すちゃらかな日常 松岡美樹

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【ラ・リーガ 20/21 第19節】ポゼッション・スタイルへの転換点 〜ヘタフェ1-0ウエスカ

2021-01-21 06:10:11 | その他の欧州サッカー
久保は70点のデキだった

 久保建英のヘタフェ移籍2戦目は、右サイドでの先発になった。前半はウエスカと五分五分の勝負、後半は完全にヘタフェのゲームになり、1-0でヘタフェが堂々シャットアウトした。

 チームとしてはこれまでのストーミングから、ポゼッション・スタイルへの転換点になる記念すべきゲームだった。

 この試合、ヘタフェはフォーメーションを今までの4‐4‐2から4-2-3-1に変えてきた。このへん戦術変更の匂いがする。スタメンはGKがヤニェス。最終ラインは右からスアレス、ジェネ、エチェイタ、ニョムだ。

 セントラルMFはマクシモビッチとアランバッリ。2列目は右から久保、アレニャ、ククレジャ。ワントップはマタである。これで守備時はトップ下のアレニャが前へ出て、4‐4‐2のブロックを作りプレスする。

ビルドアップ&ポゼッションへの挑戦

 前半の立ち上がり。この記事この記事でも事前分析したが、予想通りヘタフェは最終ラインからていねいにビルドアップしようとする。最終ラインがボールを持つと、セントラルMFのアランバッリが2CBの間に下りたり、CBとSBの間に下りたりする。

 これでグラウンダーのボールを前につけ、パスをつなぐのがベースである。唯一、CBのジェネだけはボールをもつと大きく前へ蹴り込むが、それ以外では基本ビルドアップ志向だった。

 これまでヘタフェはボールを握ると前線へ大きく放り込み、前でゲーゲンプレスして攻めるストーミングを志向していた。

 そのチームがバルセロナのカンテラ出身で技巧的な久保、アレニャの加入と同時に、ポゼッション・スタイルに戦術を転換したのだ。おそらく「クライフ主義者」を自称するボルダラス監督としても、本来やりたいサッカーに近づいたのではないだろうか?

70分にアランバッリが決勝点を上げる

 後半、ゲームはややヘタフェが支配した形になり、58分にアランバッリがこぼれ球をシュートしたが惜しくも入らず。ウエスカは5-4-1のブロックを作り懸命に守る。

 続いて70分には、中央のアレニャからのダイアゴナルなパスを右サイドで受けたセントラルMFのアランバッリが豪快にシュート。GKの股を抜いて見事に決めた。

 この虎の子の1点をあげたヘタフェは終盤に久保ほか3人の選手を下げて守備固めし、危なげなくゲームを締めた。ポゼッション・スタイルに転換したヘタフェにとっては、今シーズンを占う大きな1勝になった。

 選手別では、ククレジャは運動量とインテンシティの高さがあるすばらしい選手だ。ワンアシストのアレニャ、久保も及第点のデキだった。

 また得点したセントラルMFのアランバッリも含め、最終ラインの守備は固くウエスカに付け入るスキを与えなかった。

久保はトランジションが甘い

 さて、久保のプレイスタイルだ。彼は中に絞ってライン間でボールを受けたり、サイドで基点になりクロスやスルーパスを入れるなど、明らかに自分のスタイルで伸び伸びプレイしていた。

 キープ力も非常に高く、敵3人に囲まれてもボールをしっかり保持できる。

 また守備になればチェイシングやプレスバックもする。ただ守備時のインテンシティがそう高くないのは今後の課題だろう。

 一方、明らかに修正すべきなのはオフ・ザ・ボールの動き、特にトランジションへの対応だ。この試合ではポジティブ・トランジション(守→攻の切り替え)の甘さが見えた。

 例えば逆サイドにボールが入ると(自分には関係ないなと)途端に足を止めてしまう。また敵ボールを味方が鋭くカットした瞬間、せっかくの速いショートカウンターのチャンスなのに足が完全に止まっていたりする。

 もちろん選手には武器もあれば欠点もある。それは今後、おいおい詰めて行けばいい。むしろこのゲームではそれよりチームとしてビルドアップ&ポゼッションという新しいゲームモデルに挑み、リフォームに成功したことが大きい。

 今季のヘタフェはおもしろくなりそうだ。

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