が市会議員
になったんやでぇと言われて 驚き、そして絶句。まだ議員なりたてのホヤホヤやでぇ~と誰かが紹介をすると 皆が
ほぉ~と目開きになって それから パチパチパチとまばらながらも拍手。
ほんとにおめでとう となっても映画やドラマみたいに拍手は中々出てこないし揃わないし万雷の拍手なんて
ならないものですねぇ^^彼は確か普通の会社員で目立ったようでもなく勉強も普通、それがどういう経過で
市会議員になったのか?みんなから推(お)されたらしいで…
それでもあちこちから凄いなぁ、ようやったなぁ と感嘆の声に本人は照れることしきり‥私も中学校以来出逢った
ことも無かったけれど 微(ひそ)かにある記憶では そんなに目立った存在ではなかった、そんなに近しくしてなかったです。
それでも少年の面影はあって あとで聞くと 親父さんも町議会の議長までされた方らしくて 血は争えんなぁ‥と
そこでも又々感心をしていました。 当時の私が受けた感想というより感情は、同じ席を共にした同級生が
一年生ながらでも市会議員になった、これは知らなかったけど聞いてまず感動をしました。彼は有名な政党でもなく何期
も重ねているわけでもなく 還暦でありながら実に初々しくそこにいたのです。 中学校の同級生は格別や、と言う人がいますが、
私はもっと若い四十代の頃そんな気持ちになれませんでした。当時、会社が倒産をして お先真っ暗の頃に同窓会があった
ような記憶があります。 ですが新しい仕事が肉体労働でヘトヘトになっていた私は案内のはがきを見て すぐにゴミ箱に棄てました。
その時は人生最大の窮地にいた訳で この先どないしょうか‥と悩んでいたのですから とても 同窓会に出るような気持ちに
なれなかったのです。
私は自身の気持ちが狭かったのか、と思ったり 或いは 気楽な気持ちに切り替えて気分転換したら良かったのか、
ひょっとしたら誰かが気の毒がって ウチとこに来いよ、と誘ってくれたのかも‥と考えると余計虚しかったのですね。
それから十数年 仕事に悩んだことは過ぎて(この表題の役員運転士の稼業に就いたからです) ようやく同窓会に出ようかなぁ
と心の余裕が出来たのでした。
今は還暦を越えて 出会った同級生は みんな初老‥ どこにでもいるのでしょうが おい、お前も還暦過ぎたんか(笑)
と聞いて廻って失笑を買うあほなヤツがいますね。
確かに同じ歳で同じ学校で 三年間過ごした者ばかりが二百人近く集まったのです。 こんなことは中々ない筈で
それをいちいち お前もか お前もかと聞いて廻る人の心境は何となくわからんでもないのです。
本人も洒落(しゃれ)っ気交じりでやっているのでしょうがそれを聞き笑いながら他を見回すと
ほほぅ~と感心をしてしまいました。 と言いますのが卒業から40数年経っています、同級生とは言いながら当時だって
色々な人がいました。だから久々に見る同級生が当時の面影はもちろん ホントに同級生か‥と疑いたくなるような‥
いえいえ そんな人は居ませんでしたよ、失礼、みんな若々しくて素敵でした^^
ところでこの歳まで来ますと もう誰かが出世したとかよりも 健康はどうなの?という方に話題として盛り上がっていた
ように思いますし誰々は亡くなった、ウチは主人が‥姑が‥などと話の内容は面白くないものばかりです。
そんななかで▢▢君の新市会議員当選は正に快挙のひと言 みんなの英雄でした。
おそらくみんなも 同じ気持ちになっていたのではないかと思います。
それから 早いもので今回は任期満了の市会議員選挙。
▢▢君の二回目の選挙ですね。その▢▢君が我が家の近くまで来ていることに気が付きました。
♪ △△地区の皆さま、▢▢です、ご挨拶に伺いました。どうかよろしくお願いします♪
私は蔦のカットの手を止めて 二百メートルほど先まで来ている選挙カーに向かって大きく手を振りました。
あそこからここまで真っ直ぐの道ながら途中に交差点があってそこを曲がればもうこっち迄は来ないんじゃぁないかな、
と私は勝手な心配をしながらそれでも 蔦(つた)をのんびり刈って場合じゃぁないぞ、ワシらの英雄や、地域は広くなって
るのにまさかここまで来るなんて‥見えるかな、気が付くかな、私は首にかけていたタオルを持ち換えて大きく振りました。
おお~い ここや~、私は何とかこのタオルに気が付いてこっちに来てくれ~ 冬の山岳で遭難になり生死を彷徨
(さまよ)っているところに救援隊の姿を見つけ自分の存在を示しているのと似ているなぁ…と苦笑いをしました。
白い選挙カーはノロノロと進んでいるようですが スピーカーの 手を振ってのご声援ありがとうございます。と
お礼を言っているのが聞こえてきます。ですがそれはこっちじゃぁなくてクルマの近くみたいで選挙カーは止まってしまいました。
私は、一旦タオルを離してそばの塀に掛けて 選挙カーを見守りました。 人が降りているのか、誰か支持者が
いるのか ちょっと遠くて見えませんが、選挙カーはすっかり落ち着いたように止まったままでした。
空は薄い水色に白い雲が混じって遠く拡がっていました。この辺りは住宅が右左に点在しながら元のあぜ道の
幅がそのまま大きくなったのでやや右にうねっています。そこの途中には家が途切れたりしながら空き地にはススキと
セイタカアワダチ草が初秋の風を受けて微かに揺れていました。
その芒(ススキ)の浅黄(あさぎ)色の穂先を見て私は、はっと我に返りました。
足許には茶色に干乾びた朝顔の蔓や葉っぱがありました。
私は葉っぱや取った草などはその場に置いていて最後に熊手で集めてバケツに入れるのです。バケツは塵取り(ちりとり)
ですね。私は屈(かが)みながらせっせと落葉を塵取りに拾い入れながら 気になる▢君の選挙カーの方を見ました。
すると 選挙カーはノロノロではありますが前進をし始めていました。
クルマって遅く見えるようでやっぱりメカですねぇ^^見る見るうちに私の家の前まで来ました。
スルスルと近づいてきたと思ったら 選挙カーはピタッと止まるや 助手席のドアがガラガラと‥嘘です嘘です^^
ドアですからガラガラとはなりません、ガラガラは和式の引き戸でしょ^^ 兎に角ドアが開くと ひらりと出てきたのが
な、なんと▢▢君でした。 ○○君(私の事です)、ありがとう、手を振ってくれてたのよくわかってた ありがとうありがとう
と何度も繰り返して手を差し伸べて礼を言うのですね。選挙のプロの▢▢君はテレビなんかで見るとおり支持者の手を握る
定番の対応、ですが こっちは選挙のドシロー 男同士が両の手を握り合う様子にちょっとたじろぎましたが、
▢▢君の迫力に気押されたようにと、いつの間にか強く握り返していました。
ウチとこ ここやねん、そうか、ここなんや、さっきから手を振っていたの分かった? と聞くと おお、大きく
振ってくれたのよく見えたよ、 途中の交差点で曲がるのかな と思ったよ というと 運転席にいたウグイス嬢?
があんなによく振って下さったのに 他所(よそ)へ行くはずないじゃぁないですか と笑いながら言ってくれたので
良かった良かったと安堵していると ▢▢君が ○○君が応援をしてくれるので物凄く励みになるわ、ともう一度両の手
を握りに来ました。単純な会話と手を握り合っただけなのに 何かこみ上げるものがあって 私は素晴らしい映画を観た
ような感動で胸が一杯になりました。
そして今朝の新聞を見ますと 当選!彼らしく目立たない真ん中くらいでしたね。
良かった 良かった ^^身内でもなく何でもない ただの同級生なのに いつしか同級生は格別や と言った声が
耳に蘇(よみが)ってきました。