仏教には「妄想すること莫(なか)れ」という教えがございます。
こころの病気で「妄想」という症状はございますが、病気で見られる妄想は
「事実ではない」ことを「確信」し、「訂正ができない」ことです。
しかし、健康な人でもよく「妄想」を膨らませてしまいます。
この場合の「妄想」は病的なものではなく、心のしわざです。
例えば暗い所を歩いていると後ろからくる足音を、
不気味に感じ怖い思いをされた方もいらっしゃると思います。
つまり、周りの状況が「疑心暗鬼」を生みます。
この心が生じると何でもないことまで次々と疑い始めます。
彼女がほかの男と付き合っているのではと疑い始めると、そういえば・・・・
と次々にいろいろな妄想が始まります。
一つの妄想が次々妄想を生み、どんどんマイナスイメージに支配されます。
このように次々と悪い事ばかりを考え、自分で悩みの種を増やすことになります。
反対に良い「妄想」なら良いのかと言うとそうでもありません。
「もっとお金持ちになりたい」「もっといい職場に行きたい」「もっともっと」・・・
ありもしない、できもしない幸せを妄想してもそれが不満となり結局心が貧しくなります。
「過去を捨て、未来を捨て、現在をも捨てよ」という言葉がございます。
人間は往々にして過去・現在・未来のことについて考えすぎて心を痛めます。
時にはそれについて考えることをやめ、
心を一切空(から)にしてはどうでしょう」
つまり、執着することをやめてみてはいかがでしょうか?
南無大師遍照金剛