U-20日本代表の敗退が決定した
FIFA U-20ワールドカップ・アルゼンチン2023におけるU-20日本代表のグループステージ敗退が決定した。
同大会はグループステージ全日程が終了。グループ上位2チームだけでなく、6グループの3位チームのうち上位4チームも決勝トーナメントに進出できる規定だった。
だが日本はグループ3位チーム中、5位以下が確定したため敗退が決まった。
しかし「だめだった」で終わっていては意味がない。
そこで日本が今大会でどこを誤ったか? ストロングポイントはどこか? 弱点はどこか? また今後、改善すべき修正点などを総括しておこう。
最大の改善点は敵からの攻撃回避だ
まず日本がいちばんまずかった点は、試合運びだ。彼らは試合の流れを何も考えず、ただまっすぐ真っ向勝負しているだけだった。
そのためコロンビア戦とイスラエル戦では、逆転負けして惜しい星を落とした。
またこの大会での日本は守り切りたいときは、ボールを完全に放棄し、ただディフェンディングサードにベタ引きしているだけだった。
これではいったん相手の攻めを弾き返しても、二次攻撃、三次攻撃を食らうだけだ。
試合運びを考えよう
そこで考えたいのは、敵からの攻撃を回避する術。つまり試合運びだ。
例えば自チームがリードしていて試合は残り20分、というようなケースでは、自分たちが能動的にボールを保持してうまく時間を使いたい。
無理攻めは控え、うまくポゼッションして時計が進むのを待つのだ。
これによってマイボールの時間だけがえんえん続く。これなら敵から攻められないし、ゆえに失点するような場面はやってこない。だから今大会のような「逆転負け」なんて絶対しない。
こういうクロアチアがやるような抜け目のない試合運びは、日本はそもそもA代表ですらできていない。日本サッカー界の大きなテーマだ。
そこで将来性があり頭が柔軟なU-20日本代表の面々には、こういうクロアチアのような試合運びを先んじて学んでほしい。
個人戦術の改善点は?
個人別で見た改善点としては、まず最初に上げられるべきはDF高井幸大だろう。
彼は敵のフィニッシュ時、時に棒立ちになり、1人だけ低い位置に居続けてオフサイドが取れないケースが散見された。これが失点につながった。
もちろんCBが本職の彼にSBをやらせているのだから、ハンデがあるのは当然だ。
だが自分のせいでオフサイドが取れなかった点は、彼は自覚しているようなので今後は気をつけてほしい。
ただ守備に関して言えば、このチームは彼に限らず全体でレベルアップして底上げを図る必要がある。今大会のような守備レベルでは、ヨーロッパの一流とは戦えない。
本領を発揮できなかった2人
攻撃陣に目を移せば、FW熊田直紀とMF北野颯太は、あきらかに本領を発揮できていなかった。
今大会、私は特に熊田のゴールを楽しみにしていたので残念だった。また得点だけでなく、彼は得意なポストプレイもうまく決まっていなかった。
一方の北野は、消えている時間が長かった。
もう少し運動量を増やしてボールにからみたい感じだった。
もっとも2人とも経験の浅い若い選手だけに、好不調の波はあるだろう。これに懲りずに今後も精進してほしい。
力を出せた選手は?
逆に活躍した選手といえば、筆頭に上げられるのはやはり松木玖生だろう。
彼の周りは「空気」がちがう。何か別格の輝きを持っている選手だなと感じた。ここぞの勝負強さと得点力は魅力だ。
もちろん今大会ではもっと点を取りたかっただろうが、彼は未来のA代表のエース候補だ。今後に期待したい。
それからCMFの山根陸もよかった。彼は所属の横浜F・マリノスでは本職ではない右SBで使われており、しかも水準以上のプレイをしているので器用な選手だなと感じていたが……本職のCMFでもやっぱり水準をクリアしていた。
チェイス・アンリには驚いた
またちょっとオーバーな言い方だが、この大会は私にとって「チェイス・アンリに出会えた貴重な大会」だった。
もちろん噂には聞いていたが、あんなダイナミックなプレイをするとは思わなかった。彼は非常に躍動感があり、バネもある。運動量も豊富だ。CBをまかされ、カバーリングにも大車輪の活躍だった。彼はまだまだ伸びるだろう。
本当に出会えてよかった。日本の未来を見せてもらった。
あと目についた選手を挙げるとすると、佐野航大や永長鷹虎、福井太智、坂本一彩、高橋仁胡といったところ。福田師王はもっと長い時間で見たかった。
いずれにしても、将来のA代表入りが楽しみなチームの面々だった。
今後もがんばってほしい。
FIFA U-20ワールドカップ・アルゼンチン2023におけるU-20日本代表のグループステージ敗退が決定した。
同大会はグループステージ全日程が終了。グループ上位2チームだけでなく、6グループの3位チームのうち上位4チームも決勝トーナメントに進出できる規定だった。
だが日本はグループ3位チーム中、5位以下が確定したため敗退が決まった。
しかし「だめだった」で終わっていては意味がない。
そこで日本が今大会でどこを誤ったか? ストロングポイントはどこか? 弱点はどこか? また今後、改善すべき修正点などを総括しておこう。
最大の改善点は敵からの攻撃回避だ
まず日本がいちばんまずかった点は、試合運びだ。彼らは試合の流れを何も考えず、ただまっすぐ真っ向勝負しているだけだった。
そのためコロンビア戦とイスラエル戦では、逆転負けして惜しい星を落とした。
またこの大会での日本は守り切りたいときは、ボールを完全に放棄し、ただディフェンディングサードにベタ引きしているだけだった。
これではいったん相手の攻めを弾き返しても、二次攻撃、三次攻撃を食らうだけだ。
試合運びを考えよう
そこで考えたいのは、敵からの攻撃を回避する術。つまり試合運びだ。
例えば自チームがリードしていて試合は残り20分、というようなケースでは、自分たちが能動的にボールを保持してうまく時間を使いたい。
無理攻めは控え、うまくポゼッションして時計が進むのを待つのだ。
これによってマイボールの時間だけがえんえん続く。これなら敵から攻められないし、ゆえに失点するような場面はやってこない。だから今大会のような「逆転負け」なんて絶対しない。
こういうクロアチアがやるような抜け目のない試合運びは、日本はそもそもA代表ですらできていない。日本サッカー界の大きなテーマだ。
そこで将来性があり頭が柔軟なU-20日本代表の面々には、こういうクロアチアのような試合運びを先んじて学んでほしい。
個人戦術の改善点は?
個人別で見た改善点としては、まず最初に上げられるべきはDF高井幸大だろう。
彼は敵のフィニッシュ時、時に棒立ちになり、1人だけ低い位置に居続けてオフサイドが取れないケースが散見された。これが失点につながった。
もちろんCBが本職の彼にSBをやらせているのだから、ハンデがあるのは当然だ。
だが自分のせいでオフサイドが取れなかった点は、彼は自覚しているようなので今後は気をつけてほしい。
ただ守備に関して言えば、このチームは彼に限らず全体でレベルアップして底上げを図る必要がある。今大会のような守備レベルでは、ヨーロッパの一流とは戦えない。
本領を発揮できなかった2人
攻撃陣に目を移せば、FW熊田直紀とMF北野颯太は、あきらかに本領を発揮できていなかった。
今大会、私は特に熊田のゴールを楽しみにしていたので残念だった。また得点だけでなく、彼は得意なポストプレイもうまく決まっていなかった。
一方の北野は、消えている時間が長かった。
もう少し運動量を増やしてボールにからみたい感じだった。
もっとも2人とも経験の浅い若い選手だけに、好不調の波はあるだろう。これに懲りずに今後も精進してほしい。
力を出せた選手は?
逆に活躍した選手といえば、筆頭に上げられるのはやはり松木玖生だろう。
彼の周りは「空気」がちがう。何か別格の輝きを持っている選手だなと感じた。ここぞの勝負強さと得点力は魅力だ。
もちろん今大会ではもっと点を取りたかっただろうが、彼は未来のA代表のエース候補だ。今後に期待したい。
それからCMFの山根陸もよかった。彼は所属の横浜F・マリノスでは本職ではない右SBで使われており、しかも水準以上のプレイをしているので器用な選手だなと感じていたが……本職のCMFでもやっぱり水準をクリアしていた。
チェイス・アンリには驚いた
またちょっとオーバーな言い方だが、この大会は私にとって「チェイス・アンリに出会えた貴重な大会」だった。
もちろん噂には聞いていたが、あんなダイナミックなプレイをするとは思わなかった。彼は非常に躍動感があり、バネもある。運動量も豊富だ。CBをまかされ、カバーリングにも大車輪の活躍だった。彼はまだまだ伸びるだろう。
本当に出会えてよかった。日本の未来を見せてもらった。
あと目についた選手を挙げるとすると、佐野航大や永長鷹虎、福井太智、坂本一彩、高橋仁胡といったところ。福田師王はもっと長い時間で見たかった。
いずれにしても、将来のA代表入りが楽しみなチームの面々だった。
今後もがんばってほしい。