カウンター攻撃に徹した日本が圧勝する
女子ワールドカップ「オーストラリア&ニュージーランド2023」は31日にグループC第3節が行われ、なでしこジャパンが強豪スペイン女子代表と対戦した。
日本は立ち上がりから最終ラインをあえて低く構えて5-4のブロックを敷き、「相手にボールを持たせて勝つサッカー」をして4-0で完勝した。日本のポゼッション率はたったの23%。見事な作戦勝ちだ。加えて恐ろしいほどの決定力である。
これで日本はC組をダントツの全勝・無失点で首位通過し、なんと合計11点をもぎ取った。8月5日の日本時間午後5時から行なわれる決勝トーナメント1回戦では、A組2位のノルウェーと当たる。NHKが総合テレビで中継する。
さて、なでしこジャパンの池田太監督が、またしてもカマしてきた。ワントップに初先発の植木理子を、また右CBにも同じく初先発の高橋はなを置いたのをはじめ、前節からスタメンを5人も変えてきたのだ。しかも日本はブロック守備からのカウンター攻撃に徹し、強豪スペインをチンチンにやっつけて見せたのである。
立ち上がりから日本は自陣に5-4のブロックを構え、相手にボールは持たせるがチャンスになったら速攻するサッカーで戦った。前節、コスタリカ戦の後半にテストした通りの形だ。これで日本が最終ラインでマイボールにすると、スペインがハイプレスをかけてくる展開である。
日本のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンはGKが山下杏也加。3バックは右から高橋はな、熊谷紗希、南萌華が構える。右ウイングバックには清水梨紗、左ウイングバックは遠藤純。ダブルボランチは林穂之香と長野風花。2シャドーは右が宮澤ひなた、左が猶本光。ワントップは植木理子だ。
交代出場したFW田中美南が4ゴール目を決める
日本は前半12分にボールを奪うと最終ラインからきっちり組み立て、カウンター攻撃に成功する。CBの熊谷がボールをいったん左サイドの遠藤に振る。受けた遠藤が敵ライン裏にスルーパスを出し、これに宮澤が前へ飛び出してGKとの1対1をゴール右に決めてみせた。先制点だ。
続く同29分。またも宮澤がボールを運び、左にいた植木にスルーパスを出す。その植木が持ち込んで放ったシュートは敵DFのパレデスにボールが当たってコースが変わり、GKロドリゲスが伸ばす手の上を抜けてしっかりゴールに収まった。
さらに同40分だ。日本は中盤で相手ボールをカットし、植木が右にいた宮澤にパス。その宮澤が持ち込んでゴール左に叩き込んだ。なでしこは、わずかシュート3本で3点を奪った。しかも宮澤はこの日、2ゴール1アシストである。
そしてゲームは後半に入り、日本は立ち上がりから右のシャドーを宮澤から藤野あおばに代えた。また同14分にはCMFの長野を長谷川唯に、右WBの清水を守屋都弥に交代させた。さらに同23分にはワントップの植木を田中美南に代えてきた。池田監督の目まぐるしい采配が冴え渡る。
さあ、とどめの4点目は同37分だ。交代出場したばかりの田中が右サイドのスローインからボールを受けて独走し、最後はゴール左上スミに美しいコントロールショットをお見舞いする。これで4-0だ。
決勝トーナメントもカウンター狙いか?
驚かされるのは、なでしこジャパンの選手層の厚さである。選手を誰に代えても穴がないばかりか、むしろ出た人が活躍する。後半に出場して測ったような超絶ゴールを決めて見せた田中などは典型だ。この絶妙の選手交代にぶ厚い選手層、そして相手の意表をつく高等戦術である。
しかも1次リーグを2位通過してしまうと今節以降の会場は移動ばかりになるが、日本は1位通過したため今節と決勝トーナメント1回戦の会場は同じウェリントンだ。また準々決勝と準決勝も同じオークランドで戦える。移動なしだ。
さらには今節で堅守速攻を一度見せておいたために、今後の対戦相手は「日本はポゼッションで来るのか? それともカウンター狙いか?」と的を絞りにくくなる。事前の準備が非常に難しくなるーー。いよいよ「優勝」のふた文字が現実味を帯びてきた。
カギになるのは戦術だ。決勝トーナメントに入っても、ずっとこの相手にボールを持たせて勝つサッカーをやり続けるのかどうか? である。
日本は逆にザンビア戦とコスタリカ戦の前半で見せたようなポゼッションスタイルでも十分勝てると思うが、次のノルウェー戦以降ではこの戦術面をしっかり見極めたい。
女子ワールドカップ「オーストラリア&ニュージーランド2023」は31日にグループC第3節が行われ、なでしこジャパンが強豪スペイン女子代表と対戦した。
日本は立ち上がりから最終ラインをあえて低く構えて5-4のブロックを敷き、「相手にボールを持たせて勝つサッカー」をして4-0で完勝した。日本のポゼッション率はたったの23%。見事な作戦勝ちだ。加えて恐ろしいほどの決定力である。
これで日本はC組をダントツの全勝・無失点で首位通過し、なんと合計11点をもぎ取った。8月5日の日本時間午後5時から行なわれる決勝トーナメント1回戦では、A組2位のノルウェーと当たる。NHKが総合テレビで中継する。
さて、なでしこジャパンの池田太監督が、またしてもカマしてきた。ワントップに初先発の植木理子を、また右CBにも同じく初先発の高橋はなを置いたのをはじめ、前節からスタメンを5人も変えてきたのだ。しかも日本はブロック守備からのカウンター攻撃に徹し、強豪スペインをチンチンにやっつけて見せたのである。
立ち上がりから日本は自陣に5-4のブロックを構え、相手にボールは持たせるがチャンスになったら速攻するサッカーで戦った。前節、コスタリカ戦の後半にテストした通りの形だ。これで日本が最終ラインでマイボールにすると、スペインがハイプレスをかけてくる展開である。
日本のフォーメーションは3-4-2-1だ。スタメンはGKが山下杏也加。3バックは右から高橋はな、熊谷紗希、南萌華が構える。右ウイングバックには清水梨紗、左ウイングバックは遠藤純。ダブルボランチは林穂之香と長野風花。2シャドーは右が宮澤ひなた、左が猶本光。ワントップは植木理子だ。
交代出場したFW田中美南が4ゴール目を決める
日本は前半12分にボールを奪うと最終ラインからきっちり組み立て、カウンター攻撃に成功する。CBの熊谷がボールをいったん左サイドの遠藤に振る。受けた遠藤が敵ライン裏にスルーパスを出し、これに宮澤が前へ飛び出してGKとの1対1をゴール右に決めてみせた。先制点だ。
続く同29分。またも宮澤がボールを運び、左にいた植木にスルーパスを出す。その植木が持ち込んで放ったシュートは敵DFのパレデスにボールが当たってコースが変わり、GKロドリゲスが伸ばす手の上を抜けてしっかりゴールに収まった。
さらに同40分だ。日本は中盤で相手ボールをカットし、植木が右にいた宮澤にパス。その宮澤が持ち込んでゴール左に叩き込んだ。なでしこは、わずかシュート3本で3点を奪った。しかも宮澤はこの日、2ゴール1アシストである。
そしてゲームは後半に入り、日本は立ち上がりから右のシャドーを宮澤から藤野あおばに代えた。また同14分にはCMFの長野を長谷川唯に、右WBの清水を守屋都弥に交代させた。さらに同23分にはワントップの植木を田中美南に代えてきた。池田監督の目まぐるしい采配が冴え渡る。
さあ、とどめの4点目は同37分だ。交代出場したばかりの田中が右サイドのスローインからボールを受けて独走し、最後はゴール左上スミに美しいコントロールショットをお見舞いする。これで4-0だ。
決勝トーナメントもカウンター狙いか?
驚かされるのは、なでしこジャパンの選手層の厚さである。選手を誰に代えても穴がないばかりか、むしろ出た人が活躍する。後半に出場して測ったような超絶ゴールを決めて見せた田中などは典型だ。この絶妙の選手交代にぶ厚い選手層、そして相手の意表をつく高等戦術である。
しかも1次リーグを2位通過してしまうと今節以降の会場は移動ばかりになるが、日本は1位通過したため今節と決勝トーナメント1回戦の会場は同じウェリントンだ。また準々決勝と準決勝も同じオークランドで戦える。移動なしだ。
さらには今節で堅守速攻を一度見せておいたために、今後の対戦相手は「日本はポゼッションで来るのか? それともカウンター狙いか?」と的を絞りにくくなる。事前の準備が非常に難しくなるーー。いよいよ「優勝」のふた文字が現実味を帯びてきた。
カギになるのは戦術だ。決勝トーナメントに入っても、ずっとこの相手にボールを持たせて勝つサッカーをやり続けるのかどうか? である。
日本は逆にザンビア戦とコスタリカ戦の前半で見せたようなポゼッションスタイルでも十分勝てると思うが、次のノルウェー戦以降ではこの戦術面をしっかり見極めたい。