驚愕の「珍説」を楽しめた
2-1でなんとか逃げ切ったあのメキシコ戦について、サッカーライターの清水英斗氏がおもしろい説を公開している(以下)。
「五輪2連勝を飾った日本代表のラッキーボーイ。その名は…?」(清水英斗)
上記の記事は、日本が2-0で迎えたあの後半、前田大然と三笘薫、上田綺世という3枚を投入した森保監督は、実は「3点目」を狙っていたのだ、という驚愕の論考だ。
確かに上述の3枚は明らかな「攻め駒」だ。彼らによって3点目を奪い「3-0」とすれば、第3戦のフランス戦は2点差の負けでも突破できる。
そうなればフランス戦のスタメンをローテーションし、日本は主力を休ませることができるーー。
なるほど、ここまでの論理展開「だけ」を見れば理想的な戦略のように思える。
だがあのメキシコ戦で3点目を取り「3—0」とするのがいかに無謀かは、それまでの試合の流れを見れば一目瞭然である。
日本の優勢は前半で終わっていた
あのメキシコ戦、前半の日本は積極的なハイプレスでメキシコを攻め立て、久保の一発とPKによって「2-0」とした。完全に、優位に試合を進めた。
確かにここだけ見れば後半に「3点目」を取れるように見えるかもしれない。
だが実際には、日本のバイオリズムは前半30分あたりから失速しており、後半に至っては完全にエンストしていた。
試合の流れからいえば、後半に前田大然と三笘薫、上田綺世といういずれも「ケガ上がり」の未知数な攻め駒を使い、「3点目を取る」などというのは荒唐無稽というほかない。
実際に森保監督が「3点目」を考えていたなら、相当に(無謀な)勝負師だといわざるをえない。
なぜなら現実には何が起こったかといえば、攻めることしか考えていない三笘が後半40分にファウルを取られてメキシコにFKを献上し、見事ゴールを決められ「2-1」とされているのだ。
おかげで「3点目を取る」どころか、逆に得失点差を詰められた。
「2-0」でリードしていた後半の局面で投入された前田と三笘、上田という攻撃の駒は、ピッチいっぱいにリスクを振りまいたーー。
これが現実だ。
やりようによっては3点目は狙える
もちろん前田、三笘、上田という3枚の攻め駒を入れるのでなく、スタメンを引っ張るか、逆に守備的な選手を途中投入して「あわよくば、もしチャンスがあれば3点目を狙う」という戦略ならばあり得ただろう。
これならリスクを冒すことなく、試合を進められる。
だが前述したように日本のバイオリズムは好調だった前半の終わりごろから明らかに下降していたのであり、そこに3枚の攻め駒を入れて3点目を狙おうなどというのがいかに下策か?
もし森保監督が本当にそう考えていたのだとすれば、率直に辞任してほしい。(実際には選手交代して選手を休ませよう、あるいは「何も考えていなかった」のだと思うが。)
林大地についての反論
なお筆者の清水氏は林大地についても言及し、以下のように考察している。これにはハッキリ反論しておきたい。
「今大会、起用がハマっている林大地も、元々はバックアップメンバーだった。今となっては絶好調の久保や堂安の力を誰よりも引き出す最高の1トップだが、当初の予定では、彼はTVで試合を見ることになったはず。それが諸々転がって、日本のキープレーヤーになったわけだが、運命のいたずらとしか言いようがない」
林の活躍は「運命のいたずら」どころか、必然だ。
林大地が一時はバックアップメンバーに落ちてしまったのは、明らかに森保監督に「選手を見る目がなかった」からである。
うろ覚えだが、現に森保監督は何かのインタビューで「林大地はスカウティングでは裏抜け(?)の選手だと考えていたが、まさか最前線で敵を背負って力強くポストプレイするなどとは思っていなかった」と語っていた。
森保監督がそう考えたのは、明らかにサガン鳥栖の試合をろくに見てなかったからであり、ハッキリいってリサーチ不足だ。なぜなら林は所属チームで普段やっていることを、代表でもやっているだけだからだ。
私事で恐縮だが、林が選手選考で落とされかけたとき、私は憤然として反対し以下の原稿を書いた。林の特徴は以下の記事に大要網羅してある。
【国際強化試合】なぜ林大地を使わないのか? 〜U-24日本 4-0 ジャマイカ(松岡美樹)
最後に断言しておくが、林大地は「なるべくして日本の主軸になった」のであり、『ラッキーボーイ』などと呼ぶのはあまりにも失礼だ。勉強不足だと思う。
2-1でなんとか逃げ切ったあのメキシコ戦について、サッカーライターの清水英斗氏がおもしろい説を公開している(以下)。
「五輪2連勝を飾った日本代表のラッキーボーイ。その名は…?」(清水英斗)
上記の記事は、日本が2-0で迎えたあの後半、前田大然と三笘薫、上田綺世という3枚を投入した森保監督は、実は「3点目」を狙っていたのだ、という驚愕の論考だ。
確かに上述の3枚は明らかな「攻め駒」だ。彼らによって3点目を奪い「3-0」とすれば、第3戦のフランス戦は2点差の負けでも突破できる。
そうなればフランス戦のスタメンをローテーションし、日本は主力を休ませることができるーー。
なるほど、ここまでの論理展開「だけ」を見れば理想的な戦略のように思える。
だがあのメキシコ戦で3点目を取り「3—0」とするのがいかに無謀かは、それまでの試合の流れを見れば一目瞭然である。
日本の優勢は前半で終わっていた
あのメキシコ戦、前半の日本は積極的なハイプレスでメキシコを攻め立て、久保の一発とPKによって「2-0」とした。完全に、優位に試合を進めた。
確かにここだけ見れば後半に「3点目」を取れるように見えるかもしれない。
だが実際には、日本のバイオリズムは前半30分あたりから失速しており、後半に至っては完全にエンストしていた。
試合の流れからいえば、後半に前田大然と三笘薫、上田綺世といういずれも「ケガ上がり」の未知数な攻め駒を使い、「3点目を取る」などというのは荒唐無稽というほかない。
実際に森保監督が「3点目」を考えていたなら、相当に(無謀な)勝負師だといわざるをえない。
なぜなら現実には何が起こったかといえば、攻めることしか考えていない三笘が後半40分にファウルを取られてメキシコにFKを献上し、見事ゴールを決められ「2-1」とされているのだ。
おかげで「3点目を取る」どころか、逆に得失点差を詰められた。
「2-0」でリードしていた後半の局面で投入された前田と三笘、上田という攻撃の駒は、ピッチいっぱいにリスクを振りまいたーー。
これが現実だ。
やりようによっては3点目は狙える
もちろん前田、三笘、上田という3枚の攻め駒を入れるのでなく、スタメンを引っ張るか、逆に守備的な選手を途中投入して「あわよくば、もしチャンスがあれば3点目を狙う」という戦略ならばあり得ただろう。
これならリスクを冒すことなく、試合を進められる。
だが前述したように日本のバイオリズムは好調だった前半の終わりごろから明らかに下降していたのであり、そこに3枚の攻め駒を入れて3点目を狙おうなどというのがいかに下策か?
もし森保監督が本当にそう考えていたのだとすれば、率直に辞任してほしい。(実際には選手交代して選手を休ませよう、あるいは「何も考えていなかった」のだと思うが。)
林大地についての反論
なお筆者の清水氏は林大地についても言及し、以下のように考察している。これにはハッキリ反論しておきたい。
「今大会、起用がハマっている林大地も、元々はバックアップメンバーだった。今となっては絶好調の久保や堂安の力を誰よりも引き出す最高の1トップだが、当初の予定では、彼はTVで試合を見ることになったはず。それが諸々転がって、日本のキープレーヤーになったわけだが、運命のいたずらとしか言いようがない」
林の活躍は「運命のいたずら」どころか、必然だ。
林大地が一時はバックアップメンバーに落ちてしまったのは、明らかに森保監督に「選手を見る目がなかった」からである。
うろ覚えだが、現に森保監督は何かのインタビューで「林大地はスカウティングでは裏抜け(?)の選手だと考えていたが、まさか最前線で敵を背負って力強くポストプレイするなどとは思っていなかった」と語っていた。
森保監督がそう考えたのは、明らかにサガン鳥栖の試合をろくに見てなかったからであり、ハッキリいってリサーチ不足だ。なぜなら林は所属チームで普段やっていることを、代表でもやっているだけだからだ。
私事で恐縮だが、林が選手選考で落とされかけたとき、私は憤然として反対し以下の原稿を書いた。林の特徴は以下の記事に大要網羅してある。
【国際強化試合】なぜ林大地を使わないのか? 〜U-24日本 4-0 ジャマイカ(松岡美樹)
最後に断言しておくが、林大地は「なるべくして日本の主軸になった」のであり、『ラッキーボーイ』などと呼ぶのはあまりにも失礼だ。勉強不足だと思う。