EURO 2004で優勝したギリシャの姿がよぎる
もしロシアW杯本大会の初戦、ハリルのチームが頑なにポゼッションにこだわるスタイルに変わっていたとしても、ちっとも驚かないだろう。ハリルにとってスタイルやシステム、選手選考は単に勝敗を決める1要素にすぎない。「相手と噛み合わせるにはどうすればいいか? そのために必要なことを必要なときにやる」。それがハリルの戦術だからだ。スタメンやシステムを固定して熟成させる、なんて日本人的な発想は彼にはないのだろう。
見る者を陶然とさせるような美しさはないけれど、効率を重視しリアルに徹してひたすら勝利をめざす。ハリルジャパンはそんなチームだ。ロシアW杯アジア最終予選。ホームで劇的な勝利を収めたオーストラリア戦を振り返れば、日本はポゼッション率で相手を4:6と下回っているのに、シュート数は敵の3倍もあった。非常に効率的である。
かつてギリシャはUEFA EURO 2004で優勝したが、「弱者」の彼らが優勝するなんて誰も想像だにしなかった。ギリシャは自分たちが弱者であることを認識し、日本と同様、リアルに徹し自分たちにしかできないサッカーをやった。自陣に引いてボールを奪ったら、ハイテンポでパスを回し5〜6人が攻め上がる彼らのコレクティブ・カウンターは爽快だった。
またスタイルはまったく違うが勝ちに対するこだわりや粘りという意味では、ハリルジャパンのメンタルはかつて黄金時代を築いたドイツのようなチームといっていいかもしれない。「なんだかんだ言って最後にフィールドに残っているのはドイツ人だ。うんざりする」と彼らは敗者にイヤがられた。無骨で決してカッコよくはないけれど、日本もそんな頼もしいチームになれればいい。最後にフィールドに残って祝杯をあげるのは我々だ、そう言いたい。
入れ替わり立ち代りラッキーボーイが出た
アジア予選を振り返れば、入れ替わり立ち代りラッキーボーイが出たのが大きかった。相手ボールになったら最終ラインまで戻り、マイボールにすればまた最前線まで上がって行く原口はその壮絶なアップダウンで一時代を築いた。
久保も高い得点力でひと頃のチームを支えた。そして最後に爆発したのは若い井手口と浅野だった。原口のコンディションが落ちたら久保が台頭し、次は井手口と浅野にお鉢が回ってくる。そんなふうに常にそのとき調子のいい選手がブレイクすることでチームは好回転になった。
確かにメッシやロナウドのように「個人力」で際立つ選手はいない。ハリルジャパンは泥臭く11人で勝つサッカーだ。原口や久保は一時的にスタメン落ちしたとしてもコンディションさえよければいつでも任せられるし、井手口と山口蛍という中盤の狩人は今まさに黄金時代を築こうとしている。これにまだ柴崎や武藤、清武が控えているのだ。まったくワクワクする。お楽しみはこれからである。
もしロシアW杯本大会の初戦、ハリルのチームが頑なにポゼッションにこだわるスタイルに変わっていたとしても、ちっとも驚かないだろう。ハリルにとってスタイルやシステム、選手選考は単に勝敗を決める1要素にすぎない。「相手と噛み合わせるにはどうすればいいか? そのために必要なことを必要なときにやる」。それがハリルの戦術だからだ。スタメンやシステムを固定して熟成させる、なんて日本人的な発想は彼にはないのだろう。
見る者を陶然とさせるような美しさはないけれど、効率を重視しリアルに徹してひたすら勝利をめざす。ハリルジャパンはそんなチームだ。ロシアW杯アジア最終予選。ホームで劇的な勝利を収めたオーストラリア戦を振り返れば、日本はポゼッション率で相手を4:6と下回っているのに、シュート数は敵の3倍もあった。非常に効率的である。
かつてギリシャはUEFA EURO 2004で優勝したが、「弱者」の彼らが優勝するなんて誰も想像だにしなかった。ギリシャは自分たちが弱者であることを認識し、日本と同様、リアルに徹し自分たちにしかできないサッカーをやった。自陣に引いてボールを奪ったら、ハイテンポでパスを回し5〜6人が攻め上がる彼らのコレクティブ・カウンターは爽快だった。
またスタイルはまったく違うが勝ちに対するこだわりや粘りという意味では、ハリルジャパンのメンタルはかつて黄金時代を築いたドイツのようなチームといっていいかもしれない。「なんだかんだ言って最後にフィールドに残っているのはドイツ人だ。うんざりする」と彼らは敗者にイヤがられた。無骨で決してカッコよくはないけれど、日本もそんな頼もしいチームになれればいい。最後にフィールドに残って祝杯をあげるのは我々だ、そう言いたい。
入れ替わり立ち代りラッキーボーイが出た
アジア予選を振り返れば、入れ替わり立ち代りラッキーボーイが出たのが大きかった。相手ボールになったら最終ラインまで戻り、マイボールにすればまた最前線まで上がって行く原口はその壮絶なアップダウンで一時代を築いた。
久保も高い得点力でひと頃のチームを支えた。そして最後に爆発したのは若い井手口と浅野だった。原口のコンディションが落ちたら久保が台頭し、次は井手口と浅野にお鉢が回ってくる。そんなふうに常にそのとき調子のいい選手がブレイクすることでチームは好回転になった。
確かにメッシやロナウドのように「個人力」で際立つ選手はいない。ハリルジャパンは泥臭く11人で勝つサッカーだ。原口や久保は一時的にスタメン落ちしたとしてもコンディションさえよければいつでも任せられるし、井手口と山口蛍という中盤の狩人は今まさに黄金時代を築こうとしている。これにまだ柴崎や武藤、清武が控えているのだ。まったくワクワクする。お楽しみはこれからである。