すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【西野ジャパン】パラグアイ戦に勝つ5つのコツ

2018-06-12 06:36:33 | サッカー日本代表
ピッチを広く使ってワイドな展開を

 まずパラグアイ戦の予想スタメンはこの記事に書いた通りだ。以下に再掲しよう。香川をトップ下に置く4-2-3-1である。このフォーメーションのポイントは、香川がスイス戦で壊滅的だった本田のポジションを奪う活躍ができるかどうかだ。

     ◯武藤(岡崎)

 ◯乾 ◯香川 ◯岡崎(武藤)

   ◯山口蛍 ◯柴崎

◯長友◯昌子◯植田◯酒井(宏)

     ◯中村航輔

 ただし上記はあくまで「予想」であり、「私が監督ならこの選手を選ぶ」という意味ではない。もし私が監督なら、すでに選手の見極めは終えている。本田や香川、宇佐美は選ばず、この記事で書いたように長谷部アンカー、柴崎&大島がインサイドハーフを務める4-1-4-1(下図)を選択する。で、パラグアイ戦ではこの固定メンバーにより熟成を高める。

      ◯大迫

◯原口 ◯大島 ◯柴崎 ◯武藤
 (乾)
      ◯長谷部

◯長友 ◯槙野 ◯吉田 ◯酒井(宏)

      ◯中村航輔

 さて今夜は最後のテストマッチ、パラグアイ戦である。いったい日本はどう戦えばいいのか? まず西野ジャパンの問題点は、すでにガーナ戦とスイス戦でほぼ出尽くしたと思われる。それらは以下の通りだ。この欠点を修正したい。

【西野ジャパンはここがダメだ】

1. ムダな横パスとバックパスが多い遅攻偏重。

2. 弱いグラウンダーのショートパスを多用する「劣化バルセロナ」化。

3. フィニッシュへ行かず、ボールを繋ぐこと自体が目的化している。

4. ジーコジャパンや悪い時のザックジャパンそっくりのスタイル。

5. 総評すれば、ガラパゴス化した日本式の「小さいサッカー」だ。

6. おそらく本田が現場監督になり、このサッカーを実質指揮している

7. 走らず、守備もしない本田と宇佐美は切るべきである。

 例えば上記1を修正するには、もっと縦パスを増やすことだ。2を直すには、ミドル〜ロングパスを織り交ぜ攻めのリズムを変える。3については遠目からでも積極的にシュートを打ちたい。5の修正策についてはリンク先を見てほしい。


パラグアイ戦はこう戦え

 では次はパラグアイ戦の具体的な戦い方へ行こう。まずはビルドアップからだ。スイス戦の日本は、頑なにグラウンダーのショートパスを使って最終ラインからビルドアップしようとした。で、縦のパスコースを切ったスイスの選手にこれを引っ掛けられ、カウンターを食らった。まずここを変えたい。

 ハリルジャパンで実証されたように、日本の最終ラインの選手はすでに正確なロングパスを前線につける技術がある。ならば使わないテはない。ボールを保持したCBの選手が、左右にワイドに開いた両ウィング(乾、武藤)の足元やウラに放射状のロングパスを入れたい。ピッチを広く使ったワイドな展開だ。

 念のためにいっておくが、これはアバウトな「放り込み」ではない。正確に前線の選手の足元やウラを狙う精度の高いロングパスだ。

 これによりパラグアイの前からのプレスを回避し(彼らの頭上を越すパスで)、まずミドルサードからアタッキングサードにかけたゾーンでボールをキープできるようにする。つまりミドル〜ロングパスを使い、まずサイドの高い位置でボールを保持し基点を作るわけだ。これでスイス戦のように、ビルドアップ時に低いゾーンでボールを奪われショートカウンターを食らうリスクはなくなる。

サイドを使ったフィニッシュを

 あとはサイドを使った攻撃だ。正確なクロスを入れてフィニッシュに行きたい。「本田ジャパン」のフィニッシュはグラウンダーのボールによる真ん中偏重。これを変えたい。

 よく「クロスを入れろ」と言うと、「いや日本人は身長が低いからクロスはムダだ」と否定する人がいる。だがクロスへの対応は必ずしも身長で決まるのではない。むしろポジショニングとタイミングが重要なのだ。

 なかでも特に有効なのは、敵の守備組織がまだ整ってないうちにアーリークロスを入れる攻めである。アーリークロスを入れれば、中で何が起こるかわからない。なぜならサッカーは手が使えないスポーツゆえ、入れたクロスボールを敵は手でつかめないからだ。

 つまりクロスからの一発でシュートを決められなくても、必ずゴール前でセカンドボール(こぼれ球)が発生する。これに俊敏に反応し、詰めてしまう。武藤や岡崎が得意なプレーである。

 こんなふうに敵の守備隊形が整わない速いタイミングでフィニッシュに行くのがキモだ。「本田ジャパン」のように、中盤でムダな横パスとバックパスを繰り返しボールをこね回すのでは、敵に「どうぞこの間に守備の組織を固めてください」というのと同じだ。まったくのナンセンスである。

敵のビルドアップを狙う

 次は守備へ行こう。例えば日本が攻撃し、アタッキングサードでボールを失ったとする。つまり攻から守への切り替えの局面だ。このとき日本はその場でプレスをかけるのでなく、縦のパスコースを切りながら敵の攻めを遅らせ、まずミドルサードまでリトリートしたい。そのほうがリスクが少ない。で、このゾーンにブロックを作り、あらためて組織的なプレッシングを行う。

 この場面では、パラグアイの最終ラインがボールをキープしているとする。ならば、まずパラグアイのビルドアップに対し、日本のワントップがボールを保持する敵のCBにプレスをかけてコースを限定する。つまりボールを奪うためのプレッシングではなく、相手最終ラインからの1本目のパスを制限するためのプレスだ。

 次いでトップ下の香川は敵CBからボランチへの縦パスを牽制し(彼はこのプレーが得意だ)、日本のワントップが中へのパスコースを切る。これで相手ボールをサイドへ誘導する。

 ボールをサイドへ追い込んだら、あとは同サイドの日本のSBが縦へのパスコースを切る。また同サイドの日本のWGとボランチが横のパスコースを切る。これで囲い込みが完成し、うまくハメることができる。

ボールサイドにスライドしろ

 一方、守備で気をつけたいのは、スイス戦でPKのきっかけになったようなミスだ。このとき日本の右サイドの酒井高徳が体を入れ替えられて抜かれ、そのあと吉田が対応しPKを食らった。つまり高徳が抜かれたら、もうカバーがいないのだ。

 そうではなく、酒井高徳がボールに正対している時点で、日本の選手はボールサイド(右サイド)へ順にスライドし、ボールサイドの守備を厚くしたい。これにより高徳が抜かれたときのカバーリングができる。要はゾーンディフェンスのキモであるディアゴナーレとスカラトゥーラが必要だ、というお決まりの問題になる。

 ただしA代表の選手選考でだれを選んでも即、これが自然にできる環境を整えるためには、育成年代から手をつけて50年かかる。現状、乾や柴崎などすでにマスターしている選手がチームメイトに伝え、急ごしらえでもやるしかない。

 最後に強調しておきたいのは、日本には汗臭いハードワークが絶対に必要だということだ。下手くそなら下手くそなりに相手より多く走り、泥のように粘り強く守り、カラダを投げ出してでもボールをゴールにねじ込む。どんなに苦しくても、「最後の1歩」を出す。

 そんな泥臭いサッカーで勝利をもぎ取ってほしい。

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