すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【U-20W杯 総括】日本はボールを保持してうまく時間を使う術を学べ

2023-05-29 13:12:34 | サッカー日本代表
U-20日本代表の敗退が決定した

 FIFA U-20ワールドカップ・アルゼンチン2023におけるU-20日本代表のグループステージ敗退が決定した。

 同大会はグループステージ全日程が終了。グループ上位2チームだけでなく、6グループの3位チームのうち上位4チームも決勝トーナメントに進出できる規定だった。

 だが日本はグループ3位チーム中、5位以下が確定したため敗退が決まった。

 しかし「だめだった」で終わっていては意味がない。

 そこで日本が今大会でどこを誤ったか? ストロングポイントはどこか? 弱点はどこか? また今後、改善すべき修正点などを総括しておこう。

最大の改善点は敵からの攻撃回避だ

 まず日本がいちばんまずかった点は、試合運びだ。彼らは試合の流れを何も考えず、ただまっすぐ真っ向勝負しているだけだった。

 そのためコロンビア戦とイスラエル戦では、逆転負けして惜しい星を落とした。

 またこの大会での日本は守り切りたいときは、ボールを完全に放棄し、ただディフェンディングサードにベタ引きしているだけだった。

 これではいったん相手の攻めを弾き返しても、二次攻撃、三次攻撃を食らうだけだ。

試合運びを考えよう

 そこで考えたいのは、敵からの攻撃を回避する術。つまり試合運びだ。

 例えば自チームがリードしていて試合は残り20分、というようなケースでは、自分たちが能動的にボールを保持してうまく時間を使いたい。

 無理攻めは控え、うまくポゼッションして時計が進むのを待つのだ。

 これによってマイボールの時間だけがえんえん続く。これなら敵から攻められないし、ゆえに失点するような場面はやってこない。だから今大会のような「逆転負け」なんて絶対しない。

 こういうクロアチアがやるような抜け目のない試合運びは、日本はそもそもA代表ですらできていない。日本サッカー界の大きなテーマだ。

 そこで将来性があり頭が柔軟なU-20日本代表の面々には、こういうクロアチアのような試合運びを先んじて学んでほしい。

個人戦術の改善点は?

 個人別で見た改善点としては、まず最初に上げられるべきはDF高井幸大だろう。

 彼は敵のフィニッシュ時、時に棒立ちになり、1人だけ低い位置に居続けてオフサイドが取れないケースが散見された。これが失点につながった。

 もちろんCBが本職の彼にSBをやらせているのだから、ハンデがあるのは当然だ。
 
 だが自分のせいでオフサイドが取れなかった点は、彼は自覚しているようなので今後は気をつけてほしい。

 ただ守備に関して言えば、このチームは彼に限らず全体でレベルアップして底上げを図る必要がある。今大会のような守備レベルでは、ヨーロッパの一流とは戦えない。

本領を発揮できなかった2人

 攻撃陣に目を移せば、FW熊田直紀とMF北野颯太は、あきらかに本領を発揮できていなかった。

 今大会、私は特に熊田のゴールを楽しみにしていたので残念だった。また得点だけでなく、彼は得意なポストプレイもうまく決まっていなかった。

 一方の北野は、消えている時間が長かった。

 もう少し運動量を増やしてボールにからみたい感じだった。

 もっとも2人とも経験の浅い若い選手だけに、好不調の波はあるだろう。これに懲りずに今後も精進してほしい。

力を出せた選手は?

 逆に活躍した選手といえば、筆頭に上げられるのはやはり松木玖生だろう。

 彼の周りは「空気」がちがう。何か別格の輝きを持っている選手だなと感じた。ここぞの勝負強さと得点力は魅力だ。

 もちろん今大会ではもっと点を取りたかっただろうが、彼は未来のA代表のエース候補だ。今後に期待したい。

 それからCMFの山根陸もよかった。彼は所属の横浜F・マリノスでは本職ではない右SBで使われており、しかも水準以上のプレイをしているので器用な選手だなと感じていたが……本職のCMFでもやっぱり水準をクリアしていた。

チェイス・アンリには驚いた

 またちょっとオーバーな言い方だが、この大会は私にとって「チェイス・アンリに出会えた貴重な大会」だった。

 もちろん噂には聞いていたが、あんなダイナミックなプレイをするとは思わなかった。彼は非常に躍動感があり、バネもある。運動量も豊富だ。CBをまかされ、カバーリングにも大車輪の活躍だった。彼はまだまだ伸びるだろう。

 本当に出会えてよかった。日本の未来を見せてもらった。

 あと目についた選手を挙げるとすると、佐野航大や永長鷹虎、福井太智、坂本一彩、高橋仁胡といったところ。福田師王はもっと長い時間で見たかった。

 いずれにしても、将来のA代表入りが楽しみなチームの面々だった。

 今後もがんばってほしい。

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【J1 第15節】土壇場で鹿島が追いつき痛み分け 〜鳥栖 2-2 鹿島

2023-05-29 05:17:25 | Jリーグ
緊迫した息詰まる展開だった

 J1第15節で、サガン鳥栖と鹿島アントラーズが対戦した。試合は前半に両者が1点ずつを取り合う息詰まる展開になる。後半に入り鳥栖が1点リードしたが、鹿島が後半アディショナルタイムに追いつき劇的な引き分けで終わった。

 鹿島は守備時、4-4-2のミドル〜ロープレスだ。状況に応じて左SHの仲間隼斗(途中で逆サイドの名古新太郎とポジションチェンジ)がプッシュアップし、前3枚になる。最終ラインは高くはなく「安全運行」だ。だが戦況に合わせ、2トップ+両SHの4枚でハイプレスをかけることもある。プレスバックも速い。

 一方、攻撃時は両SBを高く上げ、2CBが開いて2バックになる。割り切ってロングボールを入れるダイレクトなビルドアップをする。2トップの一角であるエースの鈴木優磨がポストプレイでチャンスを作る。

 まずは前半13分。鹿島のCB関川郁万が裏を狙ったボールを入れ、最後はボックス中央でFW垣田裕暉がシュートを放つ。これは右ポストを直撃し「未遂」に終わった。

 だがその後は鳥栖がボールを握り、ポゼッションする展開になる。

 その鳥栖が前半27分に先制弾だ。左サイドからFWの小野裕二がハイクロスを入れ、右SHの長沼洋一が折り返す。最後はトップ下の森谷賢太郎が、ボックス中央から強烈なシュートを突き刺した。

 一方、同33分に鹿島が追い上げる。反攻だ。右サイドからMFディエゴ・ピトゥカが斜めのクロスを入れ、ゴール左で鈴木が頭で折り返す。仕上げはMF名古新太郎のダイビングヘッドで締めた。1-1。同点だ。

 このあと一方のゴールから他方のゴールへとボールが行き交い、目を離せない展開になり前半が終わった。

シーソーゲームは後半も続く

 後半も立ち上がりから鳥栖がボールを保持する。鹿島は受けて立ち、粘り強く守り続ける。こうして機を見て攻めに転じる。これが鹿島のいつものペースだ。

 後半13分、鹿島が仲間に代えてCMF佐野海舟を投入する。これで樋口が右SHに入った。

 同22分、鹿島が垣田と名古を引っ込め、アルトゥール・カイキと土居聖真を投入する。

 そして3分後に試合が動く。鳥栖のMF手塚康平が中央で縦パスを通し、FW小野裕二がシュートした。ボールはゴール右ポストを叩くが、その跳ね返りがちょうどセービングしたGK早川友基に当たりゴールに入る。鳥栖、1点リードだ。

 同32分。鹿島はMFディエゴ・ピトゥカとDF広瀬陸斗に代えて、FW染野唯月とDF常本佳吾を入れる。

 大団円は同46分だ。ボールが鹿島の左サイドに出る。受けたSB安西幸輝が少しドリブルし、低いクロスを入れる。これをボックス中央で千両役者の鈴木がダイビングヘッドでゴール左スミに叩き込んだ。2-2。同点だ。

 緊迫した後半はこれで幕を閉じ、試合は痛み分けの引き分けで終わった。まさに手に汗握るスリリングな激闘だった。

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