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iPS細胞

2013-03-24 01:50:25 | 日記
 人工多能性幹細胞(iPS細胞)をさまざまな組織に変化させ、けがや病気を治す再生医療が現実味を帯び始めています。横浜市で開かれている日本再生医療学会では、複数の病気で「数年以内に臨床研究開始」などの見通しが示される一方、国の目標通りには進まない現実が明らかになるなど、課題も見えてきました。
 慶応大の岡野栄之教授は22日午後、交通事故などによる脊髄(せきずい)損傷の患者に、iPS細胞から作った「神経前駆細胞」を移植して運動機能の回復を目指す臨床研究の計画を公表しました。臨床研究は、実用化に向けヒトで安全性や効果を調べる段階だそうです。京都大iPS細胞研究所から、拒絶反応が起きにくい医療用iPS細胞の提供を受け、それを神経に変化させて発症後2~4週間の患者約10人に移植します。
 患者自身の細胞からiPS細胞を作る時間的余裕がなく、他人の細胞を使うことから、動物実験で拒絶反応の程度を調べ、免疫抑制剤を併用してよりよい治療につなげたい考えです。「4年後に臨床研究を始められるよう準備を進めている」そうです。
 iPS細胞の臨床研究では、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーらが2月、網膜の病気「加齢黄斑変性」での実施を厚生労働省に申請済みです。この「第1号」に続くとみられる病気が脊髄損傷、血小板減少症、重症心不全などです。
 京大iPS細胞研究所の江藤浩之教授は、既にiPS細胞から血小板を作ることに成功しています。血小板は、他の組織と違って体内で増殖せず寿命も限られるため安全性が高いと見られ、早期の応用が期待されています。実現のために設立されたベンチャー「メガカリオン」(東京)の三輪玄二郎社長は「5年後の市販を目指す」と意気込んでいます。
 iPS細胞から作った心臓の筋肉で心不全治療を目指す研究は、大阪大の澤芳樹教授らがブタで効果をほぼ確認しており、臨床研究開始まで数年とみられています。
 iPS細胞研究の多くは、文部科学省が「再生医療の実現化プロジェクト」で進めてきました。過去5年間で約217億円を投資し、京大、慶応大、東京大、理研の4施設を研究拠点に指定して実施しました。だが、今年度で終了する同プロジェクトの評価では、狙った成果が得られなかった分野も少なくないそうです。
 文科省によると、約40の研究課題の半数近くが「成果が優れていることはない」「十分とは言えない」と判定されました。耳内部の器官、血管、軟骨などをiPS細胞から作る研究が含まれ、難易度が種類によって異なることも分かってきたそうです。やはり、簡単にはいきません。難しい治療です。しかし患者によっては、この治療にかけている人もいると思います。なんとか実現させてほしい治療です。