すちゃらかな日常 松岡美樹

積極財政などの政治経済をすちゃらかな視点で見ます。ワクチン後遺症など社会問題やメディア論、サッカー、音楽ネタも。

【プレミアリーグ 23/24 第3節】シティが圧倒的に押し込むが苦戦する ~シェフィールド・ユナイテッド 1-2 マンチェスター・シティ

2023-09-03 08:44:26 | イングランド・プレミアリーグ
シティが開幕3連勝する

 プレミアリーグの第3節が8月27日に行われ、マンチェスター・シティとシェフィールド・ユナイテッドが対戦した。2-1でシティが勝利した。スコア上は接戦だが内容はシティの圧勝だった。

 マンチェスター・シティはリーグ2連勝でアウェイの地に乗り込んできた。

 前半は両者無得点で推移したが、後半に入ると62分にシティが先制。そのままシティが押し切るかに見えたが土壇場の85分にシェフィールドが同点にする。だが直後の88分にシティが決勝点を上げ押し切った。

 シティのフォーメーションは4-2-3-1だ。GKはエデルソン。右SBはカイル・ウォーカー。CBはルベン・ディアスとナタン・アケ。左SBには新加入のヨシュコ・グバルディオルが入る。

 CMFはロドリとマテオ・コバチッチが務め、2列目は右からベルナルド・シウバ、フリアン・アルバレス、ジャック・グリーリッシュ。ワントップはアーリング・ハーランドだ。

ほぼハーフコートマッチ化する

 試合はシティが一方的にボールを保持して敵陣に押し込む形になる。ポゼッション率は80%近く、ほぼハーフコートマッチ化している。

 前半20分にFKからベルナルド・シウバが左足でクロスを入れ、アケがゴールするが、頭で触っていたロドリがオフサイドで得点ならず。

 続く35分には敵陣でのボール回収からグリーリッシュがスルーパスを入れ、アルバレスが折り返す。このときジョン・イーガンがハンドを犯し、シティのPKになる。ハーランドが蹴ったがポストに嫌われゴールできない。

 シェフィールドは3-5-2だが守備時5-3-2になる。ペナルティエリア内ではハーランドを2人がかりで掴んで抑えている。彼らはひたすら引いて耐え、時間を使う。たまに2人くらいでカウンター攻撃にうつるが散発的にすぎない。

63分にシティがやっと先制だ

 後半に入ってもゲームの構図は変わらない。50分には左サイドからクロスが入り、ハーランドがムリな態勢でフィニッシュするが、わずかに外れる。

 50分を過ぎると、ついにシェフィールドは全員が自陣ボックス内に入って守り始めた。ああ、なんてこった! まるでフットサルになっている!

 60分にはスペースのないところでコバチッチが短いスルーパスを出し、ハーランドがシュートするが決まらず。

 そして63分だった。2人にマークが付かれた状態で、グリーリッシュが一瞬のスキを突き左サイドから高いクロスを入れる。これにファーでハーランドがヘッドで叩きつけた。ゴール。1-0だ。70分にもハーランドがスルーパスに裏抜けし、シュートを決めたがオフサイドになってしまった。

終盤追いつかれるがシティが突き放す

 70分ごろから、シェフィールドはようやく前からプレスをかけるようになる。やっと彼らはシティ陣内に入って攻めるようになった。

 かくて85分。シェフィールドは反転攻勢に出る。敵陣の左サイドからトラオレが縦に仕掛け、マイナスのボールを出す。

 ここから混戦になり、ウォーカーが自陣でラインアウトしようとしたボールを無理にバックヒールで残したことがアダとなり、このボールを拾われて最後はジェイデン・ボーグルが右足で強烈な一発を決めた。1-1。同点だ。ここまではシェフィールドのゲームプラン通りだろう。

 一方、追いつかれたシティも攻めに出る。88分だ。ウォーカーが敵陣右サイドでボールを奪還し、マイナスのボールを入れる。フォーデンが収めようとしたがならず。そのこぼれ球をロドリが豪快に叩き込んだ。試合はこのまま終了した。

 シティは圧倒的に押し込みながら同点にされたが、最後は勝負強いところを見せて開幕3連勝とした。一方、シェフィールド・ユナイテッドはこれで3連敗になった。

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【代表監督論】なぜ森保監督は戦術を語らないのか?

2023-09-02 07:41:08 | サッカー日本代表
知的刺激のない監督だ

 先日、9月遠征の日本代表のメンバー発表が行われた。ひさしぶりにネット中継で森保監督の話を聞いたが、相変わらず何の変哲もない当たり前のことしか言わない。

 選ばれたのはいつもの決まり切った定番メンバーな上に、森保監督の話も面白くないので、本ブログではただ機械的に代表メンバーを列記しただけで記事にした。無言の抵抗だ。

 嬉々として「スタメン予想」などを書いているメディアも多いが、このすっかり沈滞し煮詰まった空気に彼らは危機感を感じないのだろうか?

 なぜ記者会見での森保監督の話は人の興味を引かないのか? それは抽象的で当たり前のことをただベラベラとしゃべっているだけだからだ。

 彼の話には知的刺激がないし、新しい「発見」もない。ないないづくしで得るものがなんにもない。

フィロソフィ型とセレクター型

 ちなみに代表監督はざっくり2種類に分類できる。フィロソフィ型と、セレクター型だ。フィロソフィ型というのは「自分が監督になったらこういうサッカーをやるぞ」というフィロソフィがあり、代表チームでそのスタイルを構築するタイプだ。

 かたやセレクター型とは、代表メンバーを選ぶ前にまず選手を見て「コイツとコイツを組み合わせればそれは〇%の力になり、こんなスタイルのサッカーが実現できるな」と考えてそれを実行するタイプだ。

 つまりフィロソフィ型のように、自分の頭のなかにある理想のサッカーをそのまま実行するわけじゃない。まず素材を見て、それを調理し結果としてできる「味」を優先するタイプだ。

 さて森保監督はどちらか? といえば典型的なセレクター型だ。いや正確に言えば、広島時代にやってたサッカーを見ると自分の中に「こういうサッカーを」というのはありそうだが、代表ではあえて意識してそれを表に出さないようにしている。

 そして選手にまずやらせてみて、選手自身に「自分の頭」で考えさせることをモットーにする。だからフィロソフィ型の監督みたいに、「おれはこういうサッカーをやるんだ」とは言わないわけだ。

 一方、例えば代表監督がハリルホジッチ氏のときには、「縦に速く」とか「日本のような弱小国が強豪国に勝つにはカウンターだ」などというふうに、彼が「自分の考え」を前面に強く打ち出していた。それとはまるで好対照だ。

ゲームモデルやプレー原則は必要か?

 森保監督はこんな風に、監督が戦術を決めてそれを選手が実行するというスタイルを取らない。決めるのはあくまで選手の「自主性で」である。ゆえに監督がその前に「こういうサッカーをやる」とは言わない。

 だが、このブログではもう何度も書いているが、枝葉のプレーをどうするか? は選手の自主性重視でいいとしても、骨格になるゲームモデルやプレー原則は監督が整理して提示するべきだと考えている。

 もちろん選手個々の個性や持ち味を考えた上でだ。

 なぜならすべての元になるゲームモデルやプレー原則がないと、迷ったとき、わからなくなったときに帰るべき場所がなくなるからだ。そこが選手まかせでは永遠の迷子になってしまう。

 別に監督がこうしろと強制せよ、などと言ってるわけじゃない。

彼には世論を喚起する力がない

 もうひとつ、森保監督みたいに監督が戦術を語らないことの大きな弊害がある。

 それは世論を喚起する力がなくなることだ。

 代表監督が「日本が世界で勝てるサッカーはこれだ」と宣言し、具体的なスタイルや戦術を語れば、それは世間の興味を引き世論を喚起する力になる。代表監督のこうした問題提起が、その国のサッカーを発展させる。

 代表監督がこんなふうに具体論を語れば、国民が刺激を受け、めいめいが居酒屋やら家庭やらで「おれはこう考える」「いや、それはちがう」と自分の意見を丁々発止、語るようになる。

 こうした民衆の胎動が50年、100年、200年たって初めて長い間にぶ厚く澱のように降り積もり、その積み重ねがヨーロッパや南米などのサッカーネイションではサッカー文化として形成されている。だから彼らは強いのだ。

 ヨーロッパや南米のようなこういう土台、つまりサッカーの歴史と蓄積がない日本は、まずそんな民衆の胎動を起こすことから始めなければならない。でなければ強くなれない。

代表監督は大いにサッカーを語れ

 こんなふうに代表監督が行う問題提起は大きな意味がある。それをきっかけに世の中で議論が湧き上がり、新しい方向性が生まれて行く。「そうだったのか」という気づきも生まれる。

 監督が堂々と戦術を語り、サッカーを語ることでその国のサッカーはどんどん発展して行くのだ。

 一例としてハリルホジッチ氏は「相手にボールを持たせて勝て」とか「球際だ。デュエルで負けるな」のように、話題性のあるキーワードを出すことで世の中の議論を喚起した。みんなが「球際」や「デュエル」をネタにして、ああでもない、こうでもない、と語り合った。

 トルシエ氏のときもそうだった。「フラットスリー」とか「赤信号は車が来なければ渡っていいんだ」などとおもしろい極論を言い、さんざん世論を喚起した。ときとして政敵に憎まれるほどの強い個性のある監督には、こうして議論を巻き起こす力がある。

 ヨーロッパや南米のサッカーネイションでは、こんなふうに国民のサッカーに対する意識や情熱が刺激され、絶えず進化するサッカーとその機運を生んできたのだ。

 だが「ただのいい人」である森保監督には、人々に対して議論を湧き起こす強いモチベーションとなるパワーや刺激がない。

 本当に魅力のない監督だ。

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【プレミアリーグ 23/24 第3節】マンUが11対10の「駒落ち」戦を制す 〜マンチェスター・ユナイテッド 3-2 ノッティンガム・フォレスト

2023-09-01 05:00:50 | イングランド・プレミアリーグ
なんと前半4分までにフォレストが2点を取る異例の展開に
 
 プレミアリーグでは8月26日、第3節が行われ、マンチェスター・ユナイテッドとノッティンガム・フォレストが対戦した。場所はユナイテッドの聖地、オールド・トラフォードだ。

 彼らは立ち上がりに連続失点したが、エリクセンとガゼミロのゴールで同点に追いつくと、最後にブルーノ・フェルナンデスが運命のPKを決めて衝撃的な逆転勝ちを収めた。

 この試合、ユナイテッドは序盤にまるでフリーズしたかのように聖地で強烈なパンチを食らう。

 まずは前半2分だ。ユナイテッドのCK崩れで、ボールを回収したフォレストのFWタイウォ・アウォニーが敵陣からドリブルで70メートルを完全独走。最後はご丁寧にフェイクを入れて敵GKアンドレ・オナナを転倒させ、ゴール右に押し込んだ。彼は昨季から数えてリーグ7戦連続ゴールだ。

 続く同4分には右サイドのFKからのボールを、フォレストのDFウィリー・ボリが頭でコースを変えゴール右スミに叩き込んだ。これで早くも2点をリードしたフォレスト。彼らは相手ボールになるや「さあ来い」とばかりにリトリートし、自陣に5-3-2の堅陣を組んで完全に立てこもった。

 ここからの展開はもうお分かりだろう。コーナーに追い詰めた(かに見える)格下ボクサーをチャンピオンがひたすら連打する。で、敵が構える堅城に開いたかすかな穴を頼りに、敵の大将の首を取りに行くのだ。

 ユナイテッドのフォーメーションは4-2-3-1。GKはインテルから移籍してきた元カメルーン代表アンドレ・オナナだ。最終ラインは右からアーロン・ワンビサカ、ラファエル・バラン、リサンドロ・マルティネス、ディオゴ・ダロットが構える。CMFはブラジル代表のカゼミロとデンマーク代表クリスティアン・エリクセンだ。

 2列目は右からアントニー、そしてPL月間最優秀選手賞の常連でポルトガル代表のブルーノ・フェルナンデス、アカデミー育ちでマンU一筋の10番イングランド代表マーカス・ラッシュフォード。ワントップはASモナコから19才でマンUに来た(一時セビージャを挟み復帰)のフランス代表アントニー・マルシャルだ。

ユナイテッドが反撃の狼煙を上げる

 ユナイテッドの1点めは17分だった。ブルーノ・フェルナンデスの強烈なシュートを敵GKマット・ターナーが弾く。そのこぼれ球をひろったラッシュフォードが、少しドリブルして左のポケットから速いクロスを入れる。

 エリクセンが一瞬でワンタッチ・ゴールを決めた。1-2だ。

 あとは5-4-1、5-3-2、5-2-3と微妙に形は変わるがフォレストが自陣に引き、まだ前半だというのにほぼハーフコートマッチだ。やれやれな展開である。

 たまにフォレストがボールを奪うと、数人が上がって鋭い攻めを見せはする。もしくはロングボールを敵陣に1人残ったワントップのタイウォ・アウォニーに入れる。そんな駆け引きが前半いっぱい続いた。

 ユナイテッドは完全に前がかりになっているので、彼らの背後のスペースを狙って一発のロングボールで、というテは確かに有効だ。かくて前半が終わる。

マンUがデザインされたセットプレーで2点目

 後半に入り、ユナイテッドは立ち上がりからDFバランに代えてDFビクトル・リンデロフを入れる。

 フォレストはすっかり正常運転に変わり、今度はふつうに攻めるようになった。確かに引き過ぎるより、こうして前に出て陣地を回復する方がかしこい。攻撃は最大の防御なり、だ。

 さてユナイテッドの2点目はトリッキーにデザインされたセットプレーからだった。後半7分だ。

 ゴール右からのFKをブルーノ・フェルナンデスがなんと真横に蹴る。受けたラシュフォードが今度はゴール方向へ縦に浮き球を入れた。これにB・フェルナンデスが走り込み、ヘディングでワンバウンドの折り返し。仕上げは飛び込んだカゼミーロが腿でワンタッチしてから右足でゴールに「パス」をした。2-2だ。

 さてこれで同点になりフォレストがどう出るか? である。引き続き引き気味で引き分け狙いで行くのか? それともゾーンを上げて勝負の1点を取りに行くのか?

 結果は後者だった。フォレストはまるで別人になったみたいに敵陣目がけてラインを上げる。これで勝負は面白くなった。迎え撃つユナイテッドは後半15分に、マルシャルに代えてイングランド代表FWジェイドン・サンチョを投入する。

フォレストがDOGSOで1人退場になる

 フォレストは仕込んだセットプレーを操りながら、すっかりアグレッシブになって攻撃した。彼らは攻めると案外、鋭い。15分過ぎにはユナイテッドのボックス付近でパスを繋いで圧をかける。

 そうこうするうちユナイテッドのボールになり、逆に彼らがカウンターを打つ。今度はフォレストの背後にスペースがあるだけに攻めがいがある。勝負はすっかりイーブンになり攻防が続いた。

 だがそんな「平手」の戦いは続かない。22分だった。カゼミーロが自陣から縦にロングフィードを入れると、ライン裏のスペースで徒競走になった。そしてボックス手前で揉み合ったB・フェルナンデスがジョー・ウォーラルに倒される。主審はDOGSO(決定的な得点機阻止)と判定しウォーラルにレッドカードを出す。フォレストはついに10人になった。

 これでまた「駒落ち」戦に戻ったわけだ。だが格下が駒を落とす将棋なんて聞いたことがない。格上のユナイテッドが優勢になるのは当たり前だろう。フォレストは5-3-1で対応する。またハーフコートマッチだ。だがさっきと大きく違うのは、攻め手の方が1枚多い点だ。

 かくて31分。フォレストのダニーロが魅入られたようにボックス内でラッシュフォードを倒し、PKが宣言された。キッカーはB・フェルナンデスだ。彼はきっちり左下スミに決めた。とうとうユナイテッドが3-2とリードする。

 このあとフォレストのFKやカウンターであわやの場面もあった。彼らは崖の上に立ったときの方が思い切りがよくなる。だが、しかし得点は動かず。そしてゲームセットを告げる主審の笛が鳴った。フォレストは静かに「投了」した。

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