昨日レトロな窓を見て戴いた『旧村田薬舗』は、
一時期県南一の売り上げを誇る薬屋さんだったそうですが、
平成10年頃から販売不振に陥り、15年に廃業したのだそうです。
増田が内蔵の町として脚光を浴びるようになって、
蔵のある家に町が復元の費用を補助するようになり、
平成22年に改装し、レトロ店舗として復元されたのだとか。
もう薬は売ってないのですが、まだ強い薬の臭いがしていました。
店内には「中将湯」の売り上げが特に高いお店に提供された
油絵なんて言う珍しいものもありました。
全国でも数店舗、もちろん東北ではここだけという貴重なものだそうです。
番傘には電話番号9番と書かれていて、
「薬屋だけにどうしても9番が欲しかったんですが、思い通り9番を頂きました。」
と、店主さん。
駄洒落好きな家系なんですかね?(「9」すりやさんってことよね?)
秋田の内蔵というのは、建物の奥にあるものと思い込んでいた私、
この時点では、まだこの店舗部分も蔵だとは気付いてなくて、
いつになったら奥の内蔵の説明になるのかなあと思っていたのですが、
このお店部分も、蔵の町川越のように「店蔵」なんだと、
2階に行ってから知らされました。
2階の天井は少し湾曲した作りにこだわりがありました。
この店蔵には夏に薬を貯蔵する(冷蔵庫代わりの)見事な石積みの地下室があって、
ほんと、いいもの見せてもらいました。
蔵の日には観光客が多すぎて、二階も地下も非公開になるんですって。
ラッキー!
で、仏間だとか居住空間のある土間をずーーーっと歩いて、次に有ったのが「中蔵」。
ほら、ここなら蔵を囲む(木製の)壁面が見えたりして(左奥)、
家の中の蔵だと言うことがはっきり分かりますよね。
いろんなものが雑然と置いてあって、
住みながら公開することの大変さなんかも感じられました。
わあ、ここのお宅、蔵が2つもあるんだな、ここで終わりだなと思ったら、
店主さん、話をしながらもっと奥へと歩いていきます。
あれ?どうしたのかなあ?と思いながらついていくと、そこにまた古びた蔵が…。
「最後にあるのが味噌蔵です。」って。(写真無しです。)
凄い、内蔵が3つもあるんだ!それにしても奥行きのあるうちだなあと思い、
裏口を出たところで聞いてみたら、奥行き57mですって!
なんと、家の中で50メートル走ができる家だったのです。
見る分には「凄い!」で済むけど、ここで生活するのは大変だろうな。
店主さん、まだまだ修復したいところが沢山あるそうなのですが、
全部でいくらかかるか分からないと嘆いておられました。
現状は外装だけ手を入れた状態。
これで1700万円かかったんだとか。
「町の補助は8割(これ凄いことだよね。)あるので助かるのだけど、
でも、2割といっても大変なんです。」としみじみ。
私たちの見学料200円では何の足しにもならないよね。
文化財を維持していく大変さを実感したのでした。
そうそう、ここの店蔵の珍しい点をもう1つ。
建て方なんですが、店の入り口が建物の側面に開けられていること。
つまり、このお店、道路に向かって建っているのではなくて、
道路に並んで建てられているんです。
(写真は撮ってなかったので、ネットからお借りしました。)