俊敏でキレまくり、驚異の森保チルドレン
こんなエゴイスト揃いの素敵な代表が過去にあっただろうか? 全員がゴールに飢えている。ドリブルで2人3人かわし、最後は必ずシュートで終わる。かと思えばダイレクトパスがさざ波のように小気味よく続き、目を疑うようなラストパスが最後に飛び出す。軽快で楽しいサッカーだ。
日本人ならではの軽やかな敏捷性とキレのよさ、スピードを兼ね備えた忍者のような若者たちが、大阪の夜を魅了した。強烈なインパクトである。もう来年1月のアジアカップはこのメンバーでそのまま行ったほうがいいんじゃないか? そんな思いにとらわれた。
特に中島翔哉と堂安律、伊東純也の爽快なドリブルや切り返しは何時間でも見ていたくなる。時空を瞬間移動できる攻撃的な彼らが、大柄で鈍重なヨーロッパのDFをキリキリ舞いさせるところをW杯でぜひ見たい。
ドリブルをからめた多彩なフィニッシュ
さて森保ジャパンのこけら落としとなったコスタリカ戦。日本は4-2-3-1で戦った。スタメンは、まずGKが東口順昭。最終ラインは右から室屋成、三浦弦太、槙野智章、佐々木翔。中盤はセントラルMFが青山敏弘と遠藤航。右SHは堂安律、左SHは中島翔哉。トップ下は南野拓実。CFは小林悠だ。️️
日本のビルドアップはSB経由か、セントラルMF経由の2ルートだ。直接、前線を狙うようなダイレクト攻撃はしない。ていねいにボールを転がし、後ろから組み上げて行く。
ただし改良の余地はある。敵は2トップで日本の2CBにプレッシングしてくるのだから、セントラルMFが最終ラインに落ちて3バックを形成して数的優位を作り、そのぶん両SBをもっと高く張り出させるような工夫をしたかった。時おり青山が両CBの間に下りてはいたが、さらにビルドアップをシステマチックにしたい。
一方、中盤から前線にかけては、過去の日本代表に類を見ないほどドリブルの比率が高かった。特に中島と堂安の個の力を生かした持ち運びが効いていた。
フィニッシュはそのドリブルからのシュートやラストパス、クロスのほか、ポストプレイを絡めたワンツーからのダイレクトシュートなど非常に多彩だ。アタッキングサードでの崩しのアイディアの豊富さは、過去の代表随一ではないだろうか? 非常に攻撃的である。
その場でプレスしボールの即時奪回を狙う
他方、日本はボールを失うとリトリートせず、その場でプレッシングし即時奪回を狙っていた。これが第一選択だ。その第一プレッシャーラインを突破されたらミドルサードまでリトリートする。
またコスタリカのビルドアップに対し、日本はミドルサードに4-4-2の守備ブロックを敷いた。そして「2」の小林と南野がボールを保持する相手のCBに対し、ミドルサードの敵陣側からプレッシングを開始していた。
ただし敵のビルドアップの制限のしかたについては、小林と南野の2人による連動したプレッシングやパスコースの切り方、中間ポジションの取り方などに修正すべき点は見られた。
一方、コスタリカのフォーメーションは3-1-4-2だ。彼らはボールを失った場合、ミドルプレスとローブロックを使い分けていた。また日本に押し込まれるとリトリートし、ディフェンディングサードに5-3-2のブロックを作る。これが基本形である。
常にシュートを狙う積極性がすばらしい
試合が動いたのは前半16分。日本の右CKから佐々木がヘディングシュートし、それがコスタリカの選手の頭に当たってオウンゴールになった。敵ながら見事なヘディングシュートだった。これで1-0。日本の先制だ。
続く2点目は後半21分。裏抜けした遠藤にボールが出て、遠藤が右にパス。これを南野がカラダをひねってあっさり決めた。スペースを見つけてライン裏に走り込んだ遠藤のファインプレーだった。
3点目は、もう試合終了間際だ。後半40分に途中交代で入ったばかりの伊東純也が右サイドをドリブルし、最後は切り返して左足でゴールに叩き込んだ。アディショナルタイムの後半48分である。
まるで伊東はあの1点を取るためだけに途中出場したようなものだ。彼はドリブルを開始した時点で、明らかに自分でシュートを打つことを狙っていた。すばらしくエゴイスティックなプレーヤーである。非常にいい。
こんなふうに日本はパスばかりでなく、チームとして常に積極的にシュートを狙っているところがすばらしい。またリズミカルな2タッチ以内のパスワークも光った。機敏なトランジション(攻守の切り替え)もいい。ひとことで表現すれば、見ていて楽しいサッカーだ。
ただし無失点で勝てたのはコスタリカのフィニッシュに問題があったのを忘れてはいけない。相手が弱かったから3-0で勝てた。そういうことである。
守備に関しては課題が満載
一方、守備に関してはおそらく手つかずなのだと思うが、修正点は多い。例えば攻撃的な中島は攻めるだけでなく守備にも走り回っていて非常に好感が持てた。ただチーム全体にそれが個人のがんばりで終わっていて、十分に組織的な守備になっていない。しっかり3ラインを作るコレクティブな守備を構築したい。
現状、めいめいが自分のゾーンに入ってきた敵を見るだけで、複数の選手が連動してひとつながりのラインやブロックになってない。隣のゾーンで味方がボールを競り合っているときに、じゃあそれをカバーリングするにはどの角度で、どこにポジショニングするべきか? そこを考えてほしい。
選手個人では、コンディションが悪かったのか、青山にミスが目立ってちょっと心配になった。彼はもっともっとできるはずだ。あのレベルなら柴崎岳に簡単に取って替わられてしまうだろう。
最後に今後を展望すれば、若い彼らにはまだまだ途方もない伸びしろがある点が大きい。今はまだ散発的なきらめきで終わっていても、それが連続してひとつになれば大きな光になる。
昨日の記事では「森保ジャパンに乗れない」などと書いてしまったが潔く前言撤回。まだ1試合しか見ていないが、十分注意深くウォッチすべきチームであると認識を改めた。今後が楽しみだ。
こんなエゴイスト揃いの素敵な代表が過去にあっただろうか? 全員がゴールに飢えている。ドリブルで2人3人かわし、最後は必ずシュートで終わる。かと思えばダイレクトパスがさざ波のように小気味よく続き、目を疑うようなラストパスが最後に飛び出す。軽快で楽しいサッカーだ。
日本人ならではの軽やかな敏捷性とキレのよさ、スピードを兼ね備えた忍者のような若者たちが、大阪の夜を魅了した。強烈なインパクトである。もう来年1月のアジアカップはこのメンバーでそのまま行ったほうがいいんじゃないか? そんな思いにとらわれた。
特に中島翔哉と堂安律、伊東純也の爽快なドリブルや切り返しは何時間でも見ていたくなる。時空を瞬間移動できる攻撃的な彼らが、大柄で鈍重なヨーロッパのDFをキリキリ舞いさせるところをW杯でぜひ見たい。
ドリブルをからめた多彩なフィニッシュ
さて森保ジャパンのこけら落としとなったコスタリカ戦。日本は4-2-3-1で戦った。スタメンは、まずGKが東口順昭。最終ラインは右から室屋成、三浦弦太、槙野智章、佐々木翔。中盤はセントラルMFが青山敏弘と遠藤航。右SHは堂安律、左SHは中島翔哉。トップ下は南野拓実。CFは小林悠だ。️️
日本のビルドアップはSB経由か、セントラルMF経由の2ルートだ。直接、前線を狙うようなダイレクト攻撃はしない。ていねいにボールを転がし、後ろから組み上げて行く。
ただし改良の余地はある。敵は2トップで日本の2CBにプレッシングしてくるのだから、セントラルMFが最終ラインに落ちて3バックを形成して数的優位を作り、そのぶん両SBをもっと高く張り出させるような工夫をしたかった。時おり青山が両CBの間に下りてはいたが、さらにビルドアップをシステマチックにしたい。
一方、中盤から前線にかけては、過去の日本代表に類を見ないほどドリブルの比率が高かった。特に中島と堂安の個の力を生かした持ち運びが効いていた。
フィニッシュはそのドリブルからのシュートやラストパス、クロスのほか、ポストプレイを絡めたワンツーからのダイレクトシュートなど非常に多彩だ。アタッキングサードでの崩しのアイディアの豊富さは、過去の代表随一ではないだろうか? 非常に攻撃的である。
その場でプレスしボールの即時奪回を狙う
他方、日本はボールを失うとリトリートせず、その場でプレッシングし即時奪回を狙っていた。これが第一選択だ。その第一プレッシャーラインを突破されたらミドルサードまでリトリートする。
またコスタリカのビルドアップに対し、日本はミドルサードに4-4-2の守備ブロックを敷いた。そして「2」の小林と南野がボールを保持する相手のCBに対し、ミドルサードの敵陣側からプレッシングを開始していた。
ただし敵のビルドアップの制限のしかたについては、小林と南野の2人による連動したプレッシングやパスコースの切り方、中間ポジションの取り方などに修正すべき点は見られた。
一方、コスタリカのフォーメーションは3-1-4-2だ。彼らはボールを失った場合、ミドルプレスとローブロックを使い分けていた。また日本に押し込まれるとリトリートし、ディフェンディングサードに5-3-2のブロックを作る。これが基本形である。
常にシュートを狙う積極性がすばらしい
試合が動いたのは前半16分。日本の右CKから佐々木がヘディングシュートし、それがコスタリカの選手の頭に当たってオウンゴールになった。敵ながら見事なヘディングシュートだった。これで1-0。日本の先制だ。
続く2点目は後半21分。裏抜けした遠藤にボールが出て、遠藤が右にパス。これを南野がカラダをひねってあっさり決めた。スペースを見つけてライン裏に走り込んだ遠藤のファインプレーだった。
3点目は、もう試合終了間際だ。後半40分に途中交代で入ったばかりの伊東純也が右サイドをドリブルし、最後は切り返して左足でゴールに叩き込んだ。アディショナルタイムの後半48分である。
まるで伊東はあの1点を取るためだけに途中出場したようなものだ。彼はドリブルを開始した時点で、明らかに自分でシュートを打つことを狙っていた。すばらしくエゴイスティックなプレーヤーである。非常にいい。
こんなふうに日本はパスばかりでなく、チームとして常に積極的にシュートを狙っているところがすばらしい。またリズミカルな2タッチ以内のパスワークも光った。機敏なトランジション(攻守の切り替え)もいい。ひとことで表現すれば、見ていて楽しいサッカーだ。
ただし無失点で勝てたのはコスタリカのフィニッシュに問題があったのを忘れてはいけない。相手が弱かったから3-0で勝てた。そういうことである。
守備に関しては課題が満載
一方、守備に関してはおそらく手つかずなのだと思うが、修正点は多い。例えば攻撃的な中島は攻めるだけでなく守備にも走り回っていて非常に好感が持てた。ただチーム全体にそれが個人のがんばりで終わっていて、十分に組織的な守備になっていない。しっかり3ラインを作るコレクティブな守備を構築したい。
現状、めいめいが自分のゾーンに入ってきた敵を見るだけで、複数の選手が連動してひとつながりのラインやブロックになってない。隣のゾーンで味方がボールを競り合っているときに、じゃあそれをカバーリングするにはどの角度で、どこにポジショニングするべきか? そこを考えてほしい。
選手個人では、コンディションが悪かったのか、青山にミスが目立ってちょっと心配になった。彼はもっともっとできるはずだ。あのレベルなら柴崎岳に簡単に取って替わられてしまうだろう。
最後に今後を展望すれば、若い彼らにはまだまだ途方もない伸びしろがある点が大きい。今はまだ散発的なきらめきで終わっていても、それが連続してひとつになれば大きな光になる。
昨日の記事では「森保ジャパンに乗れない」などと書いてしまったが潔く前言撤回。まだ1試合しか見ていないが、十分注意深くウォッチすべきチームであると認識を改めた。今後が楽しみだ。